エフエム滋賀 e-radioが主催するアイドルイベント『UtaTen presents SHIGA IDOL COLLECTION 2024』が11月9日、滋賀県野洲市にある野洲文化ホールで開催され、オープニングアクトを含む過去最多14組のアイドルグループが出演した。
シガコレの愛称で親しまれる同イベントも、今回で11回目。古今東西のアイドルたちによる熱気あふれるライブステージもさることながら、ファンから事前に予約注文などを募った“特典企画”が充実しているのも、シガコレの魅力の一つとして触れておかなければならない。
自分が応援しているアイドルの写真、名前、グループ名が印字された特製飲料缶「推しコラボ缶」(中身はレモンスカッシュ)が販売されたほか、シガコレ名物となっている出演するグループやメンバーへのエールがプリントされた「推しバルーン」「推しのぼり旗」も掲示され、イベントをより賑わせた。特に「推しのぼり旗」は、「BEYOOOOONS 西田汐里 とにかくかわいい!歌もダンスも必見!」と特徴を捉えたものから、「カラフルスクリーム なこ なこに会えた今世 大優勝!」とビッグな愛を伝えるものまでバラエティに富んだメッセージが載っていて、ついつい見入ってしまう。
いずれもシガコレでしか手に入らなかったり、見ることができなかったりするものばかり。そのため、開場前の時間などを利用してこれらの“特典企画”の写真を撮るアイドルたちの姿もあった。
みらくらんど
本編開演前の12時30分。まずステージに登場したのが、シガコレのオープニングアクト出場権をかけた予選会を勝ち抜いた、みらくらんど。「Uh〜1 2 3 4!」のカウントに合わせて両腕を真横に広げて横揺れする独特の振付曲「上↑上↑ジョイフル!!」で場内を活気づけ、「ねおぷら―neo planetarium―」でも「真似してね」「一緒に踊ってね」と“たけのこポーズ”の振りコピを呼びかけるなどして楽しませた。
そして最後に「シガコレ出場権をかけたバトルで、予選、決勝と連れてきてくれてありがとうございます」と自分たちを後追いしてくれたファンに感謝。「みんなのおかげで掴んだステージです」とシガコレでパフォーマンスができたことを喜んだ。
UNLAME
本編のトップバッターを飾ったのは、AKB48の現役メンバーと一般参加者によって行われたオーディション「OUT OF 48」の選出者からなるUNLAME。「I am I」「Prismatic...」など、学生服風の衣装と大人っぽい曲調のギャップで瞬く間にUNLAMEの色に染め上げていくと、「VIVID GIRL」ではピースサインなどを織り込んだ振付、そして「笑顔」などポジティブなワードをまじえた歌詞で観客を聴き入らせていく。
MCではメンバーのSAEが「琵琶湖のように大きく声を出して盛り上がりましょう」と日本一大きな湖の雄大さを引き合いに出し、きらびやかさを全面に出した“攻め曲”「KIRAKIRA Tune」ではそれまでの落ち着いたムードとは一変させ、メンバーが曲間「Say!」とレスポンスを求めるなどして観客のテンションを高めていった。
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プエラの絶対値
「ここにいるみんなの声を聞かせてください!」。そう伝えてパフォーマンスをスタートさせたのは、プエラの絶対値。さらに「みなさん一緒に真似してください」と、手を頭の上に立てたり、ぴょんぴょんと飛び跳ねたりするうさぎのポージング曲「ビビラビ」で一体感を作り出していく。
そんなプエラの絶対値の初のシガコレのステージは、歌とダンスを見せることに絞り切ったものに。MCもメンバー紹介程度でシンプルにまとめあげ、甘酸っぱい心情と情景が浮かんでくる「ブルーレモネード」、「デビューから歌い続けている曲です」と紹介した「青春Reboot!」、観客も一緒に拳を振り上げる「Q.E.D」と畳み掛けるように曲を披露。「全力疾走」という言葉がよく似合うライブとなった。
