よみ:しんせつ・くろうでん
新説・クロウ伝 歌詞
-
MANKAI STAGE『A3!』ACT3! 2025
- 2026.1.28 リリース
- 作詞
- 松崎史也
- 作曲
- Yu(vague) , 馬渕智史
- 編曲
- 馬渕智史
友情
感動
恋愛
元気
結果
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九九八きゅうひゃくきゅうじゅうはち! おっと逃にげるなら刀かたなは置おいてけよ
うわァー!!
いい気味きみだ! 九九九きゅうひゃくきゅうじゅうきゅう! さあて千せん本ぼん目めはどいつだ!!
いい得物えものだ。我わが名なは武蔵坊むさしぼうベンケイ。いざ尋常じんじょうに勝負しょうぶ!
なんのために刀かたななんて集あつめてる?
知しれたこと。千せん本ぼん集あつめて名なを上あげる
つまらんな。つまらんつまらん。俺おれについて来こいベンケイ。こんな狭せまい橋はしの上うえじゃなく、もっと広ひろい世界せかいに出でるんだ
つまらぬかどうかは、俺おれが決きめる!!
俺おれの名なはクロウ。源みなもとクロウ義経よしつね。お前まえが俺おれの、一本いっぽん目めの刀かたなだ!
月つきと桜さくらを従したがえ飛とぶその様さまを見みた時とき、俺おれの生涯しょうがいが決きまった
いててててて…………!
わはは! 鍛錬たんれんが足たらんな!
そこは誰だれでも泣なき所どころだろ!
……いいだろう、お前まえの話はなし、乗のってやる
本当ほんとうか! 俺おれとお前まえならなんだって……
急きゅうに寝ねるなよ! うわっ酒さけ臭くさっ
ええと、世話せわになったようだな
なんでついてくるのだ? 不審者ふしんしゃ!
お前まえがついて来こいって言いったんだろ!
ちょっと誰だれかー
こいつ……まさか
ほら、酒さけだ飲のめ
おうベンケイ! 背中せなかは任まかせた!
さあ、俺おれとお前まえで時代じだいを取とりに行いくぞ!
面白おもしれえ、どこまでも共ともに行ゆこうぞ!
驕おごる平家へいけに追おう源氏げんじ 間まも無なく合戦いくさのひとよ前まえ
折おれぬは刀かたなか忠義ちゅうぎの心こころか 俺おれらの時代じだいの幕開まくあけだ
こいつが新あらたなクロウ伝でん
知しらぬが仏ほとけの苦労くろう伝でん
飲のんで飲のまれて飲のまれて飲のんで 通とおしてみせようのちの世よへ
くそー!……クロウ殿どのお強つよい
ヤスヒラ殿どのも筋すじが良いい
共ともに戦たたかえる日ひが楽たのしみだ
クロウ殿どのは鎌倉かまくら殿どのと共ともにこの国くにを変かえるお方かた
我わが一族いちぞくも、必かならずやそのお力ちからになろうぞ
はい父上ちちうえ!
ところでさっきから睨にらんでるそこの二人ふたりは?
クロウ殿どの、ヤスヒラ様さまに対たいし無礼ぶれいな振ふる舞まいが過すぎるのでは?
稽古けいこのことか?
ヤスヒラ殿どのはお強つよい。手加減てかげんする方ほうが無礼ぶれいになる
クロウ殿どの……!
詭弁きべんですね
まあまあ兄上あにうえ。どうです?
次つぎは私わたしたちが稽古けいこをつけてもらうというのは
よい。私わたしはヤスヒラ様さまに大事だいじないよう見張みはっているだけだ
俺おれたちを値踏ねぶみしてんだよな? 勝気かちきでいいね
わはは! ではやろうぞ弟おとうと君ぎみ!
じゃあ俺おれは兄上あにうえといくか
だから私わたしは
面白おもしろそうだ
見みせてやれツグノブ、タダノブ、奥州おうしゅうに佐藤さとう兄弟きょうだいありと
御意ぎょい
まずい
私わたしは何なにを……?
御免ごめん!
参まいりました!
クロウ殿どの?
はい、これ飲のんで
さあてやろうか佐藤さとうタダノブ!
