坂本龍一、デビュー40周年!ソウルでの初のエキシビション『Ryuichi Sakamoto Exhibition: LIFE, LIFE』開催決定!
デビュー40周年を迎えた坂本龍一のソウルでの初のエキシビション『Ryuichi Sakamoto Exhibition: LIFE, LIFE』開催決定!piknicオープン記念特別企画
『Ryuichi Sakamoto Exhibition: LIFE, LIFE』
会期:2018年5月26日〜10月14日
5月26日にソウルの中心地である南山のふもと会賢洞(フェヒョンドン)でオープンする新しい文化、アート空間の“piknic”(GLINT社)。
そのオープニング・イベントとして開催されるのが『坂本龍一: LIFE, LIFE』です。
5月から10月までの約5か月に渡って行われるこの特別展示は、5年前に同社が行なった大規模な『ECM: 沈黙の次に美しい音』展と同じく音楽ファン、アート・ファンの心に残る展示になることはまちがいないでしょう。
この『坂本龍一: LIFE, LIFE』は、今年デビュー40周年を迎える世界的なアーティスト・坂本龍一の音楽家、芸術家、そしてアクティビストとしての多様な歩みを紹介するかつてない規模の展覧会となります。
坂本龍一は1978年に結成された、テクノポップ・グループYMO (Yellow Magic Orchestra)の世界的な成功とともに国際的に知られるようになりました。ソロ・アーティストとしてもデビュー・アルバム『千のナイフ』(1978)以降、ほぼすべてのアルバムが世界規模で発売されています。そしてもちろん、『戦場のメリークリスマス』(1983)、『ラストエンペラー』(1987)『シェルタリング・スカイ』(1990)など数多くの映画音楽でも注目を集めてきました。
近年も米国映画『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)日本映画『母と暮せば』(2015)韓国映画『天命の城』(2017)など世界各国の映画を手がけ、国際的な話題となっています。
これら音楽家としての活動と同時に、坂本龍一は21世紀に入ってからは芸術家としても多くの作品を発表し、数々の芸術祭や美術展に出品するほか、自身も同時に札幌国際芸術祭2014など大規模な芸術祭のアーティスティック・ディレクターを務めています。
こうした音楽や美術での活動により、坂本龍一は韓国国内でも名前をよく知られたポピュラーなアーティストになっています。
しかし、彼は音楽と美術の世界でつねに新しい可能性に挑み続ける進歩的なクリエイターであると同時に、1990年代から継続して環境問題や平和運動に関する積極的なアクティビストであるという面も見逃すわけにはいきません。
近年においても、森林保全、人権問題への提言や活動、そして原子力発電や日本の憲法改定への反対姿勢を明確にするアクティビスト〜社会運動家であるという事実は、韓国でももっと知られるべき側面です。
今回、韓国ではじめて開催される坂本龍一特別展示は、咽頭がんを克服したのちの2017年に発表したアルバム『async』をはじめとする、彼の膨大な音楽世界を様々な方向から紹介すると同時に、1980年代からこれまでの、ナムジュン・パイク、アルヴァ・ノト、高谷史郎、アピチャッポン・ウィーラセタクンなど、坂本龍一が行なってきた多くの美術家とのコラボレーション作品も展示、上映します。
世界的にもかつてない規模で行われるこの『坂本龍一: LIFE, LIFE』展は坂本龍一というジャンルを超越した芸術家であり、ひとりの人間としての、これまでに見せてきたさまざまな“LIFE”と“ART”を多元的に紹介する特別なイベントとなります。
みどころ
1. 映画音楽のマエストロ、坂本龍一の傑作を振り返る。はじめて映画音楽を手がけるとともに、俳優としても出演した1983年の『戦場のメリークリスマス』(大島渚監督)から、坂本龍一の楽曲を効果的に使用した2018年の話題作『君の名前で僕を呼んで』(ルカ・グァダニーノ監督)まで、つねに映画界に名曲を提供する坂本龍一の足跡と功労を振り返る展示です。ペドロ・アルモドバル、ベルナルド・ベルトルッチ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥなど、世界的な映画監督たちが信頼を寄せる映画音楽家・坂本龍一の代表曲と懐かしい名曲たちをじっくりとご鑑賞ください。
