樹き雨さめのそぼ降ふる
霧きりらふ 森もりの中なかに
鉄漿染かねぞめを 塗まぶした
黒くろき歯はが 浮うかぶ
垂髪すべしがみ乱みだす
頚くびの他ほかに 持もたぬ
女おんなは 滑滑つらつら
恋歌こいうた 口遊くちずさむ
仄ほの冥ほのぐらき其その歌うたに流ながるる 侘わびよ
其そは 騙だまし絵えの 如ごとく
黄色きいろい花はな娶めとり
赤あかい花はなを囲かこう
白しろい花はなを手て折たおり
青あおい花はなを手籠てごむ
嫡妻ちゃくさいの糺問きゅうもん
のらりくらり躱かわす
堪たまり兼かねた末すえに
黄色きいろい花はなは散ちる
泪なみだを 流ながして
彷徨さまよう 頚くび在あらば
躯からだを 探さがして
流離ただよう 折返おりかえし
黄色きいろい花はなは散ちり
赤あかい花はなは逃にげる
白しろい花はなに刺さされ
青あおは実じつは男おとこ
散ちったはずの黄色きいろ
化ばけて出でて云いうには
然されど わっち矢張やはり
あんた無なしじゃ居いれぬ
何なにかを 無なくして
呻吟さまよふ 頚くび在あらば
貴方あなたを 探さがして
漂ただよう 女郎花おみなえし
仄ほの冥ほのぐらき其その歌うたに流ながるる 侘わびよ
其そは 騙だまし絵えの 如ごとく
惑まどい 募つのり 新しんに白しろく
此この寛ゆるやかに流ながるる 刻ときよ
其そは 永久とこしえの 如ごとく
樹ki雨sameのそぼnosobo降fuるru
霧kiriらふrafu 森moriのno中nakaにni
鉄漿染kanezoめをmewo 塗mabuしたshita
黒kuroきki歯haがga 浮uかぶkabu
垂髪subeshigami乱midaすsu
頚kubiのno他hokaにni 持moたぬtanu
女onnaはha 滑滑tsuratsura
恋歌koiuta 口遊kuchizusaむmu
仄hono冥honoguraきki其soのno歌utaにni流nagaるるruru 侘wabiよyo
其soはha 騙damaしshi絵eのno 如gotoくku
黄色kiiroいi花hana娶metoりri
赤akaいi花hanaをwo囲kakoうu
白shiroいi花hanaをwo手te折taoりri
青aoいi花hanaをwo手籠tegoむmu
嫡妻chakusaiのno糺問kyuumon
のらりくらりnorarikurari躱kawaすsu
堪tamaりri兼kaねたneta末sueにni
黄色kiiroいi花hanaはha散chiるru
泪namidaをwo 流nagaしてshite
彷徨samayoうu 頚kubi在aらばraba
躯karadaをwo 探sagaしてshite
流離tadayoうu 折返orikaeしshi
黄色kiiroいi花hanaはha散chiりri
赤akaいi花hanaはha逃niげるgeru
白shiroいi花hanaにni刺saされsare
青aoはha実jitsuはha男otoko
散chiったはずのttahazuno黄色kiiro
化baけてkete出deてte云iうにはuniha
然saれどredo わっちwatchi矢張yahaりri
あんたanta無naしじゃshija居iれぬrenu
何naniかをkawo 無naくしてkushite
呻吟samayoふfu 頚kubi在aらばraba
貴方anataをwo 探sagaしてshite
漂tadayoうu 女郎花ominaeshi
仄hono冥honoguraきki其soのno歌utaにni流nagaるるruru 侘wabiよyo
其soはha 騙damaしshi絵eのno 如gotoくku
惑madoいi 募tsunoりri 新shinにni白shiroくku
此koのno寛yuruyakaにni流nagaるるruru 刻tokiよyo
其soはha 永久tokoshieのno 如gotoくku