六軒長屋の歌 歌詞 宮城まり子 ふりがな付

露つゆ晴はれの空そらだよ
物干竿ものほしざおがにぎやかだよ
おむつに シュミーズ
ワイシャツ パンツ
つぎのあたった靴下くつした
親子おやこ二代にだいのあせた毛布もうふが干ほしてある
六軒ろっけん長屋ながやの物干竿ものほしざおで
いろんな人生じんせいが風かぜになびくよ

風かぜ 光ひかり 風呂屋ふろやの煙突えんとつ
金魚屋きんぎょやが通とおる 金魚きんぎょエー金魚きんぎょ
みかん箱はこの茄子なすびが咲さいたよ
紫色むらさきいろの花はなだよ

六軒ろっけん長屋ながやの物干竿ものほしざおで
いろんな人生じんせいが風かぜになびくよ

「あ 紙芝居かみしばいや 母かあちゃん お金かねおくれ」
「あかへんよ 紙芝居かみしばい見みたかて
何なにもならへんやろ」
「そやけど お母かあちゃん この間あいだの続つづき見みたいねん
ナー お金かねおくれナ」
「そんなことばっかり言いう子こ お母かあちゃん嫌きらいや
ほら今度こんど雨降あめふるまでにお金かねためて
サラの長靴ながぐつ買かう言いうて約束やくそくしたやろ」
「うん そやけど お母かあちゃん 紙芝居かみしばい見みたい」
「ほら ごみやはん来きたで えー子こやナ
これ捨すてて来きておくれ」
「うん 捨すてて来きたら お金かねくれるか」
「あきません お父とうちゃんナ
今日きょうは働はたらきに行いきはったやろ
晩ばんにえーよー おみや買かうて来きはるがナ」
「ふーん おみや そうか
そんなら 母かあちゃん 紙芝居かみしばいただ見みする
うしろの方ほうで背せのびしてみたら
一寸ちょっとだけ見みられるねん 行いってくるはナ」
「あ 危あぶないよ 坊ぼうや ほら走はしったら
水みずたまり 転ころびますがナ
あ 危あぶない いやー… あ こけた 又また洗濯せんたくや」

露つゆ晴はれの空そらだよ
物干竿ものほしざおがにぎやかだよ
おむつに シュミーズ
ワイシャツ パンツ
つぎのあたった靴下くつした
親子おやこ二代にだいのあせた毛布もうふが干ほしてある
六軒ろっけん長屋ながやの物干竿ものほしざおで
いろんな人生じんせいが風かぜになびくよ