ジャンルは自分の中から生まれてくる
──『Heart Beat*』についても伺ってまいりますが、ジャズっぽいっていうんですかね。
ロイRöE-:そうなんですよ、カッコいいんです(笑)。
──ジャンル的にも色々な楽曲が収録されていて、本当に“ロイ-RöE-さんの音楽の根幹ってどこにあるの?”って。
ロイRöE-:自分でもこうやって話していて気づくんですけど、あんまり音楽そのものからの影響って少ないなと思って。
いろんな芸術からの影響を受けて出てくるものなんだと気づきました(笑)。
──経験や通ってきたジャンルの中から出てくるものではなく、ジャンル自体も自分から生まれているもののような。
ロイRöE-:だから、難しくて。「これはどういう系の曲?」とか「何系ですか?」って聞かれても、“なんやろう”って。
──きっとインスピレーションを耳ではなく目から受けるからそうなんですね。どうしたらそんな天才肌になれるものなのか、すごく知りたいです。
ロイRöE-:いや、全然天才肌じゃないですよ!何なんやろ、本当やりたいと思ったことしかできなくて。
音楽、作詞作曲はやりたいと思ったからできてて、今。
だけん、火が消えるのが怖いです。いきなりもういいやってなったらそうなっちゃうから。
──その可能性はなくはないんですね(笑)。
ロイRöE-:でも音楽にはいろいろ行先があるから、今やっていることが嫌になったらまた別のものを作れれば。
──『Heart Beat*』のお話に戻りますが、歌詞は「Göing」とか「Melöw」とか、ロイ-RöE-と同じ「ö」にこだわりがあるんですね。
ロイRöE-:そうですね。小文字の「o」は全部点々つけてますね。
──ほかにもそうなのかな? こっちは入ってなくて。
ロイRöE-:ほかは、あんまり英語使ってないですよね。
──『Heart Beat*』の歌詞も比喩的な表現が多いですが、その中に込められている意味っていうのはご自身の経験から生まれてくるような感じなんですか?
ロイRöE-:じゃないと書けないですね。
──想像だったり、ストーリーを作るというよりは、どれもやっぱり自分の経験をもとにですね。「まだ、スローモーションで側にいて」っていうのは、“ずっと側にいて”っていうような意味と捉えて良いですかね?
ロイRöE-: そういう意味もありますね。各々で解釈して楽しんでもらいたいです。
──この曲からもお気に入りの歌詞のフレーズがあれば、エピソードを聞かせてください。
ロイRöE-:「うらおもて、輪になって」とか出てきたとき、よっしゃーって思いましたね!これはもうメロディーを歌いながら歌詞も一緒に出てきました。あとは、「パレードの舞台袖」とかも結構お気に入りですね。
本物のドSとは
Photo by 河上良
──『そそらるる*』は、3曲目。「そそられる」のことですよね。
ロイRöE-:そうです。昔の言葉っぽく「そそらるる」。これは題名から決まって、「そそらるる」っていう曲つくりたいなってところから始めました。
──1番と2番の対比とが面白いですね。
ロイRöE-:結局、強気ではあるんですけど。これもすごい歌詞が気に入ってて、素直に書けたなと思って。
──「悪いひとに騙されたふりをして」っていうのは、あんまりロイ-RöE-さんのキャラクター的にイメージなかったんですけど、そういうこともされるんですね(笑)!
ロイRöE-:そういうの、楽しいですね。“こいつは私をハメとるつもりやろうけど”みたいな。口車にわざと乗るみたいな。
──(笑)!
ロイRöE-:SかMか、みたいなのあるじゃないですか。それってSがMいじめても面白くないなと思ってて。
SやったらSいじめたほうがいいやんと思って。そこで興奮するくんやない?って。
──確かに。SがMをいじめるのは単なるSの自己満足かもしれない。
ロイRöE-:そうなんですよ。おもろないやんみたいな。だってMは喜んどるんよ?みたいな。嫌がるとこ見たいやんと思って。(笑)
──ホンモノのSですね。
ロイRöE-:そういうとこ、すごくありますね。楽しいです(笑)。
──その考え方、めっちゃ惹かれる!すごい面白いですね。
ロイRöE-:たまに、「S?M?」って聞いてくる人いるじゃないですか。
「S」って言ったら、「俺、M」って。でもそれは「だから?」って思う。「なんでSだからって、Mが好きと思っとん」みたいな。すごい世の中の疑問やわ。
──でも、本当にその通りだと思います(笑)。面白い。
ロイRöE-:すごい脱線したわ。(笑)
──「悪いひとに騙されたふりをして」ですね。全然ナシじゃないですね!
ロイRöE-:楽しいんですよ、悪いやつを騙すのは。だって、正当防衛というか、騙す理由ができるっていうか。
だけえ、向こうが何か吹っ掛けてきたら、「よっしゃ!」って思うんですよ。“よし、こっちも悪さできる”って(笑)。自分からはそんなんせんけど。
──超面白い、その考え方!そしたら世の中に不幸ってなくなりそうですね。
ロイRöE-:何もないときが一番面白くないですね。平和なときが。やり返すの楽しいです。(笑)
──この曲からもピックアップフレーズ的なお気に入りの歌詞を聞かせてください。
ロイRöE-:「花瓶の桃色が頬をつけば」とか気に入ってますね。
例えば、花が枯れちゃったら水やりしても意味がないじゃないですか。派手に転んでも今は痒くもないけど、歳取ってからじゃもう遅いんよって表現をうまくできたなと。
──「頬をつく」っていうのはそういう意味で使われているんですね。
ロイRöE-:そうですね。花が枯れたらもういらないよみたいな。
「わたしの美学は決して汚れない」とか「誰の悪意も識らない」って歌詞は、ライブの時会場を見渡しながら言うようにしているんです。
──おお、そそられる(笑)!
ロイRöE-:そうなんですよ。睨みながら言うようにはしています。
歌い方とかアレンジで可愛い系にしてはいるけど、「飴とムチ」というか、めっちゃひねくれた曲です、この曲は。
最後に
──そんなライブについて伺いたいと思います。今後のご予定は?ロイ-RöE-:12月6日にファーストワンマンを渋谷でするんですけど、それもいろんな表現を使っていきたいなってイメージをしています。
衣装もそうやし、曲もそうやし、映像とか身体でできることとか、とにかく全部使いたいなと思って。
そういうとこも楽しみにしてほしいなと思います。
──ありがとうございました。では最後に、1st digital EP「ウカ*」がロイ-RöE-さんにとってどんな1枚になったのかっていうところを聞かせてください。
ロイRöE-:3曲とも全部ちゃんMARIさんプロデュースのもと色々話し合って、少女から女性への変わり目の危うさみたいのを色濃く表現したいねって。そこからさらに話し合ってこの3曲ができて、自分でもいいものになったと思っているし、理想は叶えられたなって。
女の子に特に聴いてほしいなっていうのはあるけど男性にも芸術として聴いてほしいし、いっぱい、いろんな人に聴いてほしいなって思います。
Text:愛香
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