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スピッツ「灯を護る」の歌詞の意味を徹底考察!「SPY×FAMILY」Season3主題歌で歌われる守りたいものとは?

スピッツの新曲『灯を護る』は『SPY×FAMILY』Season3の主題歌です。今作だからこそ存在感を示す楽曲の歌詞は、作品世界に見事にリンクしています。『灯を護る』というタイトルに込められた意味は何か、歌詞を深堀しながら徹底考察していきます。

スピッツ「灯を護る」が「SPY×FAMILY」主題歌で示す親和性の高さ

スピッツの新曲『灯を護る』は、2025年10月4日に放送開始されたアニメ『SPY×FAMILY』Season3の主題歌です。

新曲の発表は2年半ぶり。

放送開始から2日後の10月6日に配信リリースされました。

女優の黒木華さんが出演するMVも解禁。

夜の遊園地というロケーションも、アーニャが喜びそうで、『SPY×FAMILY』の世界観ともマッチしそうです。

▲スピッツ / 灯を護る Spitz / Protect the Light

SPY×FAMILY』は、凄腕のスパイである黄昏が、任務のために擬似家族を作るホームコメディ。

ロイド・フォージャー(スパイ)、ヨル・フォージャー(殺し屋)、アーニャ・フォージャー(エスパー)という異色の擬似家族が、少しずつ家族になっていく様は、とても心温まります。

今作では黄昏がスパイとなった過去が描かれるとあって、放送前から注目を集めていました。

『SPY×FAMILY』はこれまでも、初回放送ではいきなり本編に入り、エンディング部分で主題歌が流れる構成を取ってきましたが、今作も同じ構成。

エンディングで『灯を護る』が流れ始めた瞬間、あまりにも作品にぴたりと寄り添う楽曲に心を掴まれた人も多いのではないでしょうか?

『SPY×FAMILY』の主題歌にスピッツが起用された時、親和性が高そうだと感じていました。

その理由の1つは、『SPY×FAMILY』という作品の色使いです。

アーニャという分かりやすく子供に人気の出そうなキャラクターが登場する作品ながら、『SPY×FAMILY』に使用されているのは非常に落ち着いた色味

くすみカラーというのでしょうか。原色は少なく、アーニャの子供らしい服装でさえも、落ち着いたトーンで描かれています。

そして、スピッツのイメージはパステルカラーのような淡い色です。

2つ目の理由は、スピッツのボーカル・草野マサムネの声

『SPY×FAMILY』はホームコメディですが、ドタバタと激しいというより、ほっこりする展開が多いのも特徴的です。

初代主題歌を務めたOfficial髭男dismの『ミックスナッツ』や、星野源の『喜劇』も、声質が柔らかく、スパイ×アクションという面白みを活かしつつも騒がしすぎない楽曲だと感じました。

だからこそ、スピッツの美しい旋律と草野マサムネの柔らかいボーカルは、『SPY×FAMILY』にハマるだろうと予測したのです。

しかし、スピッツが『SPY×FAMILY』Season3の主題歌に起用された理由はそれだけではないでしょう。

作品の中でも、今作は非常に重要なパートが描かれている今作。

『灯を護る』の歌詞を読み解きながら、タイトルに込められた意味主題歌に起用された意味を考察していきます。

任務を超えた「フォージャー家」という居場所

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泣くのはわがままなことと信じていた
モノクロの裏道を走り抜けてきた
出会いなんて予想もせずに この街で
≪灯を護る 歌詞より抜粋≫
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泣くということは、大人になればなるほど難しくなります。

