2012年、鉄拳によるパラパラ漫画のPVで話題を呼んだ「名もない毎日」などが収録された1stアルバム「ほどく」から2年3ヶ月。「ほどく」と対になる2部作ともいえる珠玉の2ndアルバム「むすぶ」をリリースしたRAM WIREにUtaTenインタビューを行った。
─2年3ヶ月ぶりのアルバムリリースということですが、今のお気持ちをお聞かせください。
ユーズ「そうですね、やっと出せるなって感じですかね。デビュー前に作った曲とかも入っていますし、作った時期もバラバラなんですけども、自分たちの納得いく2枚目になれたかなと思っています。」
─では、1枚目のアルバムに入りきらなかった曲も入っているんですか?
ユーズ「そうですね、はい。入れました!」
─アルバムのタイトルが『むすぶ』になったのにはどういう意味があるんですか?
ユーズ「1枚目のアルバムが『ほどく』だったんですけども、その時は絡まった心をほどきたいという意味でタイトルをつけたんですけども、今回はヒモ先をもう一回きちんと結びなおそうって気持ちでこのタイトルにしました。」
─それは1枚目のアルバムの時から決まっていたんですか?
ユーズ「2枚目どうしようって時に『むすぶ』っていいんじゃない?って言ったらみんなそうだねって。みんながそう思っていたような感じで即決でした。」
RYLL「そうですね、もともと『ほどく』も結び直すっていうことがある上でのほどくだったんで、自然に『むすぶ』にたどり着いたんですかね。」
ユーズ「ね、そうですね。もう、誰も何も言わず、即決でした。」
─『ほどく』の時はユーズさんがタイトルを決めたんですか?
MONCH「RYLLが『ほどく』の時は決めました。」
─今回のアルバムを作るにあたっての準備期間はどんなものでしたか?
ユーズ「昔作った曲もあるんですけど、その中でも今まで苦悩しながらやってきた間に気づいたことだったりとか、再確認したことだったりとかを歌にしながら作って来ました。」
MONCH「花水木とかはね、実はインディーズの頃に作った曲なんですよ。なので相当前なんですけど、リメイクというかトラックのアレンジをしたりなんかして。自分たちで言うのもおかしいけど、今聞いてもいい曲になったなって心から思いますね。」
全員「笑」
ユーズ「今の私たちじゃ作れない歌かもしれないね。恋愛のピュアな感情を歌にしたんですけども…」
MONCH「歌詞もヒップホップ寄りな、韻を踏むことを意識して作った曲だからそういう部分は今作ろうってなったら作れないかもしれないですね。」
ユーズ「歴史が刻まれてるよね。」
─今回のアルバムの「花水木」の変わったところは?
RYLL「歌詞は一切変えてなくて、トラックだけ変えました。実は楽器のレコーディングとかもストリングスなんかは4.5年前に録っていたりしたので、ようやく世に出せたという感じですね。」
─アルバムに入れて欲しいというファンの方からの声もあったんですか?
全員「そうですね。」
RYLL「ライブでやってたりするので…」
ユーズ「それで知っている方もいたと思うんです。7月12日にライブをしたんですけど、『花水木』歌ってくれましたねって声かけてくれたり、ちらほら知ってる方もいらっしゃって今回のアルバムに入れることを喜んでくれたので…」
RYLL「嬉しいですよね、まだリリースしてないのに知ってくれているなんて。」
─アルバム制作中の忘れられないエピソードはありますか?
RYLL「僕が忘れられないことの1つは、うちで初めて3人だけでレコーディングをしたことで。今まではスタジオでエンジニアさんがいる環境でレコーディングしていたんですけど。」
ユーズ「もうほんとに、自分たちだけで良し悪しを考えて相談しながら進めていけたのが…」
MONCH「作ってる感がすごいよね。」
ユーズ「あと、私たちに委ねてくれたのが嬉しくて。」
RYLL「そうですね。すごい手作り感があります。」
ユーズ「レコーディングやってる時、あうんの呼吸で進められるし。」
RYLL「そう、今のテイクいいねって言うのもみんな感覚が一緒なんですよ。」
ユーズ「そのジャッジメントがクリアになってきたから、レコーディングがスムーズにいくようになったね。」
─やっぱり10年、15年一緒にいると曲作りの時も世界観の共有はあっという間なんですか?
ユーズ「内容とか表現の仕方はそれぞれ相談し合ったり、違うことももちろんあるんですけど、出来たものをどういう感じに持っていくかっていう作業は言わなくても通じるようになってきたというか、同じような感じになってきましたね。」
RYLL「歌詞はほんとに時間かけてるよね。」
─タイアップが多いRAM WIREさんですが、実体験ではない歌詞を書くことは?