油断ゆだんさせるための演技えんぎ? 何なんの為ために
いい腕うでだ佐藤さとう兄弟きょうだい 俺おれの刀かたなになれ
主あるじはヒデヒラ様さまヤスヒラ様さまのみ
源氏げんじが挙兵きょへいする今いま 鎌倉かまくら戻もどり一旗ひとはたあげる機会きかい
私わたしは行いかない
兄上あにうえに従したがう
良いいではないか。クロウ殿どのに同行どうこうしろ
いいないいな 私わたしも行いきたい
命令めいれいとあらば仕方しかたない
兄上あにうえに従したがう
いざ行ゆかん鎌倉かまくらへ
兄上あにうえと共ともに平家へいけを打倒だとうだ
まあ鎌倉かまくら殿どのに合流ごうりゅう次第しだい、奥州おうしゅうに戻もどればいいんじゃない
バカを言いうな。ヒデヒラ様さまは源氏げんじの動向どうこうを見極みきわめろとおっしゃっておられるのかもしれん
真面目まじめだなあ兄上あにうえは
源みなもとクロウ義経よしつね、兄上あにうえの挙兵きょへいを聞きき、参さんじました
クロウ、共ともに源氏げんじ再興さいこうのため力ちからを尽つくそうぞ
そのお言葉ことばの為ためにこれまで生いきて参まいりました
お前まえに会あえるのはこの上うえない喜よろこび
不遇ふぐうの時ときをよく耐たえてくれた
兄上あにうえ……
家臣かしんも皆みな良よい面構つらがまえだ。クロウを頼たのんだぞ
我われらは家臣かしんでは……
今いまこそ源氏げんじが平家へいけを討うち滅ほろぼす時とき!
一同いちどう、この弟おとうとクロウの旗はたは我わが旗はた、クロウの声こえは我わが声こえと思おもえ!
大たいした御仁ごじんだ。大将たいしょうとはああでなくてはな
そうかぁ? 腹はらに一物いちもつって顔かおだぜありゃあ
兄上あにうえに限かぎって裏うらなどない。さあベンケイ、ツグノブ、タダノブ
後おくれを取とるな。西にしへ向むけ、進軍しんぐんだ!
驕おごる平家へいけに追おう源氏げんじ はじまる合戦いくさだ開戦かいせんだ
ベンケイ妙手みょうしゅに
クロウの奇策きさく
ハマりにハマって快進撃かいしんげき
みるみるうちに無双むそうの一行いっこう
酒さけさえ切きれねばどこまでも
この崖がけを馬うまで?
無理むりだ! 私わたしにそんなことできるはずが……
はい飲のんで
上策じょうさくだ。さすがベンケイは面白おもしろいことを考かんがえる
ええー!
兄上あにうえはやめた方ほうがいい
おや? 弟おとうと殿どのの方ほうが馬うまが上手じょうずかな
いえ、そんなことは
タダノブは武芸ぶげいの才さいに関かんして全すべて私わたしより秀ひいでている
そんな自信満々じしんまんまんに
佐藤さとう家けの跡継あとつぎ問題もんだいとか考かんがえもしないのかね
だから私わたしはお前まえに跡継あとつぎを
ウチはお人好ひとよしの兄上あにうえがいれば十分じゅうぶんだよ
兄弟きょうだいとはいいものだな
私わたしも兄上あにうえとお前まえたちのようになれるだろうか
さて、それじゃ行いきますか。そらっ!
兄上あにうえ!
私わたしだってこれぐらいの崖がけ……
これは……無理むりか。
諦あきらめるな!
二人ふたり乗のせては馬うまがもたぬ!
捨すて置おかれよ!
馬鹿ばか言いえ
主ぬしら兄弟きょうだいは二人ふたり
そろってこそだろう!
信しんじられない。あんな無茶むちゃを――
クロウはなんでも拾ひろうからな
痛快つうかいだったな! 敵軍てきぐんは大騒おおさわぎだ!
我われら兄弟きょうだい、命いのち尽つきるまで「クロウ様さまにお仕つかえいたします」
命いのちは尽つかすな
俺おれはどこまでも共ともに駆かける友ともが欲ほしい
御意ぎょいに
不思議ふしぎな魅力みりょくを持もつ男おとこ 出会であっちまったら仕方しかたない
のちの世よも、またのちの世よも、ともに!
