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INORAN『INORAN 2021-2022 PREMIUM ACOUSTIC LIVE』初日公演ライブレポート


『INORAN 2021-2022 PREMIUM ACOUSTIC LIVE』ライブレポ

11月23日(火・祝)、INORANがBillboard Live TOKYOにて『INORAN 2021-2022 PREMIUM ACOUSTIC LIVE』の初日公演を行った。


同会場での公演は2021年の3月以来となり、アコースティックセットでの音楽表現はINORANが大切にしてきた継続的な試みである。

9月に『TOKYO 5 NIGHTS』で繰り広げた5日間連続のロックンロール・ライヴとも、10月にリリースした最新アルバム『ANY DAY NOW』で見せた全編打ち込みのEDM的アプローチとも全く異なる内容で、INORANというアーティストの振り幅の大きさに改めて驚嘆。

INORANがヴォーカルとギターを務め、葉山拓亮 (Piano)、荒井桃子 (Violin)、島津由美 (Cello)と共に4人で音を紡いだ。1stステージ、2ndステージの1日2公演を実施、ここでレポートするのは1stステージの模様である。この後大阪、横浜での公演を控えているため、ネタバレを一部回避して記述した。

Billboard Live TOKYO初日公演ライブレポ



ドレスアップして出掛けるにふさわしい、ラグジュアリーな会場。

4人掛けのテーブルにはアクリル板を十字型に設置するなどコロナ対策はもちろんしっかりと施されているが、会場とコラボしたオリジナルドリンクを提供するなど、音楽を楽しむムードは開演前から空間に満ちていた。

客席の間を通り抜けてステージに登場したメンバーに、大きな拍手が起きる。

優しいピアノの音色からスタートした1曲目は「Walk along」。ヴァイオリンとチェロのハーモニーにうっとりと聴き惚れる。椅子にラフな姿勢で腰掛け、ハートフルな歌声を響かせるINORAN。

大きく身体を動かすことなくても、手をヒラヒラと空に舞わせたり胸に置いたりするジェスチャーからしっかりと心情が伝わってきた。

アコースティックギターを手に取って歌い始めたのは「Beautiful Now」。

「千年花」ではギターを背中に回し、スタンドからマイクをもぎ取るようなアクションも交えながら、緩急豊かに歌唱。

序盤でまず再認識したのは、INORANの歌唱がロックンロール・ライヴでのそれとは根本的に異なること、音数の少なさが際立たせるメロディーラインそのものの圧倒的な美しさだった。

「いろいろ昔の曲とか、アレンジし直したりして“新装開店”で今回は届けたいと思ってます」(INORAN)とMCで語った通り、全く別の形に生まれ変わった曲もある。

特にハッとさせられたのは「raize」。寄せては返す波のように奏でられるピアノで幕開け、ヴァイオリンとチェロが思いがけないアプローチで加わっていく大胆なアレンジで、INORANが歌い始めるまでは何の曲か分からなかったほど。

驚きと楽しさ、感動、音楽の自由さに喜びを感じる気持ちが、次々と心に沸き起こっていった。



セットリストは1stと2ndで数曲入れ替えがあり、筆者が取材で足を運んだのは1stだけだが2ndも是非体感したかった、と思わされるチョイス。

これは全体を通して言えることだが、元々バラードだった曲も、元来は激しいアレンジだった曲も、アコースティックセットに変わることでただ単に“優しくなる”わけでは決してなかった。

テンポはスローでも躍動的であったり、静けさの中に熱い炎を感じさせたり、音楽から迸るエネルギーを手に取るようにありありと感じることができるのだった。

「いろんなことがありましたよね、皆さん。僕たちもこの2年間、音楽をつくり続けてました」とコロナ禍に何気なく言及しつつ、「音楽って、ただただ完成度を高めようとか、そういうことじゃなくて。大きなテクニックとか志とかじゃなくて、とても大きな愛をみんなで共有するということが、音楽の……こういうコンサートの意義なんじゃないかな?って」とINORAN。