ユーズ「私ほとんどノンフィクションなんですよ。タイアップの曲作りでも結局歌詞は実体験に基づいて書いてます。」
RYLL「やっぱり一回自分のフィルター通して、取り込んでから2人とも書くタイプなので歌詞は自分のこととして書いています。」
ユーズ「あまりフィクション的なのは思いつかないですね。」
RYLL「逆に得意じゃないんじゃないかな。」
ユーズ「あ!でも『光景』は子供がいる設定で書いたので実際のシチュエーションとは違うんですけど、自分が理想とする家族の風景とか、自分はこういう風に思われて育ってきたんだろうなとか、そういう想像しながら実体験を基に書いていますね。」
─今回のアルバムの中でみなさんそれぞれお気に入りのフレーズを教えてください。
ユーズ「一番ってなると難しいね…。」
RYLL「僕がぱっと思い浮かんだのは、_”認めてくれる人がいなくても サマになる肩書きがなくても 僕らの小さな手は明日きっと 誰かを笑顔にできるから”っていう『僕らの手には何もないけど、』の歌詞ですね。
長年やってきてもそんなに売れた!って気もしてないし、何かすごいものを手に掴んでる感じもなくて時々不安になったりもするんですけど、何もないからこそ何か掴めるってところはすごく共感できるところです。
何か持っているときっと守りに入っちゃうけど、ない分だけ手を取り合ったりだとかできることってあるなってのがこの歌詞で共感できたところですかね。」
MONCH「僕は『光景』の”「家族」という光景はきっと たくさんの願いで守られてく”っていうところで…。」
ユーズ「そっち!?」
MONCH「いいですよね!?このアルバムの曲順を決める時に、聞いた時にぱっと最後の曲はこれかなって思って。最後にギュッと結ばれるような、「むすぶ」の最後にふさわしい曲なんじゃないかなと。」
ユーズ「『AGAIN』言って欲しかったな…。」
RYLL「いいじゃない、いいじゃない(笑)」
ユーズ「私はそうですね…、同じになっちゃうけど『僕らの手には何もないけど、』の”君にあげたいものがあるんだ 凍える夜にはいつも もう何も心配等せず眠れる毛布を”これはもうRAM WAREの総括したメッセージというか、どの曲にも共通していて、やりたいことってこういう事なのかなっていうところです。あたたかい毛布のようなものをみんなに渡したくてやっているんです。」
RAM WIREとは”羊たちの絆”を意味する造語。長い期間地道に築いてきた絆と、変わらずに持ち続けた想いとは。
─RAM WIREさんは”泣ける”って紹介される事が多いと思うんですけど、曲を作る時にそういったことを意識することはありますか?
ユーズ「最終的には笑って欲しくて書いています。」
RYLL「ほどくとかむすぶもそうだけど、涙を流すことは決してネガティブなことではなくて、リセットするためのことだから、ほんとにユーズの言う通り笑って欲しくてっていうのはそういうことだと思います。」
ユーズ「一回自分の立ち位置を確認するっていうことを私の口から代弁するというか、なにかそれで前向きな気持ちを引き出せるものでありたいと思うんです。
悲しいことがあっても、辛くて今の生活に迷いながら生きていても、弱音を吐いたり、負の気持ちをさらけ出したりもする私の歌詞を聴いて、その感情を噛み砕いて落とし込む作業につながってくれればいいと思います。」
MONCH「それが僕たちの役割というかね。」
ユーズ「そうそうそう。弱音を吐くとか抱えているものをさらけ出すって、カッコイイことじゃないのかもしれないけど聴いてくれた人のそういった力になれれば。」
─それでは今後RAM WIREさんが挑戦したいこと、目指したいところは
RYLL「僕たちは”元気に行こうぜ!”ってタイプではないけど、また自分たちの役割っていうのを再確認できたので、みんなが悩んでいる時のちょっとした後押しとかができれば。」
MONCH「そうだね。アシストじゃないけど曲を聴いただけで”ちょっとやってみるか!”とか”明日も仕事大変だけど、これ聴いてがんばるか!”みたいなところに寄り添えたらな。」
RYLL「もともと強いタイプじゃないし、そういう意味でRAM WIREって羊をテーマにやっているんで、オオカミにはできない仕事をしていきたい。」
ユーズ「私たちだからできることをね。さっき言ったように毛布をあげたいって気持ちでやっているんで、その毛布の質をあげたいっていうのかな(笑)」
RYLL「そういう感じだね、もっといい毛布になれるように。」
─では、告知をお願いします!
