──この曲で歌われている“街”って、吉田さんとしては何を投影した言葉なんでしょう?
吉田:この曲に僕が一番最初に感じたのは儚さなんですよ。、単純な考えですけど、街も人も当たり前にあるけど、例えば怪獣のような大きなものの前に晒された時にすごく儚いものなんだよって言われてる気がして。だから、それを大切にしようという人、逃げる人も戦う人もいて、それぞれがいろんなことを感じながら、もがいて生きていく人物像が見えて、それを投影しているんです。
──制作過程で印象に残っていることは?
吉田:今年の頭から吉田山田の制作チームに新しい方が入ってこられたんですけど、その方にデビュー前からの100曲以上あるデモを全部聞いてもらったんですよ。その中で次に吉田山田に歌ってもらいたい曲として挙がったのがこの『街』でした。僕らからするとこういうエッジの効いた曲ってアルバムの中の1曲として出すことが多かったんですけど、こうやってスポットが当たってA面としてリリースしようっていう意見は新鮮でした。
──確かにそうですね。
吉田:不安もあったんですよ、『日々』を聴いてきた人がビックリしないかな..とか。でも制作を進めていくうちにそれが確信に変わっていって、こういう吉田山田の側面もいいなっていう気持ちになりましたね。
──MVの撮影エピソードも聞かせてください。
山田:すごい早朝から夜までかけて撮影したので、ちょっと眠そうな顔してる…(笑)。「山ちゃんもうちょっと目開けて」って言われながら撮ったのを覚えてます。
吉田:、”どういうミュージックビデオにしますか?”っていうミーティングから参加させてもらったんですよ。全く違う6~7パターンの中から選ぶところから始まったので自分たちのイメージに近いものになりました。
山田:僕らが街を壊す怪獣を倒すみたいな案もありましたね(笑)。
──詳しくお話を伺いたいフレーズがありまして、2Aの「もしかして人じゃない人?」っていう歌詞なんですけど、ここはどう言ったイメージなんですか?
山田:極限に疑心暗鬼になった人の思考で書きました。”みんな人の形してるけど人なの?!人ってなんなの!?”って人間っていうものがちょっと気持ちの悪いものに見えているというか。説明するの難しいですね..
吉田:まさにこの2Aの部分は2人で作ったんですけど、これは僕が思うには、自分がこうだって思っているものでも”本当にそうなの?”って問題定義しているイメージなんです。
──なるほど。この曲には自分が大切なものを失いかけた時あなたはどうする?っていうことを問われている気もするんですが、お二人は最近何か選択を迫られたことってありました?
吉田:意外だと思う人もいると思うし、2人組あるあるでもあると思うんですけど、47都道府県ツアーで本当に毎日顔合わせていたのにかれこれ2年くらい2人きりで話してなくて。それで去年の12月の仕事納めに、久々に飯行かないかって山田を誘ったんですよ。それがここ半年くらいで1番の決断でしたね。
──行かれたんですか?
吉田:行きました。
山田:デニーズに。
吉田:そこでちゃんと去年一年間で積み重ねてきたことを踏まえて2人の意思を1つにできて、2017年はこういう年に、もっと言えば2018年、2019年はこういう年にしようっていうことをパンケーキを食べながら話しました。
それがあったのと無かったのでは2017年全然違ってると思いますね。
──誘った時の山田さんの反応っていうのは?
吉田:思春期の息子みたいな「、」も「。」もないすごくそっけない返事が返ってきました(笑)
山田:ちょっと警戒してるんですよ(笑)!
──そんな山田さんの最近選択を迫られた出来事は?
山田:次の日から3日間仕事が休みになった時に、海外へ行こうと思って。中国にするか、韓国にするか、台湾にするか、っていう悩みですね…。
吉田:もっとなんかあったんじゃないの!?
山田:どうするべきかギリギリまですっごい悩んだんですけど、美味しいもの食べたいって考えたらやっぱ台湾かなぁと思って。ビビアン・スーさんに会えるんじゃないかってちょっとだけ思ったり..。すいません、それくらいですね、僕の選択は。
──どうでした?台湾は。
山田:1人旅だったんで、絶妙に日本語の通じないところで2日目までは楽しく過ごしてたんですけど、達成感を感じた3日目からすごく寂しくなって。帰りたいのに帰れない1人ぼっちの時間って、そこまでの孤独は日本では感じることがないっていうか。
──曲を作れそうですね!
山田:作ろうと思います(笑)。