TVアニメ「マッシュル-MASHLE-」第2期・OPテーマ
魔法が当たり前の世界で、主人公・マッシュが愛しの筋肉を武器に「神覚者(神に選ばれし魔法使いのトップ)」を目指すアブノーマル魔法ファンタジー『マッシュル-MASHLE-』。2024年1月には、TVアニメ第2期『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』の放送もスタートしました。
今回考察するのは、そんな『マッシュル』第2期のオープニング主題歌・Creepy Nuts『Bling-Bang-Bang-Born』。
2024年1月7日に配信リリースされた1曲で、サビの歌詞に合わせて踊る「BBBBダンス」のTikTok動画も大バズりしている中毒性抜群の話題曲です。
同曲は、海外でヒットしている日本の曲をランキング化した Billboard JAPAN「Japan Songs(国別チャート)」にて、アメリカやイギリスなど計7カ国で首位を獲得しました(2024年1月19日~1月25日)。
世界的に大ヒットを飛ばしている『Bling-Bang-Bang-Born』の歌詞には、はたしてどのような意味が込められているのでしょうか。
マッシュの仕上がった筋肉をイメージしながら、じっくりと考察していきましょう。
ブリンバンバンボン(Bling-Bang-Bang-Born)は筋トレの呪文?
まずは「ブリンバンバンボン(Bling-Bang-Bang-Born)」の前半の歌詞の意味を見ていきましょう。
冒頭は、周囲の魔法使いたちがマッシュに対して抱いている脅威が表現されているように読めます。
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チート、gifted、荒技、wanted
禁忌、禁じ手、明らか盲点
反則、異次元、この世のもんでは無いです
無理ゲー、それ聞いてないって…
ayライバル口を揃えて
wowライバル口を揃えて
バグで、まぐれ、認めねーゼッテー
マジで?コレおま…全部生身で?
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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魔法が使えないことで魔法警察から追われることもあったマッシュ。
そんな「wanted」な彼の鍛え抜かれた筋肉や繰り出される技は、魔法が当たり前の世界では盲点にして反則級です。
筋肉に愛された、いわば筋肉ギフテッドなマッシュを相手取ることは、ライバルの魔法使いたちからすると「無理ゲー」を強いられたも同然。
彼の存在を魔法界の秩序を乱す「バグ」と見なしたり、魔法なしで魔法使いを倒しても「まぐれ」と評したりしたくなるのも頷けます。
しかしマッシュの異次元の筋肉を目の前にしたら「マジで?コレおま…全部生身で?」と驚きは隠せません。
次の歌詞も見てみましょう。
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It's 生身 It's 生身 yeah yeah yeah yeah
Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang-Born…
Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang-Born…
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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「It’s 生身 It’s 生身」と、マッシュの強みが小気味よく表現されています。
同様に繰り返される「Bling-Bang-Bang-Born」については、ここではひとまず音感を楽しむだけにとどめ、1番の歌詞の考察に入っていきましょう。
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実力を発揮し切る前に
相手の方がバックれてくらしい
上がり切るハードルvery happy
あきらかにダントツでピカイチ
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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本気を出す前にさらりと敵を圧倒できるマッシュの姿が想像できますね。
評判が広がってハードルが上がることは「very happpy」。
たとえ魔法が使えないことが知れ渡ったとしても、自分の「ダントツでピカイチ」な戦闘力への自信は天井知らずです。
続く歌詞はこちら。
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相変わらず脱皮してる毎日(Bling Bling…)
誰の七光も要らないお前のiceよりicy
俺、パッと見出来ない事ばっかりだけどvery happy
あ、キレてる…呆れてる周り
恵まれてる家族友達(happy)
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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淡々と筋トレをして成長するマッシュ。
本来「Bling Bling」は、キラキラの宝石を身につけたり外車を乗り回したり、派手な身なりで出歩くことを意味します。
ここでは、マッシュの筋肉が律動するさまだと解釈してみましょう。
また「ice」は覚醒剤や麻薬の隠語としても知られているので、パワーを解き放つ魔力のようなイメージができそうですね。
親の手を借りることもできなかったマッシュですが、日々トレーニングに明け暮れ、筋肉という最強の武器を手に入れました。
一見すると魔法界では無為に思える人生でも、彼はキレてる筋肉を解き放って周囲を圧倒しながら、“家族”や友達に恵まれた幸福を享受します。
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もう反則的立ち位置、皆俺に任せとけば良い(Bang Bang Bang)
教科書に無い、問題集に無い
超BADな呪い listen
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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「もう反則的立ち位置、皆俺に任せとけば良い」。
みなぎる自信に続く「Bang Bang Bang」からは、はち切れんばかりの筋肉が敵をなぎ倒していくようなイメージが湧いてきますね。
魔法学校の教科書にも問題集にもない「超BADな呪(まじな)い」とは、おそらくその鍛え抜かれた筋肉を呼び覚ます呪文のことなのでしょう。
さらに続く歌詞はこちら。
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鏡よ鏡答えちゃって
Who's the best? I'm the best! Oh yeah
生身のまま行けるとこまで
To the next, To the 1番上
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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「Who’s the best? I’m the best!(1番は誰だ?俺だ!)」というフレーズからは、「鏡」の答えがいらないほどの強大な自信が読み取れます。
「生身のまま行けるとこまで」魔法界でのし上がろうとするマッシュ。
「To the next, To the 1番上」には、神覚者候補選抜試験に挑戦するというアニメ第2期のシチュエーションも重なります。
そしていよいよ「BBBBダンス」のスタートです。
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now singin'
Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang-
Born…
Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang-
Born…
Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang-
Born…
To the next, To the 1番上
Eyday 俺のままで居るだけで超flex
Eyday 誰も口を挟めない(don't test)
Eyday 俺のままで居るだけで超flex
Eyday 誰も口を挟ませない(don't test)
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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ここまでの考察を踏まえると、「Bling-Bang-Bang-Born」は、ひたすら筋肉をいじめ抜いて破壊と発達を繰り返すさま(=筋トレ)を表した呪文だと考えられます。
無心でトレーニングに励み、鋼の肉体で魔法界のトップを目指すマッシュ。
「俺のままで居るだけで超flex」というフレーズからは、魔法の腕にばかり気を取られる世界でマッシュがのびのびと過ごしている雰囲気も伝わってきますね。
ちなみに「flex」には筋肉がピクピク動くという意味もあります。
筋肉を愛し、筋肉を養う「Eyday(毎日)」。
もはやマッシュを邪魔するものなど魔法界には存在しないかのように思えてきますね。
マッシュにも重なるラッパーの生き様
続いて、後半の歌詞の意味を考えていきましょう。
とくに2番は『マッシュル』とは離れて、R-指定のボースティング(自慢)と仮定して解釈していきます。
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学歴も無い前科も無い余裕でBling-Bling
この存在自体が文化財な脳味噌Bling-Bling
高級車は買える免許は無い愛車Green Green
全国各地揺らす逸品
このベロがBling-Bling
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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学歴も前科もないけど「余裕でBling-Bling」。
文化財級の脳味噌でもってラッパーとして名を馳せ、キラキラした生活を手に入れたというようなニュアンスでしょうか。
一方、高級車さえ買えるのに免許がないというどこか格好がつかないさまは、R-指定の親しみやすい人柄がにじみ出ているようで愉快ですね。
宝石で着飾るのではなく「ベロ」で武装して、グリーン車で全国各地の人を熱狂させに行く。
続く歌詞でも、そんな最強のラッパーの生き様がつづられているようです。
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バレットなら満タン
関西訛り生身のコトダマ
音楽、幸運、勝利の女神、今宵も三股Bang Bang
漫画みたいな輩とまんまで張りあえてしまってる漫画
圧倒的チカラこの頭と口から
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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満タンの「バレット(=銃弾)」、「関西訛りの生身のコトダマ」で勝負する。
その「コトダマ」はきっとラッパーの魂であり、弾丸です。
音楽の女神も幸運の女神も、そして勝利の女神をも撃ち抜く「生身のコトダマ」。
漫画みたいな輩(やから)と身ひとつでやり合う勝負の世界で、今日も彼は頭と口をフル稼働させて女神たちを口説き落とすのでしょう。
さらに続く歌詞はこちら。
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この身体tattooは入って無い
このツラに傷もついて無い
繰り返しやらかしてくダメージが
イカつい年輪を刻む皺
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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タトゥーのない身体、傷ひとつないツラ、漫画のような世界で漫画映えしない自分。
それでも、これまで繰り返してきた失敗を糧に「イカつい年輪」として皺(しわ)を刻んでいく。
その年輪は、きっと魔法使いの“あざ”の本数のような強者の証なのでしょうね。
次の歌詞も見てみましょう。
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Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang-
Born…
俺のままでBlingしてBangしてBangする為にBornして来たニッポン
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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脳味噌やベロを「Bling-Bling」しながら女神たちと「Bang-Bang」するため、ニッポンに「Born(誕生)」したR-指定。
型にはまることなく「俺のままで」人生をエンジョイしている様子が伝わってきます。
R-指定にとっての「Bling-Bang-Bang-Born」は、ラッパーとして生身でぶつかってきた人生そのものなのかもしれません。
そしてその人生やスキルへの自信は、マッシュが抱いている筋肉への自信に通じるものがあるのでしょう。
以降の歌詞は、前半と同様です。
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鏡よ鏡答えちゃって
Who's the best? I'm the best! Oh yeah
生身のまま行けるとこまで
To the next, To the 1番上
now singin'
Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang-
Born…
Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang-
Born…
Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang, Bling-Bang-Bang-
Born…
To the next, To the 1番上
Eyday 俺のままで居るだけで超flex
Eyday 誰も口を挟めない(don't test)
Eyday 俺のままで居るだけで超flex
Eyday 誰も口を挟ませない(don't test)
≪Bling-Bang-Bang-Born 歌詞より抜粋≫
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「鏡」に保証などされなくても「I’m the best!」。
確固たる自信を持って生身で「1番上」を目指すパワフルさが感じられます。
そしてキャッチーに繰り返される「Bling-Bang-Bang-Born」には、淡々と筋トレを続けるマッシュと、頭と呂律を回し続けるR-指定の生き様も重なりますね。
彼らの武器に限らず、脇目も振らずに鍛え上げてきた強みは、きっと魔法よりも強く、宝石よりも美しいものです。
「誰も口を挟ませない」という堂々たる気概で、私たちも「Bling-Bang-Bang-Born」していけたら最高にクールですね。
生身で強くなる「Bling-Bang-Bang-Born」
今回は、Creepy Nuts『Bling-Bang-Bang-Born』の歌詞の意味を考察しました。筋肉で道を切り拓くマッシュとラップでのし上がってきたR-指定の「ツワモノ感」がビシビシ伝わってくる楽曲でしたね。
なにより、耳心地よく展開されつつ、じっくり読み解いてみると面白い発見がある意味深い歌詞だったのではないでしょうか。
ここでは「Bling-Bang-Bang-Born」を「マッシュの筋トレ」や「R-指定の生き様」と紐づけて解釈してみましたが、ほかにも考察の可能性はさまざま考えられます。
今後の『マッシュル』の展開にも注目しつつ、ぜひとも自分なりの「ブリンバンバンボン」の翻訳を見出してみてください。
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