「泣なき虫むしで甘あまえん坊ぼうな少女しょうじょ、ロシェル。貧まずしくも母ははと子こ、慎つつましく暮くらしていた。
当あたり前まえだと思おもっていた幸しあわせな境遇きょうぐう。それが突然消とつぜんきえ去さるなど、想像そうぞうもしなかった」
退屈たいくつな平和へいわが奇跡きせきであることを
母ははに守まもられていたことを肌はだで感かんじた
変かわらないものなどありはしないのだと
変かわってから気付きづいたって もう変かえられない
遠とおい町まちまで一人ひとりきり 心こころが竦すくむ
それでも行いかなければ……きっと後悔こうかいが待まってるから
助たすけて 誰だれか聴きいて
孤独こどくに揺ゆらぐ声こえ
無数むすうの視線しせん 無意識むいしきの棘とげが貫つらぬく
好奇こうきの目めに晒さらされ 耳みみに届とどく嘲笑ちょうしょう
それでも両足あしを前まえへと動うごかし続つづけた
新あらたに芽吹めぶく 僅わずかな勇気ゆうきは
幼おさない心こころを燃もやし続つづけて
「一晩中駆ひとばんじゅうかけ回まわり、どうにか薬くすりを手てに入いれて、家いえへと続つづく道みちを辿たどる。
心臓しんぞうが張はり裂さけそうに苦くるしくなっても、歯はを食くいしばって涙なみだをぬぐい、ロシェルは走はしり続つづけた」
どんなに怖こわくても 決けっして諦あきらめない
守まもられていた温あたたかさを憶おぼえてるから
その灯火ともしびだけは絶たやしてはいけない
何度転なんどころび血ちが滲にじんでも立たち上あがり、駆かけた
帰かえり着ついた家いえは暗くらく 伽藍がらんの夜陰やいん
彼女かのじょを迎むかえた絶望ぜつぼうは 冷つめたい墓標ぼひょうの下した
どうして 返事へんじをして
虚空こくうへ鎔とけた悲鳴こえ
もう大丈夫だいじょうぶ 一人ひとりでも泣ないたりしない
次つぎはわたしがママを助たすける番ばんなんだ
もう大丈夫だいじょうぶ……だから、ねぇ……目めを開あけて抱だきしめてほしい
「もう甘あまえたりなんかしない。ワガママだって言いわない。だから……だから、ずっと傍そばにいてよぅ……」
戻もどって 打うち破やぶって
こんな現実げんじつなんて望のぞんでいない 欲ほしくもない 求もとめてないよ
無意識むいしきに壊こわれゆく小ちいさな輝かがやきは
夢想むそう 妄想もうそう 幻想げんそうの先さきの理想りそうへ
仮初かりそめでいい 誰だれでもいいから
幸しあわせな夢ゆめを見みせて お願ねがい
「ああ、可哀想かわいそうに。よく頑張がんばったわね。
これからは強つよくなることなど忘わすれて、か弱よわいままでいていいの。だって、幸しあわせなあの日ひに戻もどれるのだから。
さぁ、ついていらっしゃい」
「泣naきki虫mushiでde甘amaえんen坊bouなna少女syoujo、ロシェルrosyeru。貧mazuしくもshikumo母hahaとto子ko、慎tsutsuましくmashiku暮kuらしていたrashiteita。
当aたりtari前maeだとdato思omoっていたtteita幸shiawaせなsena境遇kyouguu。それがsorega突然消totsuzenkiえe去saるなどrunado、想像souzouもしなかったmoshinakatta」
退屈taikutsuなna平和heiwaがga奇跡kisekiであることをdearukotowo
母hahaにni守mamoられていたことをrareteitakotowo肌hadaでde感kanじたjita
変kaわらないものなどありはしないのだとwaranaimononadoarihashinainodato
変kaわってからwattekara気付kiduいたってitatte もうmou変kaえられないerarenai
遠tooいi町machiまでmade一人hitoriきりkiri 心kokoroがga竦sukuむmu
それでもsoredemo行iかなければkanakereba……きっとkitto後悔koukaiがga待maってるからtterukara
助tasuけてkete 誰dareかka聴kiいてite
孤独kodokuにni揺yuらぐragu声koe
無数musuuのno視線shisen 無意識muishikiのno棘togeがga貫tsuranuくku
好奇koukiのno目meにni晒saraされsare 耳mimiにni届todoくku嘲笑chousyou
それでもsoredemo両足ashiをwo前maeへとheto動ugoかしkashi続tsuduけたketa
新araたにtani芽吹mebuくku 僅wazuかなkana勇気yuukiはha
幼osanaいi心kokoroをwo燃moやしyashi続tsuduけてkete
「一晩中駆hitobanjuukaけke回mawaりri、どうにかdounika薬kusuriをwo手teにni入iれてrete、家ieへとheto続tsuduくku道michiをwo辿tadoるru。
心臓shinzouがga張haりri裂saけそうにkesouni苦kuruしくなってもshikunattemo、歯haをwo食kuいしばってishibatte涙namidaをぬぐいwonugui、ロシェルrosyeruはha走hashiりri続tsuduけたketa」
どんなにdonnani怖kowaくてもkutemo 決kextuしてshite諦akiraめないmenai
守mamoられていたrareteita温atataかさをkasawo憶oboえてるからeterukara
そのsono灯火tomoshibiだけはdakeha絶taやしてはいけないyashitehaikenai
何度転nandokoroびbi血chiがga滲nijiんでもndemo立taちchi上aがりgari、駆kaけたketa
帰kaeりri着tsuいたita家ieはha暗kuraくku 伽藍garanのno夜陰yain
彼女kanojoをwo迎mukaえたeta絶望zetsubouはha 冷tsumeたいtai墓標bohyouのno下shita
どうしてdoushite 返事henjiをしてwoshite
虚空kokuuへhe鎔toけたketa悲鳴koe
もうmou大丈夫daijoubu 一人hitoriでもdemo泣naいたりしないitarishinai
次tsugiはわたしがhawatashigaママmamaをwo助tasuけるkeru番banなんだnanda
もうmou大丈夫daijoubu……だからdakara、ねぇnee……目meをwo開aけてkete抱daきしめてほしいkishimetehoshii
「もうmou甘amaえたりなんかしないetarinankashinai。ワガママwagamamaだってdatte言iわないwanai。だからdakara……だからdakara、ずっとzutto傍sobaにいてよぅniiteyou……」
戻modoってtte 打uちchi破yabuってtte
こんなkonna現実genjitsuなんてnante望nozoんでいないndeinai 欲hoしくもないshikumonai 求motoめてないよmetenaiyo
無意識muishikiにni壊kowaれゆくreyuku小chiiさなsana輝kagayaきはkiha
夢想musou 妄想mousou 幻想gensouのno先sakiのno理想risouへhe
仮初karisomeでいいdeii 誰dareでもいいからdemoiikara
幸shiawaせなsena夢yumeをwo見miせてsete おo願negaいi
「ああaa、可哀想kawaisouにni。よくyoku頑張ganbaったわねttawane。
これからはkorekaraha強tsuyoくなることなどkunarukotonado忘wasuれてrete、かka弱yowaいままでいていいのimamadeiteiino。だってdatte、幸shiawaせなあのsenaano日hiにni戻modoれるのだからrerunodakara。
さぁsaa、ついていらっしゃいtsuiteirassyai」