U2 世界最大のバンドがすべて(エクスペリエンス)を注ぎ込んだ、2017年の最重要作!
U2の3年ぶり14枚目の新スタジオ・アルバム『ソングス・オブ・エクスペリエンス』が12月1日発売された。2014年リリースの前作『ソングス・オブ・イノセンス』と対になる作品で、この2作のタイトルは、18世紀のイギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの詩集“Songs of Innocence and Experience”(『無垢と経験の歌』)からインスピレーションを得ている。アイルランドの詩人・小説家でダブリンのトリニティ・カレッジ名誉教授であるブレンダン・ケネリーがボノ(ヴォーカル)にアドバイスしたこと――「自分が死んだかのように書くのだ」――を受け、ボノの心に近い場所、家族、友人、ファンといった親しい人たち、そして自分自身に宛てた手紙の形をとった曲が収録された。このアルバムは、U2がすべて(エクスペリエンス)を注ぎ込んだ最上級のサウンドとメロディ、すべてをかけて伝えたいメッセージである。
イギリスの音楽誌MOJOは「今世紀最強のU2」と評している。
ダブリン、ニューヨーク、ロサンゼルスでレコーディングが行われ、プロデューサーはU2のアルバムではおなじみのジャックナイフ・リー、ライアン・テダーとスティーヴ・リリーホワイト。そしてアンディ・バーロウ、ジョリオン・トーマス(ロイヤル・ブラッド、スレイヴスなど)も名を連ねる。
アルバムのセカンド・シングル「ゲット・アウト・オブ・ユア・オウン・ウェイ」(4曲目)とそれに続く「アメリカン・ソウル」(5曲目)は、第60回グラミー賞7部門にノミネートされた今最も重要なアメリカ人ラッパー、ケンドリック・ラマーの声で繋がっている。ケンドリック・ラマーの最新アルバム『ダム』に収録されている「XXX feat. U2」にボノが歌う「アメリカン・ソウル」の一部がフィーチャーされていたが、その原曲はこれだった。また、レディー・ガガ、ハイムというアメリカの若手アーティストや、ジュリアン・レノンがゲスト参加した曲もある。
U2の2017年はノンストップだった。5枚目のアルバム『ヨシュア・トゥリー』(1987)の30周年記念盤をリリース、それを祝福する<ヨシュア・トゥリー・ツアー 2017>では北米、ヨーロッパ、南米の270万人のオーディエンスを前に永遠に色褪せない名曲の数々を演奏。ツアー終了直後に『ソングス・オブ・エクスペリエンス』のリリースを発表、「ベスト・シング」、「ゲット・アウト・オブ・ユア・オウン・ウェイ」というU2らしい魅力にあふれる高揚感のあるシングル2曲と、「ザ・ブラックアウト」、「アメリカン・ソウル」という鋭いロックンロールな曲を先行リリース。フランスのNRJミュージック・アワード(名誉賞を受賞)では会場となったカンヌのパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレの屋上で、MTVヨーロッパ・ミュージック・アワード(グローバル・アイコン賞を受賞)ではロンドンのトラファルガー広場で、壮観なパフォーマンスを披露し、アルバム・リリースとなった。日本のiTunesではすでに1位を獲得している。
アルバム・ジャケットに写っている2人は、『ヨシュア・トゥリー』のジャケットなどU2の写真で有名なアントン・コービンが撮影したイーライ・ヒューソンとサイアン・エヴァンス。それぞれU2のボノとジ・エッジのティーンエイジの子供である。彼らに宛てた手紙(曲)も当然ながらある。こうしてロックンロールは未来へ継がれていく。
なお、デジタル・アルバムに関するニュースも。『ソングス・オブ・エクスペリエンス』のハイレゾ(96kHz/24bit)版が、U2のアルバムでは初めて同時リリースされる。