そうか、クロウが。頼たのもしいな
流石さすがはクロウ殿どの! 私わたしも早はやく共ともに!
己おのれも仲間なかまも……理想りそうだな
佐藤さとう兄弟きょうだい、クロウ殿どのを頼たのむぞ
ここまでやりゃ十分じゅうぶんだろ、一旦いったん退ひくかぁ
どうなさいますか
逃にげよう!
酒さけが切きれたか
クロウ様さま! ぐっ……!
兄上あにうえ! 兄上あにうえの仇かたき!
勝手かってに殺ころすな……クロウさま、ご無事ぶじですか
お前まえがかばってくれたから私わたしはなんとも、それより傷きずの手当てあてを
このくらいなんとも。どこまでもクロウ様さまと共ともに参まいります
ダメだ!
また必かならず会あえる。それまでに傷きずを癒いやしてくれ
……かしこまりました。必かならずや、再ふたたびクロウ様さまの元もとに
また勝かったか、クロウ
あと一息ひといきで……鎌倉かまくらの天下てんかだ
これが……平家へいけとの最後さいごの戦たたかいとなる
俺おれに続つづけ! 船ふねへ飛とび移うつるのだ!
お供ともいたします!
あんま張はり切きりすぎるなよ。柄がらにもない
兄上あにうえの分ぶんまで働はたらかなくては申もうし訳わけが立たたない
そんな性格せいかくだったか?
でないと兄上あにうえが無念むねんさのあまり、治なおった腹はらを切きりかねないからね
なるほど
タダノブ後うしろだ!
やはり柄がらにもないことはするものじゃない
大丈夫だいじょうぶだ、すぐに終おわらせる
では私わたしは少すこし……休やすませてもらうとします……
あぁ、お前まえはそこでゆっくりぐー……
お前まえは寝ねるな! ったく
ツグノブもタダノブも何故なぜそこまで…
俺おれはそんな風ふうに言いってもらえるような人間にんげんじゃない
あの時とき助たすけたのも酒さけの力ちからを借かりただけ
素面しらふの俺おれでは、きっと一いっ歩ぽも動うごけなかった
我々われわれの勝利しょうりだ。皆みな、勝かち鬨どきをあげよ!
クロウ! クロウ! クロウ! クロウ!!
これが……源みなもとのクロウ義経よしつね
ふふ……大たいした弟おとうとだ
よろしいのですか、御屋形おやかた様さま!
あれは少すこしやりすぎた。この辺あたりで退場たいじょう願ねがおう
情じょうに流ながされては源氏げんじは一ひとつにまとまらぬ
せめて凡才ぼんさいであればどうとでもしてやれたのだがな……
力ちからの足たりぬ兄あにを恨うらめ、弟おとうとよ
源氏げんじの兵へい……なるほどね
何なにかの間違まちがいだ!
話はなせばわかって……
目めを覚さませ! 兄上あにうえはあんたが目障めざわりになったんだよ
さっさと逃にげるぞ
いやしかし
広ひろい世界せかいに出でるんだろ
俺おれたちの時代じだいってのは誰だれかに奪うばわれていいのか?
「俺おれは、俺おれたちは、」お前まえを信しんじてついてきてるんだ
やはり酒さけがないとダメか?
いや、いい!
兄上あにうえのお気持きもちも……わかった
私わたしには……血ちのつながりよりも深ふかい縁えんが残のこっている
クロウ殿どの、お待まちしておりました!
すまない。どこへ行いっても兄上あにうえの手てが回まわっていてな
源氏げんじの世よを作つくった立役者たてやくしゃはクロウ殿どのです!
それをこのような……
兄上あにうえにも兄上あにうえのお考かんがえがある
ヨリトモ殿どのの……お考かんがえ
クロウは必かならず貴方あなたがたを頼たよってくる
助たすけるフリをして身柄みがらを我われらに引ひき渡わたして欲ほしい
そのようなこと奥州おうしゅう武士ぶしとして
お父上ちちうえなき今いま、奥州おうしゅう藤原ふじわらを背負せおうのは貴方あなただヤスヒラ殿どの。私わたしとクロウどちらに着つくべきか、よくお考かんがえを
ヤスヒラ殿どの?