ましてや、黄昏はスパイで、ヨルは殺し屋。

互いに正体を隠している上、他人に素性を知られることは許されない立場ですから、泣くことなど許されなかったでしょう。

しかし、泣くことが許されてこなかったのは、アーニャも同じだと思います。

フォージャー家に来てからのアーニャは表情豊かで、わがままも言い、よく泣きます。

しかし、アーニャは孤児院出身。

母親の顔もあまり知らないような描写があり、とある組織の実験体として生まれた結果、超能力を持った過去がありました。

実際、昔の記憶の中でアーニャは、好きなお絵描きもできず、子供らしく泣くこともわがままを言うことも許されていないようでしたから、そのストレスは相当なものだったでしょう。

まさに、モノクロの世界で生きてきた先で、予想外に訪れたのがフォージャー一家だったのです。

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儚い定めと知ってるよ どれほど強い祈りでも
落書きみたいに消されてく 大切な想い出まで
それでも手を伸ばす精一杯 いつか僕ら赦されるなら
幸せの意味にたどり着きたいんだ
密かにともるこの可愛い灯を護ろう
≪灯を護る 歌詞より抜粋≫
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フォージャー家は、黄昏が任務のために作った寄せ集めの家族

任務が終われば解散する存在です。

アーニャは心が読めるので、黄昏の本心は知っているはず。

それでも、フォージャー家が続くように、任務が破綻しないよう、小さいながら知恵を搾って奔走しています。

ヨルはヨルで、互いの利益のための偽装結婚と理解しながら、ロイドに惹かれ、この家族に深い愛情を抱いている様子。

そして、一見冷徹に見える黄昏も、フォージャー家の居心地の良さに癒されているのだと思います。

いつまでも続く訳がないと知りながら、どこかで本当の家族を夢見ているのは、3人とも同じではないでしょうか。

そして、「落書きみたいに消されてく」のは、フォージャー家での思い出だけではありません。

むしろ、そうやって大切なものを失ってきたからこそ、黄昏もヨルも、フォージャー家という大切な居所を守りたいと願っているのだと思います。

Season3で描かれるのは、黄昏がスパイとして「黄昏」になった過去です。

『SPY×FAMILY』は、オスタニア(東国)とウェスタリス(西国)という東西の国の戦後を描いた作品。

現在も水面下では緊張状態が続き、日々の平和もいつ壊されるか分かりません。

基本的にコメディであり、アーニャがあまりにもかわいくひょうきんであることで忘れがちですが、『SPY×FAMILY』の世界にはいつだって、戦争の気配が潜んでいるのです。

そして戦争は、当たり前の日常をいとも簡単に破壊し、人々を絶望へ突き落とすもの。

そうやって大切なものを奪われた戦争を経験した黄昏や、上司であるシルヴィアにとって、平和を守ることは絶対的な義務であり目標であり、使命なのかもしれません。

密かにともるこのかわいい灯」とは、アーニャのことであり、ヨルのことであり、フォージャー家を取り巻く平和な日々のことではないでしょうか。

スピッツの歌詞には「かわいい」という表現が多い印象ですが、ここで言う「かわいい」は、愛おしさなのかもしれません。

アーニャを含め、黄昏にとっても心安らげる場所になっているフォージャー家を守る。

その思いが歌詞と重なり、胸に迫ってくるのです。

冷徹なスパイとして凝り固まった黄昏の心に灯った暖かい光

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気がつけば 指先も 汚れたままで
錆びついたドアノブいくつ回したっけ?
昨日と同じ誰もいないと思ってた
≪灯を護る 歌詞より抜粋≫
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黄昏は、任務でロイド・フォージャーになるまで、冷徹に任務をこなす敏腕スパイでした。

