そんな彼らの作品の中でも印象的なタイトルのアルバムが『むかしぼくはみじめだった』。
そのアルバムの収録曲の中で、静かに、でも強烈な存在感を放っている楽曲が『ぼくのお日さま』である。
先日のTBS系トーク番組『サワコの朝』でゲストのピース又吉直樹が/b>「今、心に響く曲」として紹介していたので、耳にしたことがある人も多いかも知れない。
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ぼくはことばが うまく言えない
はじめの音で つっかえてしまう
だいじなことを 言おうとすると
こ こ こ ことばが の の のどにつまる
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この楽曲の中で歌われているのは、吃音(きつおん)、いわゆるどもることだ。普通の人でも緊張すると言葉が出にくくなることはあるかも知れないが、吃音がある人たちは緊張していない日常生活の中でも、この歌の歌詞のように言葉の初めの音を繰り返したり、詰まってなかなか出てこなかったり・・・という症状と戦っているのだ。
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ひとことも言えないで ぼくは今日もただ笑ってる
きらいなときはノーと 好きなら好きと言えたら
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吃音がない人には想像できないかも知れないが、ひどいときには自分の名前すらなかなか言えなくなってしまうことがある。自分の言いたいことでも苦手な言葉があると飲み込んでしまう。そんなとき、吃音がある人はたいてい作り笑顔でやり過ごしてしまうことが多いのだ。この歌からは、そんな吃音のせいで生き辛さがある人たちの悔しさや悲しさが痛切に伝わってくる。
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家に帰れば ロックがぼくを待っててくれる
ボリュームあげるよ
(中略)
泣きたきゃ泣けばいいさ そう歌がぼくに言う
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音楽好きなUtaTenユーザーの皆さんの中には、何かツラいことがあったときに音楽を聴くことで励まされたり、パワーをもらったりしたことがある人は多いだろう。
この歌は吃音がある人たちの心の痛みにただ静かに寄り添ってくれるような歌であると同時に全ての人へ向けた歌なのだ。
この歌の持つチカラが、普段あまり自分の想いを言葉にして伝えられない人たちへ勇気を与え、背中を押してくれることを願ってやまない。
TEXT:Y.Fuku
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【ぼくのお日さま】の歌詞ページ
1998年結成、佐藤良成と佐野遊穂によるデュオ。2人ともがメインボーカルを担当し、フォーク、カントリーな どをルーツにした楽曲と、別れやコンプレックスをテーマにした独自の詞の世界は幅広い年齢層から支持を集める。 芥川賞を受賞したお笑い芸人・又吉直樹氏がファンであることを公言するな···