組曲「九尾」～照魔鏡 歌詞 陰陽座 ふりがな付

漂ただよう膿うみ 心こり 濁にごして
幾度いくど目めかの 伽とぎ 苛いらちて
障さやりし旨むね 問とい合あわせど すげない素振そぶり
桃花あら染ぞめに 臍ほぞを噬かむ

容貌かたちを視みらば 打うち遣やる 此この疑ぎ氷ひょう
打うち遣やれ 其その疑ぎ氷ひょう

簓ささらの態ざま 肚裡とり 括くくりて
もう御座おざなりの 伽とぎ 遣やり付つけ
曝さらける胸むね 抛ほり出いだせば 貪ぬさぼる頭かぶり
何なんぞ 笑えみが こぼこぼれる

体躯からだに痴しらば 吹ふき飛とぶ 此この紕まよい
吹ふき飛とぶ 此この紕まよい

遊すさぶも 対ついの 契ちぎりと
努々ゆめゆめ 此この旨味しみ 忘わすれさせぬと

尾おろぞ見みゆる 九きゅう尾ここのおろが
鱗いろこ落おつる 牝め狐ぎつねの化生けしょう

嗚呼ああ 然さこそ 優女やさめ
持もてり 情じょうの 証しるし
嗚呼ああ 元もとへ 商しょうの
女めら 飾かざろう 装具そうぐ

有あられ無なき 仰おおせ いと 惜おしけしや
徒然つれづれに 添そうた 蜜みつを 喪うしないて
謂いわれ無なき 仰おおせ 愛いとおしき日ひは
微睡まどろみと 知しって 崩くずれ 消きえ惑まどう

鏡かがみを視みらば 巧たくみの 臍落ほぞおちぬ

荒すさぶも 終ついの 契ちぎりと
おめおめ 傾国けいこく 忘わすれられじ
抜ぬかるも 不意ふいの 限かぎりと
夢ゆめ夢ゆめ 飽あいたと 忘わすれて仕舞しまえ

泡沫あわと潰ついえし 此この上うえの
沙汰さたなぞ 興おこり無なし
憖なまじ 智恵ちえなど 振ふるいたる
汝うぬが 業わざを 呪のろえ

叢むら立だちの 蟻ありに 隠かくる
傍かたわら痛いたし 下さげ
寂滅じゃくめつの 凪なぎに ぽつり
疼うずく躯からだ 浸ひたせ

居いるも 詮せん無なき 此この宮みやの
上かみに残のこせし 翳かげ
喩たとい 去されども 揮ふるいたる
波紋はもん 灼あらたかに 怖おじよ

おお 歪ゆがむ 躯からだ 固かたむ
矢や竦ずくみの 背せなを 綰わがぬ
おお 裂さける 貌かおを 刳えぐる
藻み女ずくめの 胞衣えなは 要いらぬ