少女と水蜜桃 歌詞 ALI PROJECT ふりがな付

幾いくつになったら少女しょうじょと
呼よばれなくなるのでしょう
母かあさま わたしはもうとうに
大人おとなになってしまったの

春はるの節句せっく
緋ひ毛氈もうせん 敷しいた部屋へやの

段飾だんかざり雛遊ひなあそび
ひそかな囁ささやき
しずかに人形にんぎょうたちの
目めが見下みおろす

庭にわの隅すみで莟つぼみの
桃ももの木きが軋きしむ
傾かたむく屏風びょうぶの中なかへ
吹ふく風かぜにひとひら
舞まって落おちる 紅あかい影かげ

人生じんせいはいたづらですか
選えらべぬおみくじのよう
母かあさま 不幸ふこうなあなたと
同おなじでもいい子こでいます

点ともす炎ほのお
仏ほとけさま 浮うかぶ お顔かお

白しろい畳紙たとうしの上うえ
散ちらばる黒髪くろかみ
いつでも優やさしい指ゆびで
結ゆわれていた

果実かじつに巣す喰くう虫むしの
そのおぞましさを
憎にくみ尽つくそうとしても
胸むねだけに仕舞しまって
少女しょうじょのままで 在あるために

たとえ貴女あなた
知しっていて
黙だまっていても

段飾だんかざり雛遊ひなあそび
たおやかな微笑びしょう
わたしはあの人形にんぎょうに
なりたかった

庭にわの隅すみで盛さかりの
青あおい枝えだに今いま
甘あまやかな蜜みつも持もたず
固かたい果肉かにくのまま
実みのって落おちる 桃ももひとつ