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AKB48
この日は、新井彩永、坂川陽香、平田侑希、山口結愛、久保姫菜乃、永野芹佳の6人編成で登場したAKB48。その幕開けを飾ったのは、日本のアイドルシーンに燦然と輝く名曲「大声ダイヤモンド」。イントロが鳴ると思わず、観客はもちろんのこと、関係者席でライブを見ていたアイドルたちからも「おお!」という興奮の声があがった。曲が進むにつれて、会場のあちこちから「大好きだ 君が 大好きだ」の歌声が大きくなっていく。
そのあとも「11月のアンクレット」「希望的リフレイン」「LOVE修行」などをパフォーマンス。MCでは久保が「私、初めて滋賀県に来たんですけど、こんなにたくさんの方に声を出して盛り上がってもらえるとは思ってもいなかったので嬉しいです」と笑顔。終盤は、メンバー同士で肩を組んでラインダンス風に踊る「Only today」、上半身を激しく揺さぶるアクション性が高い振付の「恋 詰んじゃった」の2曲で観客を魅了した。
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W.ダブルヴィー
2024年のシガコレに出演した関西拠点のアイドルは2組。その一角であるW.ダブルヴィーが関西組の先陣を切った。純白の衣装でステージにあらわれた8人。そして「シガコレ、一緒に楽しんでいきましょう」とメンバーがステージいっぱいに広がる。1曲目「僕の恋セゾン」は、縦幅、横幅を広く使ったスケール感たっぷりのパフォーマンスとなった。
2曲目「BPM174」は繊細かつ美しい動作の数々に引きつけられた。メンバーそれぞれ、指先の動きにまでこだわっていることがよく分かる。さらに「アイスキャンディー」といったワードが夏感を漂わせる「夏ドキッ!」、メンバー同士で顔を見合わせて笑顔をこぼすなどそれぞれの関係性が伝わってくる「Tune days」の全4曲で、W.ダブルヴィーの存在を“全国”にアピールした。
マジカル・パンチライン
SEが鳴る前、舞台袖からマジカル・パンチラインのメンバーたちによる気合い十分のかけ声が響き渡る。1曲目は、魔法陣を模ったような円形フォーメーションや、「アブラカタブラ」の歌詞など、グループの世界観が散りばめられた「マジカル・トキメキハイビーム」。腕を上下にシェイクするど派手なアクションの数々が、“パーティー”の始まりを実感させる。
「ぱーりないと!」ではタオルをぶん回して「さあいくぞ!」「シガコレ、回せ!」とお祭り騒ぎ。メンバーは、タオルを回すどころかもはや叩きつけるような勢いだ。「渚のサーフライダー」では「まだまだ声を出して」と煽り、「もう一度」でも拳を突き上げて「全員声出せ」と観客に迫る。感情を全面に押し出した4曲の演奏となり、最後は「『SHIGA IDOL COLLECTION』、一緒に盛り上がってくださり、ありがとうございました」と感謝を口にしてライブを終えた。
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KiSS KiSS
キラ・メイ、キャ・ノン、チャンベイビー、ナルハワールド、アイナスターの5人で構成されたユニット、KiSS KiSS。1曲目「ファンファーレ」は、メンバーが「手を叩け」とキュートに呼びかけてスタート。ハッピーなムードが会場を包み込み、「みなさん、クラップしてくれてありがとう」と感謝。次いで「きっとずっと一緒だよね?」などの歌詞やかわいい声色が特徴的な「楽園きゅ〜とぴあ♡」で、さらにファンの気持ちを釘づけに。
MCではアイナスターが「去年に引き続きシガコレに出させていただいて、滋賀に来るのも2回目。ずっと楽しみにしていました。踊れる曲、声を出せる曲があるので自由に楽しんでください」と話し、「ちゅっちゅっ」というキャッチーな言葉を連呼させる「ほっちゅ!」、ラップをおりまぜた「雨天決行」など全5曲をパフォーマンス。2年連続でシガコレを“キス”で埋めつくした。
