「風伝説TOUR 2020 四方戦風」ライブレポ
新型コロナウィルスの影響で約3年間ツアーを行えていなかった湘南乃風。徹底した感染対策を講じた上で3月から全国ツアー「風伝説TOUR 2020 四方戦風 ~ぶっ飛べ クソアツい 粋な祭り 頂け一番~」の振替公演ツアーをスタート。しかし、緊急事態宣言等の影響により、日程の度重なる延期や、開場時間を早め、歓声が禁止され、彼らのライブの代名詞でもあるタオル回しにも会場によっては制限が生じるといった状況を伴いながら、なんとか進めてきた。
そんな紆余曲折あったツアーも残すは東京2公演、静岡公演、兵庫公演という4公演を残すのみ。10月25日東京ガーデンホールでのライブレポートをお届けする。
メインステージの上にさらにステージが設置された二階建て仕様のセット。
中央のヴィジョンに燃えさかるような太陽が映り、ステージ上に並ぶ4枚の障子のような幕が勇ましく破られ、HAN-KUN、若旦那、RED RICE、SHOCK EYEの4人が登場。
まずは「不死鳥」だ。「燃え上がれ fire burning yeah まさに火の鳥のように」と歌うと同時にヴィジョンには不死鳥の姿が映る。何度も歌われる「再生!」というメッセージに呼応するように、オーディエンスも勢いよくタオルを突き上げ、ジャンプ。
まさに3年ぶりの復活ライブの狼煙を上げるに相応しいオープニングだ。
HAN-KUNが「俺たちの声、聞こえてるか⁉ 3年ぶり」と叫んで「Joker」に突入。
「そんなもんじゃねえだろ?」と挑発するとオーディエンスが一斉にタオルを掲げる。着物を着たダンサー4人がステージ上段で踊り、華やかさも満載だ。
「黄金魂」では、HAN-KUN、SHOCK EYE、RED RICEの3人が歌う歌に若旦那の「自分らしくいろ!」というアジテートが乗る。のっけから一切手を休めずアッパーな楽曲を連打。
若旦那「次はタオルを持て! 今までで一番早くタオルを回せ!」ということで「Gold」へ。フロアの熱量によって、何度か曲を止め、限界を突破しようとする。
あのピアノの調べが聞こえ、国民的ヒット曲「純恋歌」へ。HAN-KUNが「ここにいるみんなで歌おうぜ。心ででっかい声で歌って。俺たち全部聞こえてるから。この景色から始まるぞ! 来れなかった人たちの分も楽しんで歌おう」とコロナ禍で声が出せない客席に呼びかけるとたくさんのライトが左右に揺れる。
一部歌詞を変え、「有明ガーデンシアターで心から歌おうぜ」と歌われたり、SHOCK EYEと若旦那が向き合って極上のハーモニーを聴かせたり、若旦那が「ひとつになりたい! 心の中で大合唱!」と叫んだり、誕生から15年が経っても色あせない美しいメロディとメッセージが場内をセンチメンタルな気持ちで充満させる。
たくさんのウェディング写真がヴィジョンに映し出される中、演奏されたラブバラード「指」。
HAN-KUNが「大好きな彼女がやがて大切なパートナーにかわり、かけがえのない母に変わる。すべての女性に俺たちから感謝と愛を込めてこの歌を」と曲紹介し、「母に贈るうた」へ。
続いては、オーディエンス同士が密着できないことを踏まえ、「肩組んだ振りしようぜ」とHAN-KUNから指示が飛び、隣のオーディエンスとエアーで肩を組み、左右に揺れるというコロナ禍ならではの光景が見られた「親友よ」。
湘南乃風の表現の重要な軸である近しい人との関係性を歌った曲を続け、オーディエンスのエモーションを高める。
アッパーな曲でどこまでも盛り上がった本編終盤。「Born to be WILD」では低音のビートと歌が轟く中、一旦オーディエンスをしゃがませてから勢いよくジャンプ。メンバー4人もオーディエンスも横にジャンプし、ど派手に盛り上がった「パブル」。
RED RICEが「俺らは何度転んだって起き上がる。何度でも這い上がるぞ!」と叫び、「一番歌」で締めくくられた。
アンコールでも一切テンションを落とさない。HAN-KUNが「本気モード突入! ここから20周年に向けて!」と叫ぶ。
そう、2023年は湘南乃風のアニバーサリーイヤーなのだ。HAN-KUNが「人生1回きり。良いことばかりじゃない。でも今めちゃめちゃいいね」と話した後披露された、「負けんじゃねぇ 泣くんじゃねぇ」と何度も叫ぶ「晴伝説」。
アウトロで若旦那が「20周年に向けて。頑張れば頑張るほどぶん殴られる世の中だけど俺たちは歌い続ける。だからお前らも生き続けろ! 掲げろ!」と口にすると、客席で一斉にタオルが掲げられる。ここでRED RICEも珍しく熱いMCを。
「俺自身何度も逃げ出そうとしたし、逃げ出す言い訳を探していた気がします」と話すが、このツアーを回れたことで気持ちを改められたのだと。
そして、「この前若旦那も言ってたけど、逆風が吹けば吹く程、湘南乃風らしく力を生み出せる。今の湘南乃風が一番かっこいい」と20周年に向けての決意を露にする。
ライブ当日に配信がスタートしたほやほやの新曲であり、アゲアゲの応援ソングである「茶柱立つ」も披露。湘南乃風にとっての『蛍の光』である「睡蓮花」も歌われた。ヴィジョンには日本全国のいろいろな場所でタオルを回す人々の姿が映る。
この日のライブでは、「この場所に来れなかった人の分も楽しもう」というメッセージが何度も繰り返されていたが、まさにその人々の思いもこの場所に集結したような「睡蓮花」だった。
また、ライブが後半になればなる程、2023年の20周年イヤーに向けて新たな伝説を築き上げようという宣言にも聴こえてくるライブだった。
デジタル配信情報
湘南乃風「茶柱立つ」
10月25日(月)各配信サイトにてデジタル配信スタート
▶配信サイト
Text by 小松香里