慟哭ブリザード～お雪のテーマ～ 歌詞 せきぐちゆき ふりがな付

あの日ひの恐怖きょうふを忘わすれたの
人間にんげんは愚おろか どこまでも愚おろか
慟哭どうこくのブリザード

吹雪ふぶきにさまよう男おとこの前まえに女おんなは現あらわれた
白しろい肌はだ 黒くろい髪かみ 絶望的ぜつぼうてきな美うつくしさ
女おんなは微笑ほほえみ ささやいた
お雪ゆきと申もうします そんなに震ふるえて
わたしが抱だいてあげましょう
吐息といきかけられた その耳みみはたちまち凍こおり
男おとこは思おもわずお雪ゆきを突つき飛とばした
哀かなしみと怒いかりがお雪ゆきの目めに浮うかぶ
にがさない のがさない
雪ゆきの化粧けしょうは剥はがされ 醜みにくい夜叉やしゃが現あらわれた

吹雪ふぶきの炎ほのおが取とり囲かこむ
涙なみだを凍こおらせ 男おとこはただただ
命乞いのちごいをするだけ
わたしを生涯しょうがい愛あいすなら 助たすけてあげましょう
醜みにくい素顔すがおも 秘密ひみつに出来できるのなら

男おとこはお雪ゆきを嫁よめに迎むかえた あまりの美うつくしさに
町まちびとはうらやみ 男おとこは有頂天うちょうてん
うちの嫁よめさん この世よ一いちの美人びじんだ
なんて言いいながら よそに女おんなを作つくった
その日ひは凍こごえる雪ゆきの晩ばん
アンタの奥おくさん綺麗きれいだと評判ひょうばんね
若わかい女おんなは男おとこにしなだれた
そうさ けれども 怒いかると怖こわい
アイツは 泣なく子こも黙だまる 雪ゆきの夜叉やしゃ そう笑わらいながら
重かさなる素肌すはだ それを見みつめる 襖ふすまの隙間すきま 真まっ赤かな瞳ひとみ
ゆるさない ゆるさない お雪ゆきは 襖ふすまに手てを掛かけた

けれどお雪ゆきは その手てを戻もどし
ひとり 雪道ゆきみちを引ひき返かえした
怒いかり 妬ねたみ 悲かなしみ 嗚咽おえつとともに 強つよまる吹雪ふぶき
醜みにくい夜叉やしゃがそこに居いた

あの日ひの恐怖きょうふを忘わすれたの
人間にんげんは愚おろか どこまでも愚おろか
自分じぶんはそれよりも愚おろか

この世よで一番いちばんきれいだと
男おとこは言いったから
醜みにくい素顔すがおを二度にどと見みせたくなかった

あの日ひの誓ちかいを忘わすれても
美うつくしいままの 自分じぶんの姿すがたを
覚おぼえていてほしかった
鋭するどい つららを 手てに取とって
自分じぶんの胸むねへと お雪ゆきは突つき刺さした
慟哭どうこくのブリザード