運も実力だけど、やっぱり羨ましい
──では、続いて岩淵さんのピックアップフレーズをお願いします。
岩淵:『悲縛り』の「運も実力のこの世界で 不条理とダンス」ですね。『可愛い子には旅をさせるな』にも「運も実力」っていうワードは入れているんですけど、最近本当に感じることなんです。運がないとやっていけないこともあったりして、どのタイミングで私たちにはやってくるのかなって(笑)。
──実感した立場としてではなく、今は運を付けた人を見て羨んでいるような立場で描かれているんですね。
岩淵:そうですね。運が大事っていうけど、運すら巻き込めるような人じゃないと生き残っていけないんだろうなと思って。
──「不条理とダンス」というのはどういったイメージで描かれたフレーズなんですか?
岩淵:腑に落ちないというか、“不条理"と常に付き合いながら生きていくんだろうなっていうところからダンスにしました。何もしなくても上手くいく人って時々いるじゃないですか、その人なりの努力があったのかもしれないですけど、すごく羨ましいです。めちゃくちゃ頑張ったところで認めてもらえるわけじゃないし、タイミングとか運っていうのがあるんだなって飲み込まなきゃいけない気持ちが『悲縛り』とか『可愛い子には旅をさせるな』には乗ってきているんだと思います。
──『悲縛り』というタイトルとフレーズですが、どういった意味が込められているんでしょうか?
岩淵:悔しいからだんだん悲しいに変わっていく感情からこの当て字になりました。壁とかぶっ壊したくなるくらいイラついたり悔しかったりすることがあるけど、実際何かに当たったところで変わらないから自分の中で整理しようとすると自分がかわいそうになるくらいの時ってあるんですよね(笑)。でもそれをウジウジ言うんじゃなくて、ポジティブ歌えたらいいなって思って。何かに劣等感を感じながら何かに縛られているように日々を生きている私が、根はネガティブでも2018年は笑って生きたいっていう目標を持って作ったアルバムなのでそれが反映されているタイトルだったり歌詞になっていますね。
──このヘビーなロックサウンドに関してはいかがですか?
岩淵:このアルバム自体、邦楽ロックというか四つ打ちの踊ってノれるダンスビートが多くて、この曲に関しては感情が爆発したような感じにしたいということでいっちー(一瀬)にリードしてもらいながら音を作っていきました。
この曲はバンドでせーので入って、構成も王道なパターンにとらわれずに作っていきました。
──このヘビーなロックサウンドも一瀬さんが得意とするジャンルだったりするんですか?
一瀬:そうですね。歌詞で感情が爆発しているので、煮えくり返るような感じをサウンドでも出したいってことで。
岩淵:極悪でダーティーな感じね!
──間奏のギターフレーズが鬱っぽくて切迫感のある感じがとてもいいです。
一瀬:ありがとうございます、ここ結構こだわりました!最初構成決めて、リズムを決めて、そこから崩していくやり方で作っていきました。
──宮原さんはMOSHIMO結成時にベースを始められたということですが、今回ご自身のフレーズを考えられたとか。
宮原:そうですね、できるようになってきました。
一瀬:『ミルクティー』とか特にそうだったよね!
宮原:『ミルクティー』はベースを始めた頃に録った曲だったので、今ならパワーアップしたものが作れるなと思って録り直したんです。思い切り楽しんで弾かせてもらいました。
一瀬:ベースが主役になってます!
宮原:この3年間で学んできたこととか、“こういうことやりたいな"って思ってきたことを入れられた感じです。
ヤバい、延滞DVD!!!
──そんな宮原さんのピックアップフレーズについて聞かせてください。
宮原:僕は『FUWA-FUWA』って曲の最後のフレーズ「ヤバい、延滞DVD罪は仲良く分けよう」が好き。僕の勝手なイメージですけど、上手くいっててラブラブなカップルほど相手のことを人前では悪く言うんですよね、この歌は1番が男性目線で2番が女性目線になっているんですけど、それぞれあれこれ言っておきながら最後には「ヤバい、延滞DVD罪は仲良く分けよう」って二人の関係がよく分かるフレーズで締まる感じが好きです。
──1番の男性役でハモってるのは宮原さんですか?
宮原:はい!男性役を演じさせていただきました(笑)!
岩淵:(メンバー)3人に歌ってもらって、誰が一番曲の中の彼氏っぽいか選手権をしたんです(笑)。ある意味馴染まない感じが欲しかったんです。元ボーカルですし、彼(宮原)にお願いしました。
宮原:優しすぎんだよ!って何回も言われました(笑)。
最後に…
──今後ワンマンツアーに回られるそうですが、本多:いい意味でMOSHIMOの代名詞になるようなアルバムになったと思うくらい、すべてを詰め込んだので是非聴いていただきたいです。ツアーではこの上なくロックをしてやろうと気合い入りまくりなので是非各地遊びに来てください!
──アルバム『圧倒的少女漫画ストーリ』がどんな作品になったか、改めてお願いします。
岩淵:1番になれるのって1人だけで、ほとんど大勢がそうじゃないんですよね、仕事とか学校とかうまくいかないことだらけですけど、いかに“仕方ない"って受け入れて前向きに進めるかっていうことが大事だと思っていて、そうやって日々感じていることを素直にストレートに書けたアルバムになっています。笑顔で「悔しいよね!」ってみんなで進めるようなものになったと思うので、そういうアルバムとしてみんなに届いたら嬉しいなって思います。
ライブに関しては、イメージと違ったって言われることが多いんですけど、とにかくお前らのイメージ全部ぶち壊してやるからとりあえず来い!ってことで(笑)
宮原:今回のアルバムも、辛いこと悲しいことをMOSHIMOらしく、笑って受け入れて進む力に変えていると思います!聴いてください!
TEXT:愛香
PHOTO:片山拓