ピックアップフレーズ
──この『メモリー・バンド』で皆さんが気に入っているフレーズを教えて頂けますでしょうか?加藤隆志:面白いですね。僕は字面の感じなんですけど、「それで良かったのかな」っていうフレーズが好きです。沖さんの歌い方もそうなんですけど、あそこがグッときます。
誰でも言いたい事をすぐに言える人だけではないし、どっちかって言うとため込んでいく事が多いと思うんですよ。
沖祐市:割と日本人ってそうかもしれないね。
加藤隆志:あの時言えなかった事もあったけど、それで良かったのかな?ってなるだろうし。それにこういう事って今この記事を読んでくれているかもしれない10代や20代の子でもあるような気がするなー。学生の頃や大事な友達、男女の恋愛もそうだけど、“あのとき言えなかったけど、それで良かったのかな?でも伝わっていたのかな?”とかね。
──あああ!
谷中敦:“ずっと好きだったんだぜ”みたいな?
全員:(笑)
谷中敦:言わなかったパターンのやつだよね。
沖祐市:そこから欣ちゃん(茂木)にボーカルが変わって、「ことばでただ慰めるより眼を見て分かりあえるのさ」ってフレーズに繋がる所が、僕はグッときますね。声が切り替わってもう一人に言ってもらえている感じがするし。
──そういう意図があって、歌い分けをされたんですか?
茂木欣一:それもありますね!
沖祐市:ここは上手いこといったね。
茂木欣一:凄いピンときたというか、沖さんが歌っているここの3行っていうのは本当にドンピシャなんです!この谷中さんの歌詞が、沖さんじゃないと合わないような感じがするんですよ。
谷中敦:沖は高校の時から一緒にいて、高校3年間クラス一緒だったんですよ。
──ほぉ〜〜〜!!
沖祐市:30何年か一緒だね。
茂木欣一:沖さんは、“これは○○だけどね、○○じゃなきゃいけないんだよ!”っていう意見の出し方を普段のミーティングではしないんですけど、そこで言葉にしない想いを全部メロディーで出してきているような気がするんだよね。
そんな風にメロディーラインで提示してきてくれるっていう所を、僕は尊敬しているんですよね。
谷中敦:今の話で思い出したけど、スカパラのデビュー当時、ボーカリストみたいな担当で、本人曰く“におい”担当のクリーンヘッド・ギムラっていうのがいて。脳腫瘍で亡くなってしまったんですけど、そのメンバーが『スカパラ登場』ってアルバム収録曲の『君と僕』を俺と一緒に聴いているときに、感極まって泣いていたんですよね。
これは沖が作った曲なんだけど、当時から沖はあんまり喋る方じゃなくて。その時クリーンヘッド・ギムラは泣きながら、「谷中!沖は色んなモノを見てるな!」って言ってた(笑)。
茂木欣一:言いそうだなー。
沖祐市:その話今初めて聴いた!!
谷中敦:その時に“確かに!”って思ってね。『君と僕』も是非聴いてみてください。歌詞がない沖の口笛の曲なんだけど、それを聴きながらギムラさんがそう言っていたね。
沖祐市:クリーンヘッド・ギムラは、見た感じ怖そうとか悪そうっていう風貌なんだけど、一方ですごいピュアに物事を感じて人に伝える所があって。その両面があるから大変だろうなぁって思っていたんだけど、凄く魅力的な人なんですよ。
谷中敦:クリーンヘッド・ギムラも是非探して見てみて!鬼の目にも涙って言葉がぴったりだって思うから (笑)。
──わかりました!『君と僕』とクリーンヘッド・ギムラさんですね!なんか、もちろんスカパラのみなさんと同じ年月をずっと一緒に過ごした訳ではないですけど、このメロディーがあるからこそ、みなさんの言うその感覚がわかるような、そして感動しちゃうような所もあります。では、続いて茂木さんのピックアップフレーズを伺っていきたいと思います。
茂木欣一:本当にこの歌詞全部大好きなんですけど、「誰にも言えないような哀しみも大切な秘密の絆になった」と最後の「ぼくら人生のステージの上にはいつだって全員で並んでいる」について。この2つのフレーズって、僕の中で同じストーリーといいますか…。
僕がスカパラに加入する前のフィッシュマンズというバンド時代に、バンドのボーカルの佐藤君が亡くなっちゃってこれから人生どうなっちゃうの?って時期があって。でも、スカパラのメンバーに誘ってもらって、今こうやって合流している背景があるんです。
さっきも、ステージに上がるときに、色んなものを背負う緊張感みたいな話があったと思うけど、僕は凄く緊張してどうしようって時、フィッシュマンズのボーカルの佐藤君の事を思いだして “佐藤君は若くして亡くなっちゃったけど、お前は今日もステージに上がれてんじゃん”って思うようにしてるのね。