何なにもお気きになさらずご滞在たいざいください
私わたしは生涯しょうがい、貴方あなたの友ともです
おい
ヤスヒラ殿どの、まさか
違ちがう! 私わたしはこのような……! 下さがれ!
クロウ殿どのに刀かたなを向むけること、このヤスヒラが誇ほこりと藤原ふじわらの名なにかけ決けっして許ゆるさぬ!
ヤスヒラ殿どの……ご立派りっぱになられて。私わたしのことは切きり、兄上あにうえにつかれるが良いい
私わたしはクロウ殿どのを裏切うらぎりませぬ!
貴方あなたにも、守まもらねばならぬ者もの達たちがいる。
しかし!
信しんじてくれ! 俺おれは絶対ぜったいに死しなない
……
……私わたしも貴方あなたの隣となりで戦たたかいたかった
願ねがわくば……のちの世よでこそ、ともに
終おわらせろ
全軍ぜんぐん、敵てきは源みなもとクロウ義経よしつね、武蔵坊むさしぼうベンケイ。一騎当千いっきとうせんの二人ふたりだ
気きを抜ぬかずかかれ。敵かなわぬと思おもうならば逃にげろ
誰だれも死しぬな!!
さすがにこの数かずはきついな
何なにか策さくはないのか? ベンケイ
策さくならあるぜ。……ここは俺おれに任まかせて、先さきに行いきな!
ダメだ! 一人ひとりでこの軍勢ぐんぜいを相手あいてにするなど
ほら、飲のめ
飲のまぬ!
ここは譲ゆずらぬぞ!
素面しらふでそう叫さけぶあんたを見みて、俺おれの面白おもしれえは合あってたって思おもえた。悪わるいがここは譲ゆずれねぇ。他ほかに策さくがないんでな
勝算しょうさんはあるのか?
俺おれはあんた以外いがいにゃ負まけねえよ。わかったらさっさと行いきな
後あとで合流ごうりゅうする
…………必かならずだぞ。お前まえのいない世よではつまらぬ
我われこそは源みなもとのクロウ一いちの刀かたな、武蔵坊むさしぼうベンケイ!
さあて、千せん本ぼん目めはどいつだ!
願ねがわくば、貴方あなたの力ちからになりたかった
私わたしを憎にくんでいないのか
鎌倉かまくらを一ひとつに。頭領とうりょうは二人ふたりいらない
聡さとさも兼かねるか
……ならば源氏げんじ再興さいこうの礎いしずえとなれ
悲劇ひげきの英雄えいゆうとして永遠えいえんに語かたり継つごう
……あんたのおかげで人間にんげんってのも悪わるくねぇって思おもえたぜ?
だが! 俺おれはここで止とまるわけにはいかぬ
俺おれを待まつ友とものために、俺おれは死しなぬ!
あくまでも従したがわぬか
だが、俺おれも譲ゆずれぬ!
仲間なかまと違たがえて行いける高たかみがあって、仲間なかまがいるから見みえる瞬間しゅんかんがある。オレは……これでいい。これがいい。綴つづるさん、ありがとな
俺おれは、ここでしか作つくれないものを、俺おれにしか書かけないものをみんなと一緒いっしょに探さがし続つづける。作つくり続つづける!
天馬てんまー!
綴つづるー!
クロウ、ベンケイ そこを、どけーー!
私わたしだけが……生いき延のびてしまった
皆みなにもらったこの命いのち捨すてるわけもいくまい
クロウ様さま~! クロウさま!
助太刀すけだちいたします!
ツグノブ、タダノブ!
遅おそくなり申もうし訳わけございません
奥州おうしゅうに向むかったところ、すでに討うたれたと聞きき……
絶対ぜったいに死しぬはずないと兄上あにうえが聞きかなくて
よく来きてくれたな
ベンケイ殿どのは……
私わたしをかばって、一人ひとり……
……いけ好すかないところもありましたが、忠義ちゅうぎに厚あつい武士ぶしでした
あんたら兄弟きょうだいはすぐ人ひと殺ころすな
ベンケイ!!
よお。これからどこへ?
決きまってる!
遠とおい海うみの向むこうの、もっと広ひろい世界せかいだ!
