RADIOFISHは、オリエンタルラジオとダンサーによるユニット。『PERFECT HUMAN』をテレビ番組で披露したところたちまち話題になり、Mステ出演まで実現しました。『GOLDEN TOWER feat.當山みれい』は、このグループが勢いのままに出した『PERFECT HUMAN』に続く曲です。この曲でもMステに出演。
ボーカルで参加している當山みれいは、現役女子高生シンガー。中学生で単身アメリカに渡り、名門ゴスペルグループに所属しリードボーカルをつとめていた実力者です。
“ドレスコードは彼敬す精神
ここに集うは選ばれし戦士
時代作るために我ら前進
ペテン師はすぐに暴かれちまうぜ
肩書きしかねぇ偽者はどけ
彼のありがたい言葉聞いとけ
それに魅入られた者だけがリアル
手に入れられないものなどは皆無
夜の闇に浮かび上がる
黄金色の巨大な塔
誰もがみな彼を求め
華を咲かせ夢を見る”
この曲の歌詞は、パーフェクトヒューマンのその後というコンセプト。「せいしん」「せんし」「ぜんしん」と音を重ねる藤森のラップがこの曲でも炸裂しています。「彼」という単語が冒頭から登場し、この彼こそがパーフェクトヒューマンであることが分かります。彼を敬うために、ドレスコードが指定されているパーティが開催されました。ペテン師や肩書しかない偽者は排除します。選ばれた戦士だけが、彼と共に時代を作る。手に入れらないものは皆無=全て手に入る、という大胆な歌詞です。
「夜の闇に浮かび上がる 黄金色の巨大な塔」から當山パート。声が変わることで景色が変わることを示しています。ここで、黄金に輝く巨大な塔が出現しました。誰もがみんな彼を求め、夢を見るという、夢の象徴であるゴールデンタワー。
“Let's start a CRAZY PARTY.
Let's start a CRAZY PARTY.
Let's start a CRAZY PARTY.
Let's start a CRAZY PARTY.
Let's start.
踊れ
He has MONEY MONEY MONEY.
PARTY.
Let's start a CRAZY PARTY.
Let's start.
騒げ
He has the SUPER GOLDEN TOWER.
PARTY.
Let's start a CRAZY PARTY.
Let's start.”
ここでようやく中田が登場します。中田は「Let’s start a CRAZY PARTY.」を繰り返すだけ。「狂ったパーティをはじめよう!」という主催者なのです。この曲はNAKATAという名前こそ出てきませんが、この台詞を言っていることで、中田自身が自分と「彼」を同一視していることが分かります。
再び當山みれいの声が登場し、「彼はお金、お金、お金を持っている」「彼はすごい黄金の塔を持っている」と歌います。黄金の塔とは、まさにお金の象徴。パーフェクトヒューマンが成功して金持ちになっていることが分かります。ここのパートは、當山みれいの歌唱力が光る箇所。女性の歌声が入ることで音域が広がり、パーフェクトヒューマンをとりまく状況が広がっていることを表現しているんですね。
この曲のタイトルは、なぜ中田自身が歌う「クレイジーパーティ」ではなく、「ゴールデンタワー」なのでしょうか。それは、ゴールデンタワーが願望や成功の象徴だから。中田敦彦自身は、リアルに巨大な黄金の塔を建てているわけではありません。しかし、あえて金を持っている、金の塔を持っていると歌う。まさにハッタリなのです。
大したことでもないのに「武勇伝」だと言って「あっちゃんカッコいい!」と藤森に言わせる芸で世に出たオリラジ。この「武勇伝」からある意味全然変わってないんですね。大したことでなくとも武勇伝だと言ってリズムにのせラップし、失敗も多かったけれどあえて「自分はパーフェクトヒューマンだ」と歌い、お金を節約しながらも「自分は金を持っている、ゴールデンタワーを持っている」と歌う。ずっとマインドは一貫しているのです。
昨今は不景気が続き、見栄を張ることすら恥なのではないかという風潮があります。しかし中田は、RADIOFISHは、そんな世の中に対しあえてハッタリを言って見栄を張るのです。そうでなければ、面白くないから。
バカバカしくても真剣に言い切る、やりきる。だからこのグループは好かれるんですね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)
2014年結成。6人組のダンスボーカルグループ。 既成概念に囚われない表現活動を提唱し、新しい方法論で演芸界と音楽界を股にかける。 ▷RADIO FISHOfficial HP