2. 音と映像。坂本龍一と高谷史郎のインスタレーション作品を体験。
人工的な器楽音だけでなく、原始的な自然音も地球上の最も美しい音・音楽となることがあります。今回展示されるインスタレーション作品『LIFE - fluid, invisible, inaudible...』『water state 1(水の様態1)』は、自然音に対する坂本龍一の関心と敬意を、天と地と海を果てしなく循環する「水」という素材を通し、それらが高谷史郎の精緻な映像とデザインによって神秘的かつ瞑想的に表現されています。小さな展示室の中に満たされた巨大な自然。まるで宇宙から窓を開けて地球を眺めるような、特別な鑑賞体験となるでしょう。
3. 私たちにとって未知の坂本龍一。そのいくつもの素顔。
80年代はアイドル? 90年代は前衛芸術家? そして2000年代は社会運動家? 日本という枠組みを越え、アジアをも越え、自由かつ進歩的な世界市民(ワールド・シチズン)の一員として、さまざまな顔を持つ坂本龍一。音楽が彼の人生を導き、また彼の人生が彼の音楽を変化させてきました。咽頭がんを患ったことは、大きな不幸であり試練ではあったものの、同時に死の恐怖を見つめながら作られた新しい音楽はより深い響きを持つように。はじめて開催されるこの特別展では、芸術を愛し、芸術家を夢見る若者たちの目標、ロール・モデルでもある坂本龍一の多様な姿を紹介します。
4. 特別な空間と光景。piknicの屋上庭園へようこそ。
坂本龍一の40年の軌跡を辿る『坂本龍一: LIFE, LIFE』の締めくくりは、piknic屋上の大庭園。5月26日のオープン以降、展示が終わるまでの間、『坂本龍一: LIFE, LIFE』展を鑑賞したお客様だけが入場可能なルーフ・トップからは、北にはソウルの中心部の摩天楼、南にはソウルタワーと緑の稜線というまるで絵画のような景観をお楽しみいただけます。また、このルーフ・トップにあるラウンジでは、すべてのお客様へBluetoothヘッドフォンが提供され、そこからは坂本龍一の代表曲が流れてきます。すばらしい景観と音楽で屋上庭園ラウンジでのひと時をお楽しみください。
参加作家と主要作品
Zakkubalan: 『async - volume』コネチカット州ウェズリアン大学卒の2名の若きニューヨーカーであるNeo. S. SoraとAlbert Tholenが結成したZakkubalanは、写真と映像の境界を交差しながら多くの作品を創造してきました。本展示では、『async』のアルバム制作期間中に坂本龍一が過ごしていたプライベート空間に設置した多くのカメラの映像と、環境音、アルバム収録曲の音素材をミックスした作品 『async - volume』 を展示しています。
アピチャッポン・ウィーラセタクン:『async - first light』
タイ出身のアピチャッポン・ウィーラセタクンは、大学で建築を専攻したのちシカゴで映画学の学位を取得。その後に映画監督として1993年に短編作品でデビュー。詩的で神秘的、非線形的ともいえる長編および短編映画や映像インスタレーション作品を発表してきました。それらの作品では人間の記憶や潜在意識中のさまざまな政治、社会的なイメージを繊細に描き、2010年に 『ブンミおじさん』 でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞するなど、高い評価を受けています。今回の展示では坂本龍一のアルバム 『async』にインスピレーションを得たビデオインスタレーション作品 『async - first light』 を出品しています。
高谷史郎: 『async - surround』『LIFE - fluid, invisible, inaudible...』『water state 1(水の様態1)』
