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19本の「物語」に込めた上北健の問いかけ


上北健のライブ作品「Generate」を渋谷WWWで開催

上北健のライブ作品「Generate」が、4月3日(水)渋谷WWWで開催された。

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緊張感と静寂が充満しきった会場は、1本のライブとも劇とも言えるような表現を通して上北の魂を吐露する強烈な空間だった。

臨界点に達した時、会場のところどころからすすり泣く声が聞こえ、とんでもない一体感、カタルシスを感じた。形容し難いこの感動を紐解いていくと、上北健というアーティストがまさにチャレンジしようとしている表現の一端を垣間見ることができる。


上北健が毎年春に行ってきたライブは実験的な側面が大きく、これまでも華道家・塚越応駿とのコラボや、ダンサー・平原慎太郎らともコラボを行っており、今回もそのようなものではと受け止められていた。

しかし1月に自身のYouTubeアカウントなどで「Generate / Coremia Act:01」に向けての映像が発表されてから新しい演目のプロローグとなる映像や物語の断片を示す楽曲毎のメッセージが特設サイトで発表されると、これまでとは大きく趣の異なるテーマを掲げた公演になるのではという期待感も高まり始めた。

このような公演への期待と不安が混じった独特な雰囲気が流れる中、暗転と共にWWWのステージスクリーンにライブのプロローグとなる映像が映された。違和感というキーワードが散りばめられた5分間の不穏な映像で一気に会場内に緊張感を充満させた後、ゆっくりと全身に黒を纏った上北健が登場した。

ダンスと曲で多角度から表現する


冒頭の楽曲『Agony』から楽曲のコンセプトムービーとなる映像がスクリーンに映し出される。

「世界は無情 そう嘆くのも不毛 理想は理想 この苦悩こそリアル」という言葉を、ボーカルエフェクトによって無機質に整えられた声で呪文のように吐き出し、呼応するディストーションの効いたギターソロとバスドラムの重厚な響きが物語の開幕を高らかに宣言するものであった。

本公演「Generate / Coremia Act:01」ではオープニング、インタールード4本をいれた全19の楽曲それぞれにコンセプトムービーが制作されており、楽曲の歌詞だけでなく、世界感を表現するコンセプチュアルな映像がバックスクリーンに投影された。

また上北の隣では2017年の公演以来の共演となるコンテンポラリーダンサー・振付師の平原慎太郎が創作ダンスで楽曲を表現しており、オーディエンスは曲の世界観を様々な角度から解釈できるようになっている。


序盤は『Shadow Tag』、『I Need Kill』、『Letter』と繊細かつ心に響く揺らぎを同居させる歌声で、歌詞のフレーズをひとつ、またひとつと丁寧にオーディエンスの心に刻み込んでいく新旧の楽曲が続く。

体感したことのない緊張感のあるライブのなせる作用なのか、はたまた曲間の暗転している時間が通常のライブよりも長いためなのか、幕間で拍手も歓声も起こることはなく、

代わりにステージから放たれるメッセージ一つずつをオーディエンスが自身の中で咀嚼しているような時間が積み上げられていった。

ライブ中盤の『Gathering』という曲では、1曲丸々オーディエンスに目を瞑らせ、「あなたが体験した歓喜と絶望を思い出してほしい」というアーティストからの問いかけが映像を通して行われた。

本公演がアーティストからの一方的なコンセプトライブではなく、オーディエンス自身が空間を共有し何かを感じ取る命題を与えられる、ある種の儀式としての荘厳さを伴うライブであることを感じるものだ。

心を打つメッセージに、涙する場面も


ライブ終盤では昨年のコンセプトライブでも演奏された、“それまでは生きろよ”という強いメッセージが印象深い『TO BE ME』を披露。

リリースを望む声が多かった楽曲だけに、画面に映し出された胸を打つアニメーションと、哀しくも力強い上北のボーカルに涙するオーディエンスが多かった。

ステージの音楽と映像、そして平原氏が表現するダンス、その三位一体で楽曲毎にオーディエンスに曲が内包するメッセージを想像させた本公演は、「僕らが演じるものは何が良いだろう?」とオーディエンスに疑問を投げかける壮大な広がりを持つフィナーレ曲『Players』と共に幕を下ろした。

この日上北健として劇中内でのMCは一切なく、時としてバックスクリーンの映像とリンクするように動作を合わせるなど、あくまでもステージ上の1役割としてそこに佇んでいた。

アンコールで一人登場した上北は今回のコンセプトライブで伝えたかったことが2つあり、1つ目は「多くのことを感じ取れる人間になってほしい」2つ目は「苦しみには意味がある」とオーディエンスに語り掛けはじめる。

上北からの問いかけ


ふと、本公演が、今の急激な速さで変化する情報社会で忘れてしまいがちな「気づき、考える」ことへの上北からの提唱を具現化した物であると気づかされる。

それは画一的なライブというものへの固定概念にすら疑問を投げかけ、気付きをもたらすものでもあり、また、同時に上北が作品やライブを通して行う我々への問いかけでもあったのだ。

結果、今までもコンセプトライブとして、さまざまな表現方法で自身の音楽をオーディエンスに届けてきた上北健がまた新たな形でリスナーを救い、命題を与えた素晴らしいライブであった。

ライブの最後には6月に上北健名義としては2枚目となるオリジナルアルバムのリリースも発表されており、2019年、新しい季節の到来とともに上北の新しい活動に息吹を感じられるような公演となった。

東京公演 セットリスト

01. Opening
02. Agony
03. Shadow Tag
04. I Need Kill
05. Built Up
06. Letter
07. Katami
08. Awakening
09. Case1.1.1 HUMAN
10. Unkai

11. Gathering
12. Castle
13. Case1.2.1 AP-clock
14. Rising
15. Fluctuation
16. To Be Me
17. Case1.1.2 HUMAN
18. Generate
19. Players

EN1. ミスト
EN2. 新しい日

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