Cruel CRuEL 歌詞 凋叶棕 ふりがな付

届とどく筈はずもない、遙はるかな―
この手ての、その先さきに―
見み捨すてた筈はずの、故郷ふるさとの幻影げんえい―
見上みあげながら、囚とらわれる―
想おもいを振ふり切きる―

そんな勇気ゆうきも持もち合あわせずに…

呻うめいて
独ひとり、夜よるを反芻はんすうする
汗あせばむ
脳裏のうりを掻かき乱みだす脅迫幻覚おぶせっしょなー

そして
見みた悪夢あくむの残滓ざんしから
一心不乱いっしんふらんに眼めを逸そらす

波長はちょうは
語かたりかける、容赦ようしゃなく。
私わたしは
耳みみを強つよく塞ふさいだままで

遙はるかな
届とどかぬ場所ばしょの幻影げんえいを
噛かみ潰つぶそうと悶もだえ、足掻あがく。

見みつめて来くるのだ
懐なつかしい仲間なかまの影かげが。

顔かおのない皆みなは口くちを揃そろえて…

怨嗟えんさの声こえを叩たたき付つける
"裏切うらぎり者ものが!"と叫さけび立たてる

見み捨すてた
愚おろかな
この身みを
呪のろえど

何なにも変かえることは出来できない。

自己じこが自己じこを責せめ立たてる様さまは
苦渋くじゅうのアンビバレント

届とどかない
手ての先さきに
もどかしくも安堵あんどする
顔向かおむけなど到底とうてい出来できはせず

いっそ自分じぶんこそを何なによりも、
狂くるわせられればいい…

何なにも出来できはしない、
私わたしを罵ののしる、
月つきが煌々こうこうと。

上辺うわべは
穏おだやかなこの暮くらし
懶惰らんだ
つまりはいわゆる生神停止まいんどすとっぱー

そして
言葉ことばに出来できぬ想おもいを
抱いだく先さきから、追おい立たてられる

逃避とうひの果はてに、
目指めざす夢ゆめの中なか。
そこさえも
昔むかしの記憶きおくに侵おかされた

ああ、
何なにをなすべきなのかさえも
わからないまま惑まどい、苦くるしむ。

見みつめて来くるのだ
痛いたましい自分じぶんの影かげが。

眼窩がんかに暗くらい炎ひかりを灯ともして…

怒いかりの声こえを解とき放はなつ
【臆病者おくびょうものが!】と喚わめき散ちらす

穢けがれた
憐あわれな
この身みを
嘆なげけど

何なにも変かえることは出来できない。

幾度いくたびも倫理りんりと抗あらがい
それでも赦ゆるされないまま

何処どこまでも
何時いつまでも
この場所ばしょで膝ひざを抱かかえ
今いまが現実げんじつと言いい聞きかせつつ

そうして全すべてを誤魔化ごまかして、
生いきてゆくしかない…

何なにも忘わすれられぬ、
私わたしを蔑さげすむ、
月つきが爛々らんらんと。

曰いわく、
"許ゆるしが欲ほしいのか?"
曰いわく、
【救すくいが欲ほしいのか?】
曰いわく、
『よくも、貴様きさまなど…』

『 そのまま罪つみの意識いしきに苛さいなまれ続つづけるがいい! 』
"そのまま罪つみの意識いしきに苛さいなまれ続つづけるがいい!"
【 そのまま罪つみの意識いしきに苛さいなまれ続つづけるがいい! 】

呪のろえど
嘆なげけど
怨うらめど
憎にくめど

変かわらぬ身みがただ疎うとましく

狂くるいたいと願ねがいさえすれど、
自分じぶんだけは狂くるわせられぬ

昂たかぶれど
憂うれえど
荒あらぶれど
嘲あざわらえど

結局けっきょく辿たどりつく袋小路ふくろこうじ

耳みみ以上いじょうに歪ゆがんだ心こころが
瞳ひとみより紅あかく涙なみだする

"私わたしは狂くるえるのか?" そんな "残酷な運命くるーるふぇいと"。

―これが定さだめだ、と。

受うけいれたつもりで、
終おわり無なき問といが、
心こころ、掻かき乱みだす。