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『金の事などどうでもいいから』 クレイジーケンバンド「タイガー&ドラゴン」は人生そのものを音楽に詰め込む

人生の浮き沈みを知る魅力的な大人たちを虜にする「クレイジーケンバンド」。高い音楽性に言葉の重みを感じさせる彼らの楽曲は、何度だって聴く価値がある。 当たり前の話であるが、音楽は人が奏でている。クレイジーケンバンドの楽曲を耳にすると、人の魅力が音に乗るという音楽の原点を思い出す。
彼らはただ歌を唄っているのではなく、人生を歌唱しているのだ。「剣さんが言うんだから間違いない」そんな風にさえ思わせてくれるのだ。

彼らの楽曲には横浜の地名がたびたび出てくる。ボーカルの横山剣は港で働いていた経験もあり、ライフスタイルそのものが音楽へと昇華されていると理解できる。

彼は小学生のとき、野外で実演販売をしていた中古レコード屋の手伝いをしていた。他にも、八百屋の前でMCを務めたり、即興で歌ったり、小さい時からすでに活動は始まっていた。その度胸とサービス精神は今も変わらない。変わらないもの、新しく経験してきたこと、それらが交わり合い現在のクレイジーケンバンドとなっているのだ。今回は名曲「タイガー&ドラゴン」を通し、横山剣率いるクレイジーケンバンドの魅力を徹底解剖していきたい。

山剣率いるクレイジーケンバンドの魅力



“トンネル抜ければ海が見えるから そのままドン突きの三笠公園で
あの頃みたいに ダサいスカジャン着てお前待ってるから 急いで来いよ”



上記では、横須賀にある三笠公園を歌詞に盛り込んでいる。具体的な地名や場所を出すことにより曲に臨場感が出る。例え三笠公園のことを知らないリスナーだとしても、その臨場感は変わりない。

固有名詞は普通名詞より人の心に入り込む。「ビール」ではなく、「キリンビール」と言われた方が力があるように感じないだろうか。その一つの理由としては、固有名詞はそれ以外を指し示さない「限定」という性質を帯びているからだ。この「限定」という性質をクレイジーケンバンドは効果的に使用している。上記の歌詞では「三笠公園」の他にも、スカジャンではなく「ダサいスカジャン」と表現しているのが見受けられる。この場合は固有名詞ではないが、「ダサい」という形容詞が固有名詞の「限定」と同じ効果を発揮しているのだ。


“俺の話を聞け!5分だけでもいい 貸した金の事などどうでもいいから
お前の愛した横須賀の海の優しさに抱かれて 泣けばいいだろう ハッ!”



「俺の話を聞け!」まさにクレイジーケンバンドらしさ全開のインパクトのあるサビだ。これには、どんな人も耳を傾けてしまう。「聞け!」という命令口調でも強制された感じを与えないところに、ボーカル横山剣の魅力的な人間性がある。

さらに、その後に続く「金の事などどうでもいいから」という歌詞に人生の意義を考えさせられる。それは、逃げる事なく生身のまま人生とぶつかった人にしか書けない。この歌詞は、クレイジーケンバンドから私たちに与えられた「人生を見つめる」という宿題なのかもしれない。



“俺の俺の俺の話を聞け!2分だけでもいいお前だけに本当の事を話すから
背中で睨み合う虎と龍じゃないが俺の中で俺と俺とが戦う
ドス黒く淀んだ横須賀の海に浮かぶ月みたいな電気海月よ ハッ!”



あり方自体に「ブルース」を感じさせる

横山剣は、人生の酸いも甘いもクレイジーケンバンドに詰め込む。昭和歌謡と形容されることが多い彼らの音楽は、作り物の匂いを感じさせない。

それは人生や生活が染み出したものが、彼らの音楽と成っているからだろう。そのあり方自体に「ブルース」を感じさせるクレイジーケンバンドは、これからも人生を歌い尽くす。

1997年の春頃、横浜本牧の伝説的スポット「イタリアンガーデン」にて発生した東洋一のサウンド・マシーン。 発足以来、「音楽ジャンルからの解放」をモットーとする全方向型音楽で、中毒性のあるポップ・ウイルスが全国のクラブ・フィールドや、音楽マニアの間でジワジワと拡散を始めるが、メジ···

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