「温かい時間にしたい」「特別な時間だと思っている」と言葉を重ね、オーディエンスに真摯に語り掛けている姿が印象的だった。



「Ling Time Comin」はロッカバラード風のピアノで幕開け、コード進行も刷新。

ステージには温もりのあるオレンジの光がそっと灯り、会場にいる全員で、まるでひとつの暖炉や焚火に手をかざして温まっているかのような感覚に。寒さ、痛み、悲しみも、それを言い合える相手と過ごせば温かい。

そんなことをふと思うような体験だった。INORANは目の前の親しい人に話し掛けるかのように、ナチュラルに歌唱。ヴァイオリンとチェロが昂っていく終盤はドラマティック。

心を揺さぶるパフォーマンスに大きな拍手が起き、INORANもメンバーを拍手で讃え、微笑んでいた。

コロナ禍に見舞われても制作のスピードを落とすどころか加速し、2020年から2021年に掛けてアルバムを立て続けにリリースしてきたINORAN。

「3枚出したんだけど、イケイケで。そういった時に、このビルボードでのライヴがものすごく希少というか、尊い場所だったんだなと思って」と、アコースティックセットの意義を改めて噛み締めている様子。

かつてのビルボード公演ではカヴァー曲披露も恒例となっていたが、今回は自身の楽曲のみで構成。

「昔の曲が“問い掛け”てくるんですよ。『おいおい、俺を忘れてないか?』『私を覚えてる?』みたいな。同じ曲でも、置かれた時代によって、歌詞も違って聞こえるんだよね」と選曲プロセスを振り返った。

そういった曲からの“問い掛け”にINORANが耳を傾け、古くから大切にしてきた楽曲と新たな気持ちで向き合い、届けようとした新たな息吹。このライヴが温かく愛に溢れていたのは、そのことと無関係ではないだろう。



感染防止の観点から、まだ歓声やシンガロングには自粛を求めざるを得ない状況である。

しかし、INORAN自らレクチャーし、観客を巻き込んでクラップでリズムを刻む場面を設けるなど、一体感を高めるアプローチで楽しませていた。

「みんなとこうやってライヴができるのは、なんて幸せな時間なんだろうと思います。心からどうもありがとう。これからもこの空間を大切に大切にしていくのと同時に、来年も育んでいきたいと思っています」と感謝と決意を示した。

ある曲の途中、ステージの背後に光り輝く夜景が出現する瞬間は、ビルボードならではの見どころ。忘れることのできない美しい情景だった。

12月25日(土)に行われるBillboard Live OSAKA公演ではクリスマス・プレートを楽しめるプランも用意されており、特別な時間をより印象深く演出。2022年1月16日(日)にはBillboard Live YOKOHAMAでの公演が控えている。

ロックンロール・ライヴで立ち上がらせる燃え盛る炎とは違った、暗闇にポッとキャンドルを灯すような心温まる時間。INORANがメンバーと共に織り成す特別な空間に、是非身を置いてみてほしい。

取材・文:大前多恵
Photos by 田辺佳子

ライブ情報

『INORAN 2021-2022 PREMIUM ACOUSTIC LIVE』

2021年12月25日(土) Billboard Live OSAKA
◇1stステージ [開場]15:30 [開演]16:30
◇2ndステージ [開場]18:30 [開演]19:30

[料金]
サービスエリア¥14,000(クリスマス・プレート&グラス・シャンパン付)
カジュアルエリア¥8,500(グラス・シャンパン付)

[お問い合わせ] ビルボードライブ大阪:06-6342-7722

大阪公演詳細

2022年1月16日(日) Billboard Live YOKOHAMA
◇1stステージ [開場]15:30 [開演]16:30
◇2ndステージ [開場]18:30 [開演]19:30

[料金]
サービスエリア¥8,500
カジュアルエリア¥8,000(1ドリンク付)

[お問い合わせ] ビルボードライブ横浜:0570-05-6565

横浜公演詳細

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