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カラフルスクリーム
2023年のシガコレでは全国区のグループが揃うなか、唯一の関西勢として出演。「関西代表」と称しても過言ではないカラフルスクリームが、2024年も鮮やかにステージを彩った。1曲目「Innocent Scream」は8人の体全体を使ったキレキレの動きが強烈なインパクトを残す。くわえて、それぞれちょっとずつモーションをずらして動く振付も圧巻。2023年のパフォーマンスよりも堂々としているように映り、「一緒にいくで!」という一言もどこか頼もしい。
「シガコレにお集まりのみなさん、カラフルスクリームのことをもっと好きになってください」とラブコールをおくりながら歌い踊った「感情はラブ!」、メンバー4人がボーカルをとって別の4人が後ろに下がってダンスに徹するなど押し引きの繰り返しが見事な「彩叫幸福論-さいきょうこうふくろん-」など、披露したのは5曲。締めのMCでは「去年に引き続き、出演させていただき、めちゃくちゃ嬉しい」と喜び、「来年、まら出演できるようにがんばります。また会いましょう」と再会を約束した。
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Task have Fun
今回のシガコレの出演グループのなかでは、最小人数となる3人組。しかしそれを感じさせない、Task have Funの“厚み”が感じられた。1曲目「メインアクター」から、それまで積み上げてきたキャリアと貫禄を漂わせ、自分たちがこのイベントのメインアクターだと言わんばかりの威風堂々のパフォーマンスを見せる。続く「Hey!Diary」では、怒涛のごとく押し寄せてくる音にあわせて手数の多いダンスを披露。
白岡今日花は「久しぶりに滋賀へ遠征に来ました。シガコレは実は6年ぶり。久しぶりにこのステージに戻ってこれて嬉しいです。楽屋にもいっぱいサラダパンがあって、滋賀県を目いっぱい楽しみたいです」と2018年以来のシガコレ出演を喜んだ。そしてTask have Funの代表曲「3WD」のイントロが。足を大きく広げて腕を「C」の形にして横移動する“タスク名物”の振付に大きな歓声が上がる。さらに「タスク、行きます」の決め台詞に「待ってました」のムードが。ラスト曲「キミなんだから」も腕を広げて横揺れする振付を観客が振りコピ。キャッチーな動きだからこその一体感で賑わいを生み出した。
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ロージークロニクル
時刻は16時ちょうど。影アナで「ロージークロニクル」とグループ名が読み上げられると、どよめきが起きる。観客は総立ち。登場前の観客のリアクションはこの日一番だったかもしれない。1曲目「未来ハジマリ」は、一つひとつの細かい動作、呼吸がぴったり合っていて、ユニゾンの乱れも一切なし。腕の振りの角度やスピード感、足を広げたときの幅感にも狂いを感じさせない。9人のフォーメーションチェンジの美しさも見惚れてしまうほど。続く「ダイスキだけど付き合えない」での、「だから」と「だけど」の言葉のバトンリレーもお見事の一言。
そうやって完成度の高いパフォーマンスを見せる一方で、MCは初々しさが。松原ユリヤは関西でのライブにちなんでなのか、「お笑いが好きなのでギャグを披露します」と宣言。「私の名前は松原ユリアなのか、ユリヤなのか、どっちなんだい」と人気筋肉芸人のギャグを“カバー”して笑いを集めた。その後は、ハロプロ研修生ユニット’23の時から歌っている、ロージークロニクルのオリジナル楽曲「女で地球は回ってる」を披露した。それからも日本のアイドル史の最強ソング「有頂天LOVE」など先輩グループの曲を次々パフォーマンス。まるでロージークロニクルのワンマンライブかと錯覚するほどの会場の雰囲気となった。
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Devil ANTHEM.
