初音ミク「マジカルミライ 2020」
2020年11月27日(金)~29日(日)にインテックス大阪で開催された「マジカルミライ 2020」。初音ミクたちバーチャル・シンガーの3DCGライブと、クリエイター作品や企業コラボの企画展が併催したイベントです。
2013年から毎年開催しており、東京と大阪の2会場で開催されるこのイベント。
2020年は「MATSURI」をテーマに大阪が「夏祭り」、東京が「Winter Festival」となっています。
また、クリプトン社が開発した初の日本語版VOCALOIDである「MEIKO」が登場から15年目を迎え、大阪会場では彼女をフィーチャーした企画が実施されました。
UtaTen編集部がライブレポート
ヤマハが開発した音声合成技術VOCALOIDを使用した歌声合成ソフトなどで作られる楽曲、いわゆる「ボカロ曲」。
人間が歌うものとは違う、それらに疎いUtaTen編集部がコンテンツを学ぶため、ボーカロイドの代表的キャラクター初音ミクたちを愛する人々が集う『マジカルミライ 2020 in Osaka』に行ってきました。
観覧したのは、11月27日(土)2部のライブ。
座席を一つ空けて観客が入るため、最後尾の座席からでも初音ミクの姿がよく見ることができました。
会場がまだ明るい中でも、流れるBGMの音量が上がると、みんな立ち上がり手拍子やペンライトを振り始めます。
そして会場のライトが消え、真っ暗な中無数の緑のライトの海が広がる先に、現れるバーチャル・シンガーの初音ミク。
「太陽系デスコ」「ハイパーリアリティショウ」「YY」を披露後、短いながらミクのMCが入ります。
「みんな盛り上がってる~」というミクの呼びかけや、観客に手をふる姿に思わず返事をしようとしたり、自然と手を上げそうになりました。
あまりにも自然にそこにいる存在に、ミクを含めMEIKOやKAITO、鏡音リン・レン、巡音ルカたちが人間でないことなど忘れてしまいます。
次元の垣根を忘れさせる演出
中央の大スクリーンでは常に、バーチャル・シンガーたちが踊ったり歌唱していますが、サイドディスプレイがあり、彼女たちのアップだけでなく、生演奏をするバンドメンバーの人たちも映ります。
中でも、UtaTeh編集部二人が目を引いたのは「ハイパーリアリティショウ」の時のミクと、バックカメラからの映像。
「ハイパーリアリティショウ」は歌姫としての初音ミクというよりは、バンドのボーカルのようにステージを動きまわり荒々しい姿を見せくれます。
そんな中で、生演奏をしているバンドメンバーと初音ミクがサイドディスプレイに映る画面を見ると、まさに「人間と初音ミクが共演している!」と思わされる瞬間でした。
もう一つのバックカメラ映像。
正面で今まさに踊っている彼女たちの姿を見ている中、その後ろ姿が映るとより彼女たちがいる空間に奥行きがあるように錯覚させてくれました。
人間の声がない80分間
本来であれば、ステージ上の彼女たちに向けてたくさんの人たちが声援を送っていたのだろうと思います。
しかし、今はコロナ禍で観客は声を出すことはできません。
そこに、もどかしさを感じることもありましたが、人間の声がない、ボーカロイドのキャラクターたちの声だけを聴くことができたライブ空間は、私達人間が彼女たちの世界に入ったような感覚にも。
そして何より、揺れる多くのペンライトや手拍子の音で、ライブの盛り上がりに一体感がありました。
彼女たちがはけて、バンドメンバーの紹介となった際も言葉はなく楽器のみでしたが、ペンライトの動きなどから予想以上に盛り上がっていたのも印象的です。
ライブ終盤が近づくにつれ、彼女たちの存在はより近くリアルになります。
その錯覚がピークに達している終盤で、「私を愛してくれるみんなに」と歌われた『愛されなくても君がいる』。
『愛されなくても君がいる』はマジカルミライのテーマソングでMVもイベント開催よりもかなり前に公開されいます。
しかし、ネットの動画で見るよりも、はるかに彼女の言葉として聴こえてくるミク視点の歌詞。
この実感はこのライブ会場でしか味わえないものだったのではないでしょうか。
やっぱり彼女たちは、一人の人間ではない
最後、ミクは「愛しているよー」といって、今までそこにいたのに、彼女はそれぞれの色の光の玉となって飛んでいく。
