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南国ハワイの風に包まれた別れを感じるさだまさし「虹の木」

さだまさしの楽曲は様々な風景を感じさせてくれる。時にはアフリカの雄大な大自然を、また時には長崎の坂道を私たちの耳へと届けてくれる。そんなさだまさしが「虹の木」で運ぶのは、南国ハワイの風だ。

公開日:2018年11月15日 更新日:2018年11月15日

Column

柚香


この記事の目次 []
  1. ・さだまさし 虹の木
  2. ・心地よい切なさと痛みが身に染みる名曲

さだまさし 虹の木



空港の長い回廊を 君の肩さえ抱けずに
途切れ途切れの言葉で 時はゆく 28番ゲート
折から風に吹かれて散る 虹の木の花びらが
まるで遠くで雨の降る如く キラキラと光ってた


空港には旅立ちが渦巻いている。旅行先、留学先、仕事場、実家などそれぞれが向かっていく場所は様々だ。この曲の2人が向かう先は、別れ

タイトルにもなっている「虹の木」はハワイにある街路樹、レインボーシャワーツリーのことを指す。

その名の通り、黄色とピンクの花びらが虹のように美しく入り混じるこの木は、風に吹かれると花びらがまるで風の輪郭をなぞるように舞い散っていく。

可憐に散っていくその花びらに自分たちの終わりゆく恋を重ねる彼の姿が、ぼんやりと浮かんでくる。

足早に去る僕の背中に君の声「ALOHA MAHALO」
ふり返ればまだ君はそこに居て
ちぎれる程 手を振る


長い空港の廊下を抜けたら、あとは別々の道に歩き出すだけだ。そんな事実にたまらず歩き出す彼に、彼女は「ALOHA MAHALO」と言葉をかける。

「ALOHA」は、ハワイで挨拶として使われるが”愛している”という意味もある。そして、「MAHALO」はハワイ語で”ありがとう”という意味だ。

2人が別れる理由が曲中で明らかにされることはない。しかし彼女にとって彼との関係は、別れ際にきちんと”ありがとう”と伝えたいと思う、そんな大切な関係だったのだとわかる。

心地よい切なさと痛みが身に染みる名曲

ピアノに乗せて君は歌う様に 僕にさよならと言った
思えば君からは 奪うことばかりで
与えるひとつもない片肺飛行の夢だった
だから静かに氷がとけてゆく様に
おだやかに疲れたのは君
為す術もなく一輪の花が枯れてゆくのを
見送るのは僕


歌う様なさよならとは、どんなものなのだろう。

ハミングする様な柔らかいさよなら?それとも相手を傷つけない為の優しいさよなら?この曲の歌詞が描き出す情景に、そっとそんな想像が巡る。

片方のエンジンしか動いていない「片肺飛行」の様に、彼女に色んな物を背負わせていたと悔いる主人公の男性と、そんな自分に最後に”ありがとう”と告げる彼女。

その対比が尚更、恋の終わりの切なさやもどかしさを膨らませていく。自分を責める言葉や別れ、切なさが確かにこの曲には含まれている。

しかし、歌詞の所々で描かれるハワイの風景なのか、アコースティックの音色なのか、それともさださんが紡ぐ言葉なのか、とにかく「虹の木」は心地よい切なさと痛みがある。

南国ならば、別れさえも穏やかなものになるのかと錯覚してしまう程だ。

曲の最後で演奏されるのは、ハワイを代表する名曲「Aloha 'Oe」。

そこにも注目して頂ければ、さらに南国の風に包まれた別れを感じてもらえるだろう。


TEXT:柚香

長崎市出身。シンガー・ソングライター、小説家。 '73年フォークデュオ・グレープとしてデビュー。'76年ソロ・シンガーとして活動を開始。『関白宣言』『北の国から』など数々のヒット曲を生み出す。 通算4300回を越えるコンサートのかたわら、小説家としても『解夏』『風に立つライオン』な···

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