上等じょうとうだ
どこへなりと!
仕方しかたない。文字もじ通どおり、乗のり掛かかった舟ふねだ
行ゆこう
のちの世よも、またのちの世よも、今いまもまだまだ、ともに!!
うわァー!!
いい気味きみだ! 九九九きゅうひゃくきゅうじゅうきゅう! さあて千せん本ぼん目めはどいつだ!!
いい得物えものだ。我わが名なは武蔵坊むさしぼうベンケイ。いざ尋常じんじょうに勝負しょうぶ!
なんのために刀かたななんて集あつめてる?
知しれたこと。千せん本ぼん集あつめて名なを上あげる
つまらんな。つまらんつまらん。俺おれについて来こいベンケイ。こんな狭せまい橋はしの上うえじゃなく、もっと広ひろい世界せかいに出でるんだ
つまらぬかどうかは、俺おれが決きめる!!
俺おれの名なはクロウ。源みなもとクロウ義経よしつね。お前まえが俺おれの、一本いっぽん目めの刀かたなだ!
月つきと桜さくらを従したがえ飛とぶその様さまを見みた時とき、俺おれの生涯しょうがいが決きまった
いててててて…………!
わはは! 鍛錬たんれんが足たらんな!
そこは誰だれでも泣なき所どころだろ!
……いいだろう、お前まえの話はなし、乗のってやる
本当ほんとうか! 俺おれとお前まえならなんだって……
急きゅうに寝ねるなよ! うわっ酒さけ臭くさっ
ええと、世話せわになったようだな
なんでついてくるのだ? 不審者ふしんしゃ!
お前まえがついて来こいって言いったんだろ!
ちょっと誰だれかー
こいつ……まさか
ほら、酒さけだ飲のめ
おうベンケイ! 背中せなかは任まかせた!
さあ、俺おれとお前まえで時代じだいを取とりに行いくぞ!
面白おもしれえ、どこまでも共ともに行ゆこうぞ!
驕おごる平家へいけに追おう源氏げんじ 間まも無なく合戦いくさのひとよ前まえ
折おれぬは刀かたなか忠義ちゅうぎの心こころか 俺おれらの時代じだいの幕開まくあけだ
こいつが新あらたなクロウ伝でん
知しらぬが仏ほとけの苦労くろう伝でん
飲のんで飲のまれて飲のまれて飲のんで 通とおしてみせようのちの世よへ
くそー!……クロウ殿どのお強つよい
ヤスヒラ殿どのも筋すじが良いい
共ともに戦たたかえる日ひが楽たのしみだ
クロウ殿どのは鎌倉かまくら殿どのと共ともにこの国くにを変かえるお方かた
我わが一族いちぞくも、必かならずやそのお力ちからになろうぞ
はい父上ちちうえ!
ところでさっきから睨にらんでるそこの二人ふたりは?
クロウ殿どの、ヤスヒラ様さまに対たいし無礼ぶれいな振ふる舞まいが過すぎるのでは?
稽古けいこのことか?
ヤスヒラ殿どのはお強つよい。手加減てかげんする方ほうが無礼ぶれいになる
クロウ殿どの……!
詭弁きべんですね
まあまあ兄上あにうえ。どうです?
次つぎは私わたしたちが稽古けいこをつけてもらうというのは
よい。私わたしはヤスヒラ様さまに大事だいじないよう見張みはっているだけだ
俺おれたちを値踏ねぶみしてんだよな? 勝気かちきでいいね
わはは! ではやろうぞ弟おとうと君ぎみ!
じゃあ俺おれは兄上あにうえといくか
だから私わたしは
面白おもしろそうだ
見みせてやれツグノブ、タダノブ、奥州おうしゅうに佐藤さとう兄弟きょうだいありと
御意ぎょい
まずい
私わたしは何なにを……?
御免ごめん!
参まいりました!
クロウ殿どの?
はい、これ飲のんで
さあてやろうか佐藤さとうタダノブ!