観客に手を振って舞台裏に履けていく、そんな演出でもいいはず。(ミクからMEIKOへと楽曲が移る際にはステージサイドへとはけていく場面もありました。)
最後は人としてはなく、実体のない光となって、現実世界から去っていく彼女たち。
それはまるで、みんなの初音ミクとしてステージに立っていたミクが、それぞれのクリエイターたちの元へと帰っていく様にも見えました。
キャラクターを愛すクリエイターたちの想いが集う場所
マジカルミライは初音ミクたちをきっかけに「創作」活動をする人たちの交流の場として催されています。
企画展ではさまざまな人が描いたキャラクターの絵姿がありまずが、みなそれぞれにバラバラ。
同じキャラクターでありながら統一感はありません。
日常的にネットの動画やイラストといった様々なコンテンツをディスプレイ越しに楽しむ。
しかし、あのライブ空間では「たった一人の初音ミク」がみんなの前に現れます。
そして様々な人が作った楽曲を披露してくれる姿は、誰のものでもない「みんなの初音ミク」でもあるように感じました。
その一点に向かって観客は声援を送る空間だからこそ、彼女たちの存在感はよりリアルで生命を感じさせ、人間のように、一アイドルのように、そこに立っていると錯覚させてくれたように思います。
ネットのディスプレイ越しでは味わえない実感に、ここで、彼女たちにまた会いたい、そう思わずにはいられないライブと企画展でした。
それまでは、多くの人が「創作」した様々なボーカロイドたちの姿に出会い、「ボカロが好き」という気持ちが高まりこの場所に集うのかもしれません。
TEXT・ILLUSTRATION:UtaTen編集部
※イラストは編集部の記憶をもとに作成しているため、実際のライブとは差異があります。
※「VOCALOID」「ボーカロイド」「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標です。
※この記事内では、VOCALOID以外の歌唱合成ソフトも含めた楽曲やキャラクターの文化とジャンルの名称として「ボカロ」「ボーカロイド」と表現させていただきました。
セットリスト
1 太陽系デスコ 初音ミク ナユタン星人2 ハイパーリアリティショウ 初音ミク 鬱P
3 YY 初音ミク 23.exe
4 シャボン 初音ミク 蜂屋ななし
5 Gimme×Gimme 初音ミク・鏡音リン 八王子P × Giga
6 みかぼし KAITO 3106。
7 まるいうなばら 初音ミク ごーぶす
8 Nostalogic (MEIKO-SAN mix) MEIKO yuukiss
9 Amazing Dolce MEIKO・鏡音リン・鏡音レン ひとしずく×やま△
10 きみとぼくのレゾナンス MEIKO 斜め上P
11 完全性コンプレックス 巡音ルカ やみくろ
バンドメンバー紹介
12 秘密警察 初音ミク ぶりる
13 初音ミクの激唱 初音ミク Storyteller(GAiA×cosMo@暴走P)
14 キミペディア 鏡音リン・鏡音レン Junky
15 セカイ 初音ミク DECO*27×堀江晶太(kemu)
16 39みゅーじっく! 初音ミク みきとP
17 命に嫌われている。 初音ミク カンザキイオリ
18 愛されなくても君がいる 初音ミク ピノキオピー
初音ミク「マジカルミライ 2020」
マジカルミライ 2020 in OSAKA11月27日(金)~29日(日)
[ライブ]インテックス大阪 5 号館 A
※11月28日(土)・29日(日)の 2日間のみ
[企画展]インテックス大阪 3・4 号館
マジカルミライ 2020 in TOKYO
12月18日(金)~20日(日)
[ライブ]
幕張メッセ 国際展示場 9 ホール
[企画展]
幕張メッセ 国際展示場 10・11 ホール
【内容】
[ライブ]
「初音ミク」らバーチャル・シンガーによる 3DCG ライブ
[企画展]
ワークショップ、クリエイター作品の展示、ステージ企画、企画出展ブースの設置、グッズ販売 など
【主催】
東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(TOKYO MX)
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社
▷公式 WEB サイト
▷公式 Twitter