だから、「ぼくら人生のステージの上にはいつだって全員で並んでいる」っていうフレーズは、若いときに別れちゃった仲間も一緒にステージに上がっているっていう強い気持ちになれるんです。
谷中敦:スポーツ選手とかも大事な試合の局面とかで、子供の事や奥さんの事を考えているかもしれないし、コーチの顔が浮かんでいるのかもしれないし、言葉が浮かんでいるのかもしれない。そう考えると一人で戦っているときも、本当は一人じゃないのかなって。
茂木欣一:だからバンドだけじゃないストーリーで、色んな人にあてはまる言葉だなって思います。
みんな人生の上で並んでいるので、年を重ねていってもあのときみんなでやったから、“絶対できる!”みたいなパワーになっているんじゃないかと。そういう事をこの歌詞が教えてくれるような気がしています。
いろんな背景のあるこの歌詞をメンバー9人でやるシングルで出せたのはすごく意味があるなと思っています。
──その背景を感じながら聴くと、最初に聴いた時とは違った想いが湧き上がってきます。ありがとうございました。では、谷中さんはいかがでしょうか?
谷中敦:さっきも言ってくれた「涙も無視して泳いだ」は凄く好きですね。泳いでいるから、気付かないうちに泣いているっていうイメージでもあるし。それに泳ぎながら泣いている涙は爽やかな感じもする。最初の2行は大きいかなって思いますね。
あとは「君は楽しすぎて泣いた泣き出した」も好きかな。加藤ともよく話しているんですけど、泣き笑いの泣きながら笑う、笑いながら泣くっていうのはスカパラのテーマかなって思っていて。
物凄く楽しいときに、嬉し泣きをするっていうか、その嬉し泣きを見ながらもらい泣きをするっていうか。そういう幸せをスカパラは沢山持っているバンドだと思うので、そういう幸せをお客さんにも伝えていけたらなと思います。
加藤隆志:泣きながら笑った経験とかあります?!
──あります!どんな状況だったかは覚えてないですけど…。
加藤隆志:友達と物凄く楽しすぎて泣いちゃっているか、悲しい事がありすぎて友達と共有しているときに忘れて笑うとかもあると思う。ステージ上にいても、そういう経験ってありますね。
──スカパラさんのライブに行けば、きっとその泣き笑いも笑い泣きも体験できますね!
全員:うんうん(笑)!
加藤隆志:コンサートに来てくれて、楽しくて泣いたり、楽しすぎて踊ったりするのって自分の人生とリンクするからだと思うんです。だからフェスやコンサートはもっと大事なものになってくるはずです。そういうときにこういう音楽が響かせられたらいいなって思うし、世代を超えて繋がっていけるものだと思う。
スカパラを知らない人にも聴いて欲しいですね。旋律、メロディー、音で共感できる事は沢山あります!
──本当に素敵なお話をありがとうございました!最後に、9月29日から始まる全国ツアーへの意気込みをお願いします!
加藤隆志:最近、いろいろな世代の人たちが、フェスやテレビなどで初めてスカパラを見て好きになってくれて、ライブ会場に足を運んでくれる方が増えているみたいなんです。
それこそ読者さんに多いとおっしゃっていた10代や20代の子が“スカパラって知ってる?”ってお母さんに言って、お母さんが“昔、私もライブ行ってたよ”ってなって親子で来てくれる子もいて。ホールツアーはそういう感じで色んな世代の人に見てもらえから嬉しいですね。
スカパラに対して何の知識がなくても、ホールの中に足を踏み入れてくれれば、泣き笑いが感じられるコンサートになるはずです。
ツアーファイナルは12月24日に大阪城ホールで開催しますので、このテキストを読んでボクらスカパラに興味を持ってくれた方は、ぜひ遊びに来てください!
──ありがとうございました!
全員:ありがとうございました!
Text:愛香
Photo:片山拓
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ジャマイカ生まれのスカという音楽を、自ら演奏する楽曲は"トーキョースカ"と称して独自のジャンルを築き上げ、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、南米と世界を股にかけ活躍する大所帯スカバンド。 アメリカ最大のフェスティバル”Coachella Music Festival”では日本人バンド初となるメインステージ···