油断ゆだんさせるための演技えんぎ? 何なんの為ために
いい腕うでだ佐藤さとう兄弟きょうだい 俺おれの刀かたなになれ
主あるじはヒデヒラ様さまヤスヒラ様さまのみ
源氏げんじが挙兵きょへいする今いま 鎌倉かまくら戻もどり一旗ひとはたあげる機会きかい
私わたしは行いかない
兄上あにうえに従したがう
良いいではないか。クロウ殿どのに同行どうこうしろ
いいないいな 私わたしも行いきたい
命令めいれいとあらば仕方しかたない
兄上あにうえに従したがう
いざ行ゆかん鎌倉かまくらへ
兄上あにうえと共ともに平家へいけを打倒だとうだ
まあ鎌倉かまくら殿どのに合流ごうりゅう次第しだい、奥州おうしゅうに戻もどればいいんじゃない
バカを言いうな。ヒデヒラ様さまは源氏げんじの動向どうこうを見極みきわめろとおっしゃっておられるのかもしれん
真面目まじめだなあ兄上あにうえは
源みなもとクロウ義経よしつね、兄上あにうえの挙兵きょへいを聞きき、参さんじました
クロウ、共ともに源氏げんじ再興さいこうのため力ちからを尽つくそうぞ
そのお言葉ことばの為ためにこれまで生いきて参まいりました
お前まえに会あえるのはこの上うえない喜よろこび
不遇ふぐうの時ときをよく耐たえてくれた
兄上あにうえ……
家臣かしんも皆みな良よい面構つらがまえだ。クロウを頼たのんだぞ
我われらは家臣かしんでは……
今いまこそ源氏げんじが平家へいけを討うち滅ほろぼす時とき!
一同いちどう、この弟おとうとクロウの旗はたは我わが旗はた、クロウの声こえは我わが声こえと思おもえ!
大たいした御仁ごじんだ。大将たいしょうとはああでなくてはな
そうかぁ? 腹はらに一物いちもつって顔かおだぜありゃあ
兄上あにうえに限かぎって裏うらなどない。さあベンケイ、ツグノブ、タダノブ
後おくれを取とるな。西にしへ向むけ、進軍しんぐんだ!
驕おごる平家へいけに追おう源氏げんじ はじまる合戦いくさだ開戦かいせんだ
ベンケイ妙手みょうしゅに
クロウの奇策きさく
ハマりにハマって快進撃かいしんげき
みるみるうちに無双むそうの一行いっこう
酒さけさえ切きれねばどこまでも
この崖がけを馬うまで?
無理むりだ! 私わたしにそんなことできるはずが……
はい飲のんで
上策じょうさくだ。さすがベンケイは面白おもしろいことを考かんがえる
ええー!
兄上あにうえはやめた方ほうがいい
おや? 弟おとうと殿どのの方ほうが馬うまが上手じょうずかな
いえ、そんなことは
タダノブは武芸ぶげいの才さいに関かんして全すべて私わたしより秀ひいでている
そんな自信満々じしんまんまんに
佐藤さとう家けの跡継あとつぎ問題もんだいとか考かんがえもしないのかね
だから私わたしはお前まえに跡継あとつぎを
ウチはお人好ひとよしの兄上あにうえがいれば十分じゅうぶんだよ
兄弟きょうだいとはいいものだな
私わたしも兄上あにうえとお前まえたちのようになれるだろうか
さて、それじゃ行いきますか。そらっ!
兄上あにうえ!
私わたしだってこれぐらいの崖がけ……
これは……無理むりか。
諦あきらめるな!
二人ふたり乗のせては馬うまがもたぬ!
捨すて置おかれよ!
馬鹿ばか言いえ
主ぬしら兄弟きょうだいは二人ふたり
そろってこそだろう!
信しんじられない。あんな無茶むちゃを――
クロウはなんでも拾ひろうからな
痛快つうかいだったな! 敵軍てきぐんは大騒おおさわぎだ!
我われら兄弟きょうだい、命いのち尽つきるまで「クロウ様さまにお仕つかえいたします」
命いのちは尽つかすな
俺おれはどこまでも共ともに駆かける友ともが欲ほしい
御意ぎょいに
不思議ふしぎな魅力みりょくを持もつ男おとこ 出会であっちまったら仕方しかたない
のちの世よも、またのちの世よも、ともに!
そうか、クロウが。頼たのもしいな
流石さすがはクロウ殿どの! 私わたしも早はやく共ともに!
