夢を追いかける人を描いた歌詞
軽快で弾むようなサウンドに乗せた歌詞には、夢を追う人の姿が描かれている。
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跳ねた跳ねた 僕は跳ねた 小学生みたいに
雨上がりの夜に跳ねた 水切りみたいに
(ミテイタフリシテ)
明日を素通り
(ヨルニニゲタダケ)
朝を素通り
≪夜の踊り子 歌詞より抜粋≫
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将来に向けて悩んでいたが、自分が何をしたいかという夢を見出した「雨上がりの夜」。夢という目標ができたことの喜びを「跳ねた」という言葉で表現している。夢への希望を抱き、歩みを進めていく中で生まれる葛藤。“夢を追う”といえば聞こえはいいのだが、心の中には今という現実から逃れたい自分も存在しているのだ。
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どこへ行こう どこへ行こう ここに居ようとしてる?
逃げるよ 逃げるよ あと少しだけ
≪夜の踊り子 歌詞より抜粋≫
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“目指しているものは何なのか”“頑張ることに何の意味があるのか”と挫折を味わうたびに思うのだ。明確だったはずのビジョンも歪む。夢などなくても普通の毎日を送れればそれでいいのではないかとさえ思う自分が顔を出す。
考えに耽る夜
歌詞の中でも一番特徴的なサビの部分は、夢を追う人の背中を押してくれる。
「泣いて」が繰り返されているが悲しみを表すものではない。“今辛くて泣いていたとしても
、泣いた分だけ夢を叶えた未来の自分へと着実に近づいている“いう意味合いであることが
歌詞から読み取ることができる。
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今泣いて何分か後に言う
今泣いて何年か後の自分
笑っていたいだろう
≪夜の踊り子 歌詞より抜粋≫
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踊っているのは、夢を追う日々の中での葛藤や悩み、時には喜びといった様々な感情に振り回される自分自身の心のことを示す。夜は一日の中でも一番物思いに耽やすい時間なので、山口一郎はこの曲のタイトルを「夜の踊り子」にしたのだ。
夢を持つことによって、邁進しようとする気力や貪欲さなどが生まれる。しかし、夢を叶えるためには根気と努力も必要。
時には挫けそうになることもあるが、その経験も自分の糧になると将来に対する希望を抱くことができる曲だ。
例え夢がなくて、ただなんとなく過ぎていく日々を退屈に思っている人でも、この曲を聴くことによってフラットな気持ちになることができ、明日も頑張ろうと思える。
TEXT:蓮実 あこ