2023年開催のシガコレでは、強力な重低音ときらびやかなEDMサウンド、そしてエネルギッシュなダンスパフォーマンスで観客の体力を奪い切ったDevil ANTHEM.。しかし今回は、1年前とはまた異なるモードでシガコレのステージへ戻ってきた。1曲目「夜明けの軌跡」では、以前よりもアーティスト性がより膨らみ、グループとしての味わい深さが生まれたことがひしひしと伝わってきた。切ない心情を歌った曲内容も聴き手にしみわたり、グループ自体の洗練を感じさせた。それは2曲目「ミッドナイトドライブ」も然り。楽曲が秘めている大人っぽい印象を、メンバーがしっかり表現できている様子が見てとれた。
以降も「FACT」などクラブ感たっぷりの楽曲をノンストップMIXで聴かせ、観客を踊らせた。そんなDevil ANTHEM.だが、2023年の出演時同様、今回もちょっとしたハプニングが。メンバーは「私たちがいつもつけているツノ(の衣装)が今日はなくて。前回のシガコレでは衣装を忘れてしまい、緊急で買った黒T シャツで出たのですが、今回はツノを忘れてしまいました。次はどんなハプニングが起きるのか…」と2年連続で“忘れもの”があったことを告白。次こそは“完全体”でシガコレに出演することを誓った。
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高嶺のなでしこ
1億回再生を超えるなど2023年の日本の音楽シーンで最大級のヒットとなった「可愛くてごめん」。同曲の歌声、メロディ、歌詞、そしてお馴染みの振付をシガコレのステージで見ることができて、観客にはこの上ない至福感があったのではないだろうか。さらに、メンバーそれぞれが頬を膨らませるなど、曲中、思いおもいの“かわいい”をアピール。高嶺のなでしこのパフォーマンスは、この1曲だけでも十分“おつり”が返ってくるようなものだった。
ただ、もちろんそれだけではない。「ヒロインは平均以下。」では、「シガコレ、声出せよ、よっしゃいくぞ!」「2番も声出せるよね? よっしゃいくぞー!」と観客を乗せ、「ファンサ」ではアイドルとして生きる自分たちの決意を歌にしていく。涼海すうの「みなさん、盛り上がってますか。滋賀県、そんなもんですか。まだまだ盛り上がっていけますか」と気合いあふれるMCも含め、かわいいだけではなく強さもみなぎる高嶺のなでしこのステージだった。
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GANG PARADE
「シガコレにお越しのみなさん、最後までギャンパレと一緒に楽しんでいきましょう」と呼びかけて始まった、GANG PARADEのライブ。12人がめまぐるしくフォーメーションチェンジをするなど、動きの活発さが見どころの「パショギラ」、メンバーたちがデフォルメを効かせて歌詞をセクシーに言い回すところ「SUPER PARTY PEOPLE」など、いずれのパフォーマンスもまるでミュージカルを観劇しているかのようなおもしろみがあった。また人気曲「Plastic 2 Mercy」では、メンバーの動きに合わせて観客も横の人たちと肩を組んで跳び上がるなどヒートアップした。
MCでは滋賀県出身のユイ・ガ・ドクソンが「僭越ながらわたくし、滋賀県生まれでございます」とグループを代表してあいさつ。「今日はシガコレに出演させていただけて、同郷(の人)にも会えて、滋賀県に滋賀(出身)じゃない人も遊びに来てくれたことも、滋賀県民は嬉しいこと」と“滋賀魂”を全開に。さらに、2024年に滋賀でワンマンライブをおこなった際、メンバー全員で琵琶湖汽船のミシガンクルーズやブラックバス料理を体験したことも振り返り、ユイ・ガ・ドクソンは「また時間があるときに、滋賀を楽しんでもらえたら。滋賀県が大好き」と故郷への愛情をあらためて口にした。
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BEYOOOOONDS
2024年のシガコレを締め括ったのは、BEYOOOOONDS。その“大役”にふさわしい自信がグループから伝わってくる。「虎視タンタ・ターン」では、誰がソロパートを担っても完成度の高さがある。こぶしを効かせたのびやかな歌声も圧巻だ。そういった完全無欠のボーカルとダンスを前にして観客のコールにも俄然、力が入っていく。「あゝ君に転生」でもその鍛え上げられたボーカル力が堪能でき、「フックの法則」はバネをイメージした中毒性の高い動きや歌詞で観客の熱気を上げていく。「アツイ!」では、タオルを振って盛り上げるだけではなく、それを振付のキーアイテムとして巧みに活用。おおげさでもなんでもなく、タオルを振ったときに発生する風が会場中に吹き荒れた。
全6曲の演奏を終え、メンバーの江口紗耶が「外が最近、寒くなっているんですけど、そんなことを感じさせないくらい熱い盛り上がりでした」とやり切った表情を浮かべると、岡村美波は「BEYOOOOONDSとして滋賀に遊びに来ることがなかなかなくて、今回初めて滋賀のみなさんにお会いすることができて嬉しいです。たくさんのアイドルのみなさんとご一緒して、すごく刺激になりました」とし、「BEYOOOOONDSには関西出身のメンバーもたくさんいるので、また関西に来られるようにがんばります」とさらなる飛躍を誓った。
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約6時間、少しも見逃せないほど満足感たっぷりのイベントになった『UtaTen presents SHIGA IDOL COLLECTION 2024』。早くも、1年後のシガコレが待ちきれない。
TEXT 田辺ユウキ
PHOTO ヤギタツノリ