己おのれも仲間なかまも……理想りそうだな
佐藤さとう兄弟きょうだい、クロウ殿どのを頼たのむぞ
ここまでやりゃ十分じゅうぶんだろ、一旦いったん退ひくかぁ
どうなさいますか
逃にげよう!
酒さけが切きれたか
クロウ様さま! ぐっ……!
兄上あにうえ! 兄上あにうえの仇かたき!
勝手かってに殺ころすな……クロウさま、ご無事ぶじですか
お前まえがかばってくれたから私わたしはなんとも、それより傷きずの手当てあてを
このくらいなんとも。どこまでもクロウ様さまと共ともに参まいります
ダメだ!
また必かならず会あえる。それまでに傷きずを癒いやしてくれ
……かしこまりました。必かならずや、再ふたたびクロウ様さまの元もとに
また勝かったか、クロウ
あと一息ひといきで……鎌倉かまくらの天下てんかだ
これが……平家へいけとの最後さいごの戦たたかいとなる
俺おれに続つづけ! 船ふねへ飛とび移うつるのだ!
お供ともいたします!
あんま張はり切きりすぎるなよ。柄がらにもない
兄上あにうえの分ぶんまで働はたらかなくては申もうし訳わけが立たたない
そんな性格せいかくだったか?
でないと兄上あにうえが無念むねんさのあまり、治なおった腹はらを切きりかねないからね
なるほど
タダノブ後うしろだ!
やはり柄がらにもないことはするものじゃない
大丈夫だいじょうぶだ、すぐに終おわらせる
では私わたしは少すこし……休やすませてもらうとします……
あぁ、お前まえはそこでゆっくりぐー……
お前まえは寝ねるな! ったく
ツグノブもタダノブも何故なぜそこまで…
俺おれはそんな風ふうに言いってもらえるような人間にんげんじゃない
あの時とき助たすけたのも酒さけの力ちからを借かりただけ
素面しらふの俺おれでは、きっと一いっ歩ぽも動うごけなかった
我々われわれの勝利しょうりだ。皆みな、勝かち鬨どきをあげよ!
クロウ! クロウ! クロウ! クロウ!!
これが……源みなもとのクロウ義経よしつね
ふふ……大たいした弟おとうとだ
よろしいのですか、御屋形おやかた様さま!
あれは少すこしやりすぎた。この辺あたりで退場たいじょう願ねがおう
情じょうに流ながされては源氏げんじは一ひとつにまとまらぬ
せめて凡才ぼんさいであればどうとでもしてやれたのだがな……
力ちからの足たりぬ兄あにを恨うらめ、弟おとうとよ
源氏げんじの兵へい……なるほどね
何なにかの間違まちがいだ!
話はなせばわかって……
目めを覚さませ! 兄上あにうえはあんたが目障めざわりになったんだよ
さっさと逃にげるぞ
いやしかし
広ひろい世界せかいに出でるんだろ
俺おれたちの時代じだいってのは誰だれかに奪うばわれていいのか?
「俺おれは、俺おれたちは、」お前まえを信しんじてついてきてるんだ
やはり酒さけがないとダメか?
いや、いい!
兄上あにうえのお気持きもちも……わかった
私わたしには……血ちのつながりよりも深ふかい縁えんが残のこっている
クロウ殿どの、お待まちしておりました!
すまない。どこへ行いっても兄上あにうえの手てが回まわっていてな
源氏げんじの世よを作つくった立役者たてやくしゃはクロウ殿どのです!
それをこのような……
兄上あにうえにも兄上あにうえのお考かんがえがある
ヨリトモ殿どのの……お考かんがえ
クロウは必かならず貴方あなたがたを頼たよってくる
助たすけるフリをして身柄みがらを我われらに引ひき渡わたして欲ほしい
そのようなこと奥州おうしゅう武士ぶしとして
お父上ちちうえなき今いま、奥州おうしゅう藤原ふじわらを背負せおうのは貴方あなただヤスヒラ殿どの。私わたしとクロウどちらに着つくべきか、よくお考かんがえを
ヤスヒラ殿どの?
何なにもお気きになさらずご滞在たいざいください
私わたしは生涯しょうがい、貴方あなたの友ともです
おい
ヤスヒラ殿どの、まさか
違ちがう! 私わたしはこのような……! 下さがれ!