どれほどの関係を築いても、すべては任務のため

時が来れば無情にも人間関係を切り捨てて来たのです。

そんな彼にとって、日々はモノクロの世界で、かつてのようなカラフルで幸せに満ちた日々とは程遠いものだったことでしょう。

積み上げてきた実績と裏腹に募る孤独。

「誰もいないと思ってた」ただの任務の1つでしかなかったフォージャー家には、人がいて、温もりがあって。

孤独に慣れた黄昏にとって、当初「家族」など面倒なものでした。

けれど、行動の読めないアーニャに振り回されるうちに、心がほぐれていくのです。

アーニャは心を読んでいるものの、子供であるが故に、黄昏が求める理想的な子供にはなれていません。

ヨルはヨルで、殺し屋とは思えない天然ぶりと純粋さで黄昏を振り回します。

まったく思い通りにならないところが「本物の家族」らしく、その難しさに頭を悩ませることで、黄昏は人間らしくなっていくのではないでしょうか。

フォージャー家を見ていて涙腺が緩むシーンは、感動的な展開ではなく、日々の何気ないやり取りです。

擬似家族とは思えないほどに暖かく、愛おしく、とりとめもない日々。

それこそが見ている人の心に灯りをともしているのでしょう。

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正解はこれじゃないのかも やり直しながら進もうか
越えられない柵を越えていく 切なさをバネに変えて
君がいる世界の続きに触れたい もしも僕ら赦されるなら
囚われの結び目をほどきたいんだ
微かだけれど温かい灯を護ろう
≪灯を護る 歌詞より抜粋≫
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常に完璧に仕事をこなして来た黄昏が、失敗や空回りばかりのフォージャー家。

それでも「やり直しながら進もうか」と思えるほど大切な場所。

切なさをバネに変えて」という歌詞には、これまで黄昏が失ってきたものが投影されているような気がします。

「君がいる世界の続きに触れたい」という歌詞は、これまで切り捨てるばかりだった黄昏が、フォージャー家にこだわる思いと重なるようです。

戦争を通して、スパイという仕事を通して凝り固まった結び目を少しずつほどいていきたいという願いが込められているように思えます。

黄昏の原点を描いたSeason3だからこそ刺さる『灯を護る』の歌詞

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鉛色の雲の隙間から 水色が小さく見えるから
下向かずにすぐ起き上がる 絵空事と笑われても
やめないよ手を伸ばす精一杯 いつか僕ら赦されるなら
幸せの意味にたどり着きたいんだ
密かにともるこの可愛い灯を護ろう
≪灯を護る 歌詞より抜粋≫
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大切なものを奪われ、スパイとして、心を殺して任務にあたって来た黄昏

心を殺していたのは、ヨルも同じかもしれません。

どれほど普段は人間味溢れるキャラクターでも、人の命を奪うという行為や罪は消えません。

2人とも、人に言えない仕事に従事する日々。

それでも、「鉛色の雲の隙間から 水色が小さく見えるから」、僅かな希望に手を伸ばすのでしょう。

裏社会で生きながら、人並みの幸せを求めるのは「絵空事」かもしれません。

黄昏は、スパイになったその日に、幸せになることを放棄したような発言をしています。

それでも、アーニャと出会い、ヨルと出会い、フォージャー家という居場所を見つけたから、幸せになりたいという願いが生まれたのでしょう。

目の前にある小さな幸せを守りながら、大切な人たちと、大切な居場所を今度こそ守りたい。

明るい世界観にひっそりと見え隠れする戦争の爪痕。

過去に囚われ、傷ついてもがいた先で見つけた「かわいい灯」を守りたい

それは、黄昏にとって生きる理由であり、スパイを続ける理由にもなっているように思えます。

こうしてみると、『灯を護る』が『SPY×FAMILY』Season3の主題歌に起用されたのは必然なのかもしれません。

優しくも切実な願いのこもった『灯を護る』。

ぜひ『SPY×FAMILY』と共に噛み締めてみてください。

草野マサムネ(Vo/Gt)、三輪テツヤ(Gt)、 田村明浩(B)、﨑山龍男(Dr)の4人組ロックバンド。 1987年結成。1991年3月シングル『ヒバリのこころ』、アルバム『スピッツ』でメジャーデビュー後、1995年リリースの11thシングル『ロビンソン』、6thアルバム『ハチミツ』のヒットを機に、多くのファンを···

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