双生プロヴィデンス 歌詞 少女病 ふりがな付

「名前なまえを知しれない、小ちいさな村むら。
村人むらびとたちは神かみを深ふかく信仰しんこうし、慎つつましく暮くらしていた。
そこに、一際ひときわ敬虔けいけんな夫婦ふうふがいたという。
皆みんなから愛あいされ、穏おだやかに、平穏へいおんに。小ちいさな幸しあわせと共ともに」

「彼かれらには、たったひとつだけ不幸ふこうがあった。
夫婦ふうふは長ながらく、子こを授さずかる事ことができなかった」

「妻つまは祈いのる」「夫おっとも祈いのる」

「神かみより、新あらたな命いのちを授さずかるべく。
そうして、漸ようやく。村むらの誰だれもが二人ふたりを祝福しゅくふくする----はずだった」

もしも罪悪ざいあくに重おもさがあるのなら
生せいを授さずかって 小ちいさな身みにかかる負荷ふかに惑まどう

重かさなった産声うぶごえは過あやまちを悔くいてか
神かみに赦ゆるされぬ双子ふたごという宿業しゅくごう 禁忌きんきの子こら 呪のろいの子こら

十字架じゅうじかの重おもさ分わけ合あって 背負せおい生いきていく
きっと二人ふたりなら
でも 永遠とわに降おろすことはできないのですか? MyGod...

「やっと授さずかった神かみの贈おくり物ものにあるまじき形態けいたい。
それでもと夫婦ふうふは必死ひっしに懇願こんがんする。
二人ふたりがこの村むらに----この世界せかいに受うけ容いれられるようにと」

異物いぶつ 怪物かいぶつと後うしろ指ゆびさされた
全すべてが平等びょうどう されど敬虔けいけんさだけが不揃ふぞろい ----神かみとの距離きょり

普通ふつうなら さして難むずかしくないはずの願ねがい
小ちいさく儚はかない
ねぇ、叶かなうのなら 二人ふたりだけで生いきる希望きぼうを
あぁ リディア
リフルにも
孤独こどくの闇やみに囚とらわれぬように
神かみの御慈悲おじひが降ふり注そそぐように
想おもいは背負せおう罪つみより重おもくなっていた

「今日きょうもまた、姉あねのリディアはリフルに神かみの存在そんざいを説とく」

「いい、リフル?神様かみさまはいるのです。あなたもそれを信しんじなさい。
そうすれば、あなたも皆みんなに嫌きらわれずに、寂さびしい思おもいをせずにすむの」

「頷うなずきながらも、リフルは控ひかえめに言葉ことばを紡つむぐ」

「……実じつはね。私わたし、いつかこの村むらを出でようと思おもう。
それで……その時ときは、リディアも、一緒いっしょに。
ねぇ、来きてくれるかな……?」

二人ふたりで 生いきていくことができるなら
ねぇ、明日あすの事ことさえわからないけど
たったひとつの約束やくそくに 無数むすうの願ねがい 想おもいを託たくして
共ともに生いきていこうと 手てのひらを重かさねた

あらゆる権利けんりを持もてず けれどきっと二人ふたりにも
どうか救すくいを でも...
夢ゆめを抱だく権利けんりくらいは与あたえられて---- そうでしょう? ねぇ、ねぇ...
小ちいさな望のぞみ----

「妹いもうとからのおもいがけない誘さそいの言葉ことば。
それにはっきりとは答こたえずに、
それでも姉あねは包つつみ込こむように優やさしく……約束やくそくをした」

「……リフル、大丈夫だいじょうぶ。いつまでも……ずっと、一緒いっしょよ。」