クロウ殿どのに刀かたなを向むけること、このヤスヒラが誇ほこりと藤原ふじわらの名なにかけ決けっして許ゆるさぬ!
ヤスヒラ殿どの……ご立派りっぱになられて。私わたしのことは切きり、兄上あにうえにつかれるが良いい
私わたしはクロウ殿どのを裏切うらぎりませぬ!
貴方あなたにも、守まもらねばならぬ者もの達たちがいる。
しかし!
信しんじてくれ! 俺おれは絶対ぜったいに死しなない
……
……私わたしも貴方あなたの隣となりで戦たたかいたかった
願ねがわくば……のちの世よでこそ、ともに
終おわらせろ
全軍ぜんぐん、敵てきは源みなもとクロウ義経よしつね、武蔵坊むさしぼうベンケイ。一騎当千いっきとうせんの二人ふたりだ
気きを抜ぬかずかかれ。敵かなわぬと思おもうならば逃にげろ
誰だれも死しぬな!!
さすがにこの数かずはきついな
何なにか策さくはないのか? ベンケイ
策さくならあるぜ。……ここは俺おれに任まかせて、先さきに行いきな!
ダメだ! 一人ひとりでこの軍勢ぐんぜいを相手あいてにするなど
ほら、飲のめ
飲のまぬ!
ここは譲ゆずらぬぞ!
素面しらふでそう叫さけぶあんたを見みて、俺おれの面白おもしれえは合あってたって思おもえた。悪わるいがここは譲ゆずれねぇ。他ほかに策さくがないんでな
勝算しょうさんはあるのか?
俺おれはあんた以外いがいにゃ負まけねえよ。わかったらさっさと行いきな
後あとで合流ごうりゅうする
…………必かならずだぞ。お前まえのいない世よではつまらぬ
我われこそは源みなもとのクロウ一いちの刀かたな、武蔵坊むさしぼうベンケイ!
さあて、千せん本ぼん目めはどいつだ!
願ねがわくば、貴方あなたの力ちからになりたかった
私わたしを憎にくんでいないのか
鎌倉かまくらを一ひとつに。頭領とうりょうは二人ふたりいらない
聡さとさも兼かねるか
……ならば源氏げんじ再興さいこうの礎いしずえとなれ
悲劇ひげきの英雄えいゆうとして永遠えいえんに語かたり継つごう
……あんたのおかげで人間にんげんってのも悪わるくねぇって思おもえたぜ?
だが! 俺おれはここで止とまるわけにはいかぬ
俺おれを待まつ友とものために、俺おれは死しなぬ!
あくまでも従したがわぬか
だが、俺おれも譲ゆずれぬ!
仲間なかまと違たがえて行いける高たかみがあって、仲間なかまがいるから見みえる瞬間しゅんかんがある。オレは……これでいい。これがいい。綴つづるさん、ありがとな
俺おれは、ここでしか作つくれないものを、俺おれにしか書かけないものをみんなと一緒いっしょに探さがし続つづける。作つくり続つづける!
天馬てんまー!
綴つづるー!
クロウ、ベンケイ そこを、どけーー!
私わたしだけが……生いき延のびてしまった
皆みなにもらったこの命いのち捨すてるわけもいくまい
クロウ様さま~! クロウさま!
助太刀すけだちいたします!
ツグノブ、タダノブ!
遅おそくなり申もうし訳わけございません
奥州おうしゅうに向むかったところ、すでに討うたれたと聞きき……
絶対ぜったいに死しぬはずないと兄上あにうえが聞きかなくて
よく来きてくれたな
ベンケイ殿どのは……
私わたしをかばって、一人ひとり……
……いけ好すかないところもありましたが、忠義ちゅうぎに厚あつい武士ぶしでした
あんたら兄弟きょうだいはすぐ人ひと殺ころすな
ベンケイ!!
よお。これからどこへ?
決きまってる!
遠とおい海うみの向むこうの、もっと広ひろい世界せかいだ!
上等じょうとうだ
どこへなりと!
仕方しかたない。文字もじ通どおり、乗のり掛かかった舟ふねだ
行ゆこう
のちの世よも、またのちの世よも、今いまもまだまだ、ともに!!