高谷史郎は京都芸術大学で環境デザインを専攻中だった1984年から、アート・ユニットdumb typeのメンバーとして活動するとともに、ソロ・アーティストとしても多くの作品を発表しています。その映像や音楽など多様なメディアを活用した舞台パフォーマンスやインスタレーション作品は世界各地の劇場やアートセンターをきょうも巡回中。1999年、坂本龍一のオペラ『LIFE』の映像を担当して以来、両者は現在まで『Forest Symphony』など数多くの共同作品を発表しています。今回の展示では、地球と生命の根源であると同時に、環境に応じて自由にその姿を変える“水”の、多様な様態とサウンドを研究・解析した大型インスタレーション 『water state 1』 とともに、 『LIFE - fluid, invisible, inaudible...』『async - surround』 などのコラボレーションの代表作がはじめて韓国で紹介されることになりました。
ナムジュン・パイク : 『電子の拓本 All Star Video』
ビデオ・アートの創始者でありフルクサス運動の主導者であったナムジュン・パイクは、疑問の余地なく20世紀最高の芸術家の一人と言えるでしょう。ニューヨーク、東京、ドイツなどに拠点を置き、多様なメディアを通じた前衛的かつ実験的な活動を行なってきたナムジュン・パイクは、青年時代の坂本龍一にも大きな影響を与えました。今回の展示で紹介される『電子の拓本 All Star Video』は、1984年にナムジュン・パイクが大衆文化を象徴するポップスターたちに敬意を表して制作した映像作品。ピアノを破壊する有名なパフォーマンス、シャーロット・ムーアマンとのチェロ・パフォーマンスなど、ナムジュン・パイク自身によって60〜70年代のフルクサスの音楽パフォーマンスを再演する場面などがおさめられています。この映像作品の中で坂本龍一はジョン・ケージ、ジュディス・マリナ、ヨーゼフ・ボイス、ローリー・アンダーソンら多くのアーティストをインタビューしています。
アルヴァ・ノト : 『insen Live』
ドイツ出身の音楽家であり、メディア・アーティストであるアルヴァ・ノト (アート作品展示の際はカールステン・ニコライ、本名で活動)は、“ドクメンタ”(1997)、“ベネチアビエンナーレ”(2001)、“札幌国際芸術祭”(2014)など、国際的な芸術祭に参加するほか、ベルリン新国立美術館、ペースギャラリーなどヨーロッパの美術館で多数の個展を行なっています。坂本龍一とはこれまで複数のコラボレーション・アルバムを制作し、多くのライヴ・パフォーマンスも行なってきました。今回の展示で上映される映像は2005年に制作された2枚目の共作アルバム『insen』 の発表を機に行われたコンサート・ツアーでのパフォーマンスを収録したもの。アルヴァ・ノトはここで坂本龍一が演奏するピアノの音を分解して再構成しつつ、その演奏に彼自身のサウンドと映像を融合させて、複合的かつ立体的な世界を構築しています。
ユ・ソンジュン : 『3つの流れの交わるところ Where the three flows intersect』
映画、パフォーマンス、絵画、そしてメディア・アートなど、ジャンルを越えつつ一貫して人間の“感情”を描いてきた作家のユ・ソンジュン。今回の展示のために、坂本龍一の音楽にある感情、サウンドトラックが使用された映画に流れる感情、そして音楽を聴く大衆の表情に現れる感情、この3種がどのように交差し、そして相互に作用をするのかに注目した3画面の映像作品を制作しました。また作品名 『3つの流れの交わるところ Where the three flows intersect』は坂本龍一の自叙伝、『音楽は自由にする』(2009)の小見出し「2つの流れの交わるところ」にインスピレーションを受けてのものです。
----------------------------------
入場:ADMISSION
一般:ADULT(満19歳以上)15,000ウォン
学生:STUDENT( 満13歳以上) 12,000ウォン
子供:CHILDREN( 満7歳以上) 10,000ウォン
※本展示の作品特性上、安全のため、満7歳未満のお子様の観覧は制限させていただいております。どうぞご了承ください。
----------------------------------
時間:HOURS
火TUE-土SAT:11:00-21:00(最終入場20:00)
日SUN:11:00-19:00(最終入場18:00)
月MON:休館
----------------------------------
アクセス:
piknic:ソウル特別市中区退渓路6街ギル30