トップバッターはテキサスからやってきたNOTHING MORE。MÖTLEY CRÜE、SIXX:A.M.らを擁するレーベルと新たに契約を結び、4作目となるセルフ・タイトルのアルバムで今回、日本デビューを飾った4人組だ。
Mark Vollelunga(Gt)とDaniel Oliver(Ba)が拳を振り上げ、客席を煽る中、ステージに飛び出してきた上半身裸のJonny Hawkins(Vo)がステージ中央に置かれたスネアとフロアタムを連打するというオープニングに若干、面食らったのか、スタートこそ盛り上がりはアリーナ前列に止まっていたものの、バンドが放つ熱気はあっという間に伝わっていき、演奏が2曲目の「Mr. MTV」になだれこむころには会場全体が手を振りながら、初めて日本にやってきたNOTHING MOREを歓迎していた。
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その「Mr. MTV」を始め、日本でリリースされたばかりのアルバムからの楽曲を次々に披露。
多彩な要素を持ちながら芯にはメタルの王道をしっかりと感じさせる彼らはマイク・スタンドに立てたベースをDanielとMarkが一緒にプレイするというアクロバティックなパフォーマンスも見せ、客席を大いに沸かせると、最後はメンバー全員でドラムを連打! 予想もしていなかった展開に再び面食らいながらも観客はステージの4人に拍手喝采。
見事トップバッターの務めを果たした彼らは日本でも人気者になりそうだ。
ステージ横のスクリーンに[Alexandros]という文字が浮かび上がると、“キャー”という悲鳴に近い歓声が客席のあちこちから沸き、いつも出囃子に使っている「Burger Queen」が流れる中、[Alexandros]の4人がステージに現れ、“俺たちが[Alexandros]だ。武道館!最高の夜にしようぜ!”という川上洋平(Vo/Gt)の掛け声を合図に「Burger Queen」から「Stimulator」になだれ込む。
すると悲鳴に近い歓声が今度は会場中に響き渡った。続けて「Waitress, Waitress!」「Kick&Spin」というすでにライヴではお馴染みの曲をたたみかけ、観客の気持ちを鷲づかみにしたあとは、今回、出演をオファーされたことに感謝を述べつつ、“HYDEさんからちょっとは気に入ってもらえてると勘違いしてます!(笑)”と川上が茶目っ気あるMCで会場を和ませ、“VAMPSのふたりに捧げます”と3月18日にリリースするシングルから「Dracula La」を披露。
ポスト・パンク調の演奏とポップなメロディの組み合わせが新境地を印象づけるロックンロール。観客の反応も上々だ。そして、“そのときまたお会いしましょう”と7月に2度目の武道館公演を行うことを伝えると、やはりニュー・シングルから[Alexandros]の新たなライヴ・アンセムになりつつある「ワタリドリ」を演奏して、30分一気に駆け抜けた熱演を締めくくった。
この夜、Gerard Wayの登場を心待ちにしていたファンは少なくなかったようだ。エモ/スクリーモ・ブームの急先鋒として、ここ日本でも人気を集めたニュージャージーの5人組、MY CHEMICAL ROMANCE(以下MCR)の元フロントマン。
ソロになってから初来日となる今回は、不穏に唸るキーボードとGerardのシャウトが胸をざわざわとさせる「The Bureau」を始め、UKロック調のサウンドが話題になった昨年9月発表のソロ・アルバム『Hesitant Alien』の曲を披露。2007年にMCRとして武道館のステージに立ったことを振り返り、“戻って来られて嬉しい”と語りながら、序盤、ニュー・ウェイヴ調のポップ・ロック・ナンバーで盛り上げると、中盤は激しいシャウトを聴かせた「Juarez」、メランコリックな「Brother」と落差をつけながら、「Get The Gang Together」ではアルバム以上にねちっこい演奏を聴かせ、観客を混沌とした雰囲気に誘い込んだ。
それは彼が今、やっている音楽がMCRとは確かに違うものだということを改めて印象づけるものだった。
そして、「No Shows」で“君たちの番だよ!”とシンガロングを求めた彼が演奏したのがJESUS AND MARY CHAINの「Snakedriver」のカバー。それが何を物語るのか想像を膨らませながら最後にブギ調の演奏を楽しませてもらった。
"VAMPARK FEST"1日目のファイナル・ラウンドを飾ったのは、もちろんVAMPSだ。
ゴーン、ゴーンとホラー映画を連想させる鐘の音と狼の遠吠えが会場中に響きわたるころにはスタンディングのアリーナはもちろん、スタンド席の観客全員が立ち上がっていた。オープニングは「REVOLUTION II」。
観客による激しい手拍子と“Bang on stomp everybody!”というシンガロングがあっという間に大きな渦となって、会場を飲み込み、その中心でVAMPSの旗を背負ったHYDE(Vo/Gt)がシャウトするハード・ドライヴィンかつダンサブルなロックンロール・ナンバー。
そこからたたみかけるようにK.A.Z(Gt)が「LIPS」のダイナミックなリフを鳴らしたとき、会場の空気が一変していることに気づき、思わず息を呑んだ。なんだこれは?!
いきなりレッド・ゾーンに振りきったバンドの演奏とそれを受け止めた観客の熱い反応が目の前の景色を一瞬のうちにVAMPSワールドに変えてしまっていた。
序盤からいきなりVAMPSの底力を見せつけられ度肝を抜かれたが、本当にすごかったのはそこからだった。
ヘヴィなダンス・ビートを鳴らした「TROUBLE」(のカバー)、スクリーンにミュージック・ビデオを映し出しながら曲が持つ世界観を存分に楽しませた壮大なバラードの「VAMPIRE’S LOVE」、そして光が舞う煌びやかな光景を描き出した「ZERO」と聴かせると、K.A.Zが印象的なリード・ギターを弾いた「AHEAD」から再びテンポ・アップ。
“Are you all bloodsuckers?!”とHYDEが客席を煽り、フラッシュ・ライトが激しく点滅する中、“みんなもっと悪い子にならないと!”と語りかけた「BLOODSUCKERS」、そして「DEVIL SIDE」とたたみかけたそのスリルはまさに急降下するジェットコースター。ダーティーなロックンロールを演奏しながらアップ・ダウンを繰り返す中にVAMPSが持つさまざまな魅力が凝縮された40分。一緒に歌い、拳を振り上げ、頭を振った観客達も大満足だったに違いない。
“寒い中よく来てくれたな。かなりの情熱を感じる”と客席に感謝の気持ちを伝えてから演奏したアンコールの「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」はNOTHING MOREとの共演という形になった。
“明日また会いましょう”というHYDEの言葉を聞き、会場の外に出ると、今日1日に降りつづけていた雨は止んでいた。
外は寒かったが、フェスの熱気に火照った身体にはむしろ好都合だった。
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