そいえば 歌詞 The 3 minutes ふりがな付

「そいえば久々ひさびさだね」「そいえば仕事しごとはどう」
そいえば…って言いえば、なんか堅苦かたぐるしくなんない気きして。
「そいえば」って文字もじを打うつ。「そいえば今いまも彼かれと…」
あの日ひの、僕ぼくの知しらない笑顔えがおした君きみを、今いまも思おもい馳はす。

元気げんきだった?あの時ときはごめんね?
僕ぼくが子供こども過すぎたよな、なんて送おくれやしないよ。だって…
別わかれた理由りゆうも、最期さいごに突つき放はなしたのも、全部ぜんぶ僕ぼくだから。
合あわせる顔かおも声こえも、何なにも持もち合あわせが無ないのです。

「そいえば…やっぱ好すきだった」ってさ。
そう言いえば何なにか変かわんのかな。
君きみがもう一度いちど僕ぼくの元もとへ、無ない?否いな?…無ないなあ。
あの日ひ、偶然ぐうぜん横よこに彼かれが居いて、疑うたがってしまったのは、
自分じぶんに自信じしん無なかったからなんだ。

「そいえば、あの人ひと誰だれ?」そう言いえなかった、あの日ひ。
そう、家いえが近ちかい"ただの友達ともだち"だったらしいけど…。
聡明そうめいな君きみにさえ、もう想定そうてい無ないほど卑屈ひくつな僕ぼくは、
気きを利きかせてくれるのが尚更なおさら億劫おっくう、と
傷付きずつけてしまったんだ。

…あれから随分ずいぶんと経たって、僕ぼくなりに新あらたな幸しあわせも
掴つかんだ筈はずなのに、思おもい出だす。
こんな晴はれに降ふる雨あめが、僕ぼくの部屋へやでほこりを着きて
置おいてあるままの、紺色こんいろに白しろい水玉みずたまの
君きみの傘かさを忘わすれさせない。

"天気雨てんきあめ"って言いうんだって。
突如とつじょびしょ濡ぬれになる時ときの心境おもいは、
好すきだった君きみを失なくした時ときによく似にている。

そういえば…あの日ひもそうだったよな。
授業じゅぎょう後ご、雨あめに打うたれ、引ひき返かえし、
折おり畳たたみ忍しのばせた鞄かばん、濡ぬらして駆かけた先さき、
彼かれと歩あるいていた君きみ。繕つくろう笑顔えがおに、崩くずす笑顔えがおの僕ぼく。
何なにか言いいたげなのを制せいして「貸かして」って
…以来いらい返かえしてない。

返かえしたら、きっと終おわるから。
この気持おもいが降ふり止やんだ後あとに言いおう。
傘かさを返かえすのを口実こうじつにして、「そいえば…」って。