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Caramelの活動休止から3ヶ月。ルミがソロとしてふたたびステージへ。彼女は歌を通して宣言「この命が絶えるまできっと歌い続けていくのだろう」


衝撃の活動休止宣言から数ヶ月…

突然の活動休止の発表は、衝撃の二文字しか思い浮かばなかった。昨年末でライブ活動を停止。その2ヶ月後に当たる2月1日、Caramelが活動を休止した理由について、3人は公式twitterを介し直筆メッセージという形で伝えた。          

Caramelの活動を通し、本気で音楽へ人生を捧げてきた。だからこそヴォーカルのルミは、このまま音楽活動を離れようかとさえ考え込むほど、自分の人生を見つめ返す日々を送り続けてきた。

その間にも、凌ぎを削ってきたバンド仲間たちの姿を目にし刺激を受ければ、ライバルの解散という悲しい現実にも立ち会った。みずからゲストヴォーカルとしてステージに呼ばれ、歌ったこともあった。

日々の中へ、当たり前に音楽が寄り添っている。むしろ、音楽という軸が人生の軸としてあることへ改めて気づいたからこそ、ルミはふたたびステージの上に立つ決意をした。

彼女は舞台の上で、再び声を上げ始めた。

舞台に帰ってきた。

5月8日(月)、奇しくもCaramel最後のライブ会場となった下北沢Regのステージに、ルミは新たな始まりの鐘を鳴らそうと立っていた。この日は、出演者たちがアコースティックなスタイルで演奏をするイベント。これまでCaramelを影で支え続けてきた4人のミュージシャン/クリエイターたちを演奏者として迎え、彼女は舞台の上で、再び声を上げ始めた。

ライブは、福原美穂のカバー曲『優しい赤』からスタート。その歌は、オリジナルの匂いを残しながらも、心の奥底から想いをビブラートさせるルミの色へ次第に染まりだした。しっとりしたアコースティックな演奏の上で、ルミは心の奥底に閉まっていた本心を伝えるように歌を響かせてゆく。その深い歌声は、ゆっくりと、でも確かに心へ染み込んでいった。なぜ、この曲を彼女は選んだのか、その答えは、それぞれの想いに委ねよう。

「最期まで精一杯歌うからみんな楽しんでいってね」の声に続き、ここからは、ルミとして作り上げたオリジナル曲たちを次々と披露し始めた。

軽快に弾む演奏の上で、優しく声をはべらせ歌いだしたのが、『今日の自分を愛してあげよう』。心地好く弾む演奏の上で、ルミの歌声が軽やかにステップを踏みだした。でも、演奏が進むごとに彼女の歌声には次第に熱と力が漲ってゆく。何より、手拍子をしながら満面の笑顔で歌う彼女の姿が眩しかった。ここにいることが喜びと言わんばかりに、ルミは歌うことを楽しんでいた。

歌声が熱を帯びてゆくのも、彼女の性格を思えば納得だ。「今日の自分を愛してあげよう 何度も傷ついてきたのでしょう」と、ルミは歌いかけてきた。幾多の試練を乗り越え歩んできた日々を、軽やかに歌い届けるところが、照れ屋で負けん気の強いルミらしいじゃない。

「毎日がつらくても、今だけは楽しんで、楽しんでる自分を愛してほしい。と思って『今日の自分を愛してあげよう』を作りました。今日、ソロとしてステージに戻ってきました。私の再スタートを見届けてくれて本当にありがとうございます。最後まで精一杯心を込めて歌います」

優しい旋律に乗せ、会場中の人たちがルミの動きに合わせ大きく手を振り出した。キーボードの塩野海氏が作曲を手掛けた『usagi no heya(仮)』が、スーッと胸に染み込んでゆく。彼女も身体をゆったり揺らしながら、場内の人たちを見つめ、心地好く弾むポップな曲を軽やかに、気持ちを弾ませ歌っていた。なんてあったかい空気だろう。でもその香りは、どこか新鮮だった。

磨かれたルミの表現力

続いて流れたのが、ギターのsakuの手によるナンバー。しっとりとしたピアノの音色に心寄り添わせ、爆発寸前の感情を震わせながらルミが歌いかけてきた。なんて胸をグッと揺さぶるラブソングだ。

ルミは歌を通し、心に溜め込んだ想いを告白するように吐き出してゆく。その歌声に触れている間、この愛しい歌を独り占めしたい気分だった。ルミは全力で想いをぶつけようと歌いかけてきた。触れた人たちの心を、ルミは瞬時に刹那い恋の色に染めあげた。昂る想いを心のスクリーンへリアルに映し出すルミの表現力に、改めて魅惚れた気分だ。

「twitterの一個一個の"いいね"やコメントが、私を前へ押してくれました。ホントに待っててくれて、今日スタートを見届けに来てくれてありがとうございます。私も今日から新しいスタートを切ることから、そういう人たちの心に寄り添っていく歌を歌っていけたらなと思います」

切々としたピアノの音色の上で、想いを噛みしめるようにルミはゆったりとバラードナンバー(『タイトル未定』)を歌いだした。「勝ち負けのない世界で生きる意味は見いだせるか?傷つくことに怯えずに欲しいものは手に出来るか?」、これまで自問自答してきた感情を、改めてみずからへ問いかけるように。

何より、歌う理由を自分で確かようと、ルミは逡巡する気持ちを最後の歌にぶつけてきた。この日のステージへ立つまでに悩み葛藤した想い。新たな旅立ちを決め、明日へ歩み出すために手にした強い意志。彼女の中に渦巻いたいろんな心の機微を、ルミは最後のバラードに、この日歌った曲たちに詰め込んだ。

「信じれば信じるほど自分を傷つけるけど、それを辞めたら私は二度と光を見れない」「この命が絶えるまできっと歌い続けていくだろう」。この歌は彼女の宣言だ。

いや、この日のライブ自体が、ここから歩きだすための、ルミの最初のスローガンだ。幾つもの歌に込めた言葉を聴き、未来にホッと安心した気分だった。

どの歌の歌詞にも叫びを上げたルミの心の声が書き殴られている

吹き上がるマグマのような熱い感情を演奏に乗せ叩きつけていたCaramelとは異なり、ルミは、優しく穏やかなポップソングを軸に据えてきた。この日はアコースティックなスタイルだからそう響いたのか、それは今後のライブを見て確かめるしかない。

一つ言えるのは、どの歌の歌詞にも叫びを上げたルミの心の声が書き殴られていることだ。それを痛いと取るのか、生々しいと受け止めるのか、「同じだ」と共鳴するのか、そこは聞き手に委ねたい。ただ、ルミは本気で自分の魂を歌詞や歌にぶつけている。

覚悟を背負った表現者ほど頼もしい存在はない。ルミは、一番自分らしくいれる場へ戻ってきた。これから先、彼女がどんな風に音楽と歩み続けていくのか、その未来が楽しみになってきた。

次は、6月3日に渋谷eggmanで行われる「Girl's UP!!! vol.200」へ出演する。Caramelとしてホームグラウンドの一つにしていた会場のステージへ、今度は一人で立ち向かう。しかもこの日は、相棒だったギターのゆーみが活動しているバンドCODE OF ZEROとも共演。その日が、今から待ち遠しい。

PHOTO:山路杏奈
TEXT:長澤智典

ルミ twitter

サポートメンバー twitter
Gt.saku @Sinxix
Ba.okam @okamu_xix
Dr.荒山 諒 @ryoarayama
Pf.塩野海 @shio_apf

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