変身 歌詞 ネコロジック ふりがな付

ある朝あさ、僕ぼくは人間にんげんだった
街まち行ゆけど誰一人だれひとり悲鳴ひめいも見みないふりもしないで

有あり触ふれた人生じんせい
君きみから初はじめてのプラトニック・ハロウ
友達ともだちはもう殴なぐって嘲笑わらうこともない
(え?)遊あそびに行いっても良いいんですか?

腐くさってない カビ生はえてない
ヒト向むけの餌えさがひとつふたつ
どれも本当ほんとうに美味おいしくてさ
いっそ総すべて不味まずければ良よかったのにな

あゝなんて!なんて!なんて最高さいこうな人生じんせいだろうか!
同時どうじにそれを生うまれながらに享受きょうじゅしているお前まえらが憎にくい!
あゝ全部ぜんぶ、全部ぜんぶ、全部ぜんぶ取とり返かえすように耽ふけっている
そして最初さいしょからまるで人間にんげんだったみたいな顔かおで生いきる
ポストアンタッチアブル

先天的せんてんてきな誤あやまちは見みず知しらずの博打ばくちのよう
故ゆえに憐れん情じょう的てきな眼差まなざしはいつしか浅あさい怒号どごう

それなのに僕ぼくを嘲笑わらった者ものは皆みな
僕ぼくの相貌そうぼうだけを切きり取とって
その不埒ふらちな暮くらしに呼よび込こんで
それがなんてったって酷ひどく滑稽こっけいでした

そう、それは酷ひどく滑稽こっけいでした。日向ひなたで産うまれ育そだった彼等かれらと、人目ひとめに付つかぬよう強しいられてきた僕ぼくが、どうして対等たいとうに渡わたり合あえるものか。それに目めを瞑つぶって、白々しらじらしくも同質どうしつの幸福こうふくを供給きょうきゅうせんとする彼等かれらがなんとも浅あさましく思おもえてきて、そしてこんなにも下賤げせんな者もの達たちに虐しいたげられていたという事実じじつに、心こころの奥底おくそこから何なにかふつふつと湧わき出でてくるものを感かんじました。
僕ぼくの知しる道理どうりに則のっとれば、そのどす黒ぐろい湧水ゆうすいはより低ひくい方ほうに流ながれていくべきであって─　─　ちょうど彼等かれらが僕ぼくにそうしたように─　─　、だから僕ぼくは彼等かれらを殴なぐって、そして嘲笑わらってやったのでした。
あゝどうして君きみは彼等かれらを庇かばうのだ。なぜ僕ぼくを非難ひなんするのだ。そんなに彼等かれらが可哀想かわいそうか。ならば毒どく蟲むしだった僕ぼくは可哀想かわいそうではなかったのか。だって誰だれも庇かばったりしてくれなかったもの。誰だれも僕ぼくに不幸ふこうを教おしえてくれなかったもの。

分わかってない 誰だれも知しらない
ヒト向むけの嘘うそがひとつふたつ
だけど本当ほんとうは口惜くやしくてさ
いっそ君きみを毒どく蟲むしにしてやれたら

あゝなんて!なんて!なんて最高さいこうな人生じんせいだろうか!
ようやく幸福こうふくの味あじを知しった僕ぼくにはこの不幸ふこうが不味まずすぎる
あゝ全部ぜんぶ、全部ぜんぶ、全部ぜんぶ放棄ほうきして来世らいせを待まっている
そして最初さいしょからまるで幸こうも不幸ふこうもなかった顔かおで生いきる
ポストアンタッチアブル