MONCH「全国3ヶ所でのツアーが開催されます!!10月17日に札幌キューブガーデン、10月23日に大阪梅田ジーラ、東京が10月29日に代官山ユニットの3ヶ所で「むすぶ」ツアー開催になりますので…。」
ユーズ「チケットの2次先行販売も行っておりますので、ぜひホームページの方をチェックしてください!!」
…この後もRAM WIREの出身地、北海道の方言についての話や、今ティーン世代の間で流行っている「LINEドッキリ」の話題で盛り上がりました…。
─最後にUtaTenをご覧のみなさんに一言お願いします!
RYLL「LINEドッキリにRAM WIREの歌詞使うと重いねぇ(笑)」
ユーズ「重いねぇ!」
MONCH「重めの時に使ってもらえたら。」
ユーズ「でもね、ほんとに歌詞に重きを置いて書いているので、歌詞をひとつずつ見て感じてもらいながら聴いてもらえるとすごい嬉しいです。」
RYLL「そうだね。受け取りやすい歌詞ではないかもしれないけど、何か伝わると思って書いてるんで歌詞は絶対見て欲しいですね。」
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「みんなと似たようなものを抱えている」と語った3人はその言葉の通り、ファンやリスナーと同じ目線で近くに寄り添って気持ちの整理を手伝ってくれているような、素敵なアーティストでした。
今回も終始本当に暖かい毛布に包まれているような3人の優しさを感じながらのインタビューとなり、知れば知るほど、聴けば聴くほどこの毛布を手放したくなくなるRAM WIREの魅力に引き続き注目していきたいと思います。
映画「江ノ島プリズム」の主題歌に起用された「何度も-江ノ島プリズムver.-」や、芸人の塚地武雅と女優の芦名星によるドラマMVで話題のRAM WIRE初のラブソング「あいだじゅう」、映画「アルカナ」の主題歌となった冬の名曲「むつのはな」、ソチ五輪のテーマソングとして書き下ろした「夢のあかし」。そして羊の泣けるアニメーションが大きな話題となり世界中から感動の声が届くほどの名曲「僕らの手には何もないけど、」、さらに佐野ひなこがMVに出演の「花水木」を含めた豪華14曲が収録された今アルバム。
聴いたあなたの心にきっとあたたかい毛布をかけてくれるはず。是非聴いてみてくださいね!
TEXT:愛香
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RAM WIRE 15年目の2nd Album「むすぶ」
■発売日:2015年7月29日
むすぶ【初回生産限定盤A】
AICL-2925 ~ AICL-2926 ¥3,800+税
むすぶ【初回生産限定盤B】
AICL-2925 ~ AICL-2926 ¥3,800+税
むすぶ【通常版】
AICL-2929 ¥2,950+税
【初回盤A,B・通常盤CD】
DISC 1 [CD]
1. 夢のあかし
2. 花水木
3. むつのはな
4. 愛の魔法
5. あいだじゅう
6. 結いの虹
7. Try The World
8. AGAIN
9. Starry Night
10.何度も -江ノ島プリズムver-
11.約束
12. 地球の夜
13.僕らの手には何もないけど、
14.光景
【初回盤A】
DISC 2 [DVD]
1. あいだじゅう Music Video
2. 夢のあかし Music Video
3. 僕らの手には何もないけど、 Music Video
4. 花水木 Music Video
-Bonus Track-
5. Beautiful World Music Video
6. 秘密 Music Video
7. 歩み Music Video
8. 名もない毎日 Music Video
9. 大丈夫、僕ら Music Video
10. 何度も Music Video
【初回盤B】
DISC 2 [CD] concept album -ひかり-
1. Hikari
2. 暗号-光が意味するもの-
3. わたしあうもの-Chillwave ver.-
4. 役立たず
5. Chain lyrics -Acoustic ver.-
6. ツキカゲ
7. 大丈夫、僕ら -Acoustic ver.-
▽TwitterでRAM WIREのサイン色紙をプレゼント!?
このインタビューの時にRAM WIREさんが書いたサイン色紙をUtaTenを見て頂いている方にプレゼントいたします。
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[締め切り]
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締め切り後に抽選を行い、当選者には@utatenからDMにてご連絡いたします。
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2012年、鉄拳によるパラパラ漫画のPVで話題を呼んだ「名もない毎日」などが収録された1stアルバム「ほどく」から2年3ヶ月。「ほどく」と対になる2部作ともいえる珠玉の2ndアルバム「むすぶ」をリリースしたRAM WIREにUtaTenインタビューを行った。
公開日:2015年7月29日