夢の紅白へコンベンションライブをNHKホールで開催
C&Kが紅白出場を目指してNHKホールに登場する。CLIEVYとKEENの2人組は2008年6月にデビュー。インディーズでの3枚とあわせてこれまでに9作のオリジナルアルバムを発表し、リリースのたびにオリコンチャートの自己最高位を更新するなど人気上昇中の注目ユニットだ。デビュー10周年となった2018年は、16枚目のシングル「ドラマ」がドラマ『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系)の主題歌になるなど地道な活動が実を結び、夢にまで見たNHK紅白歌合戦の出場に期待を抱かせる状況の中、ひと足早くここNHKホールで「コンベンションライブ ~見てくれ!好きか嫌いか言ってくれ!同情するなら尺をくれ!!!~」が行われた。
レーベル代表の挨拶に続きDJとダンサーが場を温め、期待が高まったところでステージ下から紅白のセットアップに身を包んだCLIEVYとKEENが登場!1曲目は「C&K Ⅹ」。CLIEVYがサックスソロでファンクネスを注入し、客席はいっせいにC&Kコールで応える。銀幕の緞子をバックにKEENがダンスを決めると歓声が沸き起こった。
「to di Bone」からノンストップでスペースオデッセイ×EDMな「milky way」につなげ、「日本全国地元が好き!今日は渋谷、ここNHKホールに来ました!」と叫んで「ジャパンパン~日本全国地元化計画~」に突入する。「首都東京は日本の地元」と言わんばかりのアッパーなグルーヴに会場は熱狂のダンスフロアと化した。
「祭りの時間がやってまいりました!」。冒頭からフルスロットルで飛ばしまくる怒涛の展開はまだまだ終わらない。あらゆるダンスナンバーのエッセンスを詰め込んだ“キング・オブ・パーティチューン”な「MATSURI」、「パーティ☆キング」を連続投下するとNHKホールの熱気は頂点に達した。
「期待の新人12年目のC&Kです!」
「期待の新人12年目のC&Kです!運命の扉が開くかはわかりませんが、自らの手で開けようと思い参加型コンベンションを開催しました!」見れば絶対好きになってもらえるという自信と、自分たちから近づいていくフットワークを兼ね備えたC&K。自らを“ジャンルバスターズ”と称する2人だが、MCでもしっかり笑いをとるライブ巧者ぶりは、歌のお兄さんに扮した「C&K Ⅻ」のキッズダンサーとの絡みでも存分に発揮されていた。
オーセンティックな滋味あふれるバラード「みかんハート」と「空気」では、動から静への見事な転換に時間のたつのも忘れて引き込まれた。
関係者挨拶をはさんで、サックス、トランペットを加えたバンド編成のライブ中盤ではショーアップされた豪華なステージを披露。“C&K”と“NHK”のコール&レスポンスからはじまった「DANCE ☆MAN (WOKKY WOKKY × BOGGIE WOGGIE)」をゴージャスに聴かせると、「※がある」、「EVERYBODY」では紅白に染まったNHKホールをファンクのリズムで満たした。
ブラックミュージックに歌謡曲、ラテン、ハウスまで幅広いジャンルをミックスした「JAM(ジャム)」を標榜するC&K。そのスタイルを可能にしているのは個性の異なる2人のボーカルだ。
包容力のあるシルキーボイスのKEENとハスキーがかった声がレジェンドを彷彿とさせるCLIEVY。互いのカラーが溶け合って生まれるハーモニーが多彩な楽曲をC&Kの色に染めていた。
魂の底からアップリフトするブラックミュージックへの深い愛
「今世紀最高に幸せ。このステージに立たせてくれて本当にありがとう!」。満場の関係者・ファンと喜びを分かち合う「幸せのディスタンス」。会場の一体感が最高潮に達したところで、大歓声とともにステージ上段から登場したのは九州男(くすお)!
「デビューして2人にいっぱいおごったんですけど、そろそろおごってください!」と事務所の先輩である九州男が冗談を飛ばすと、和気あいあいとした雰囲気に笑顔が広がる。「あの日の出会いが 未知なる道へ導く」という歌詞を噛みしめながら、10数年ぶりのコンベンションで最新アルバム『TEN』収録の「MICHI with 九州男」を披露した。
九州男を見送り「オレたちは言葉の料理人」と前置きして「キミノ言葉デ」、「Y」をしっとりと聴かせてからJBスタイルのファンクナンバー「精鋭」へ。
ブラックミュージックに対するC&Kの愛の深さは、魂の底からアップリフトする精神性の部分にも及んでいる。
間奏では会場も一緒になってダンスタイム!習うよりも先にファンキーなリズムの快感を体で覚えるC&Kの挑戦を象徴するような時間だった。「C&K Ⅳ」をはさんでレゲエのリズムが心地よい「歩きだせ」。一歩一歩ステージを前方に進みながら会場に語りかける。
とんでもない熱量のコンベンションライブもいよいよ終盤へ。CLIEVYがアコギを手にする「終わりなき輪舞曲」。もはや誰が歌っているのかわからないくらい大きな会場の合唱がNHKホールを揺るがす。
「ドラマの主役はあなたたちです!」、そのままの勢いで「ドラマ」になだれ込み、再登場した九州男とともに「Sun Son Sound feat.九州男」で本編をしめくくった。
新曲「嗚呼、麗しき人生」を熱唱!
アンコールでは7曲(!)を披露。「C&K Ⅸ」に続き、ガウンを着たダンサーがKEENと絡む「入浴」の背中流しダンスや、「踊 LOCCA ~around the world 新たなる冒険~」の肩を組んだサークルダンスを客席も巻き込んで行う様子は壮観だった。NHKホールをゴスペルクワイアに変えた圧巻の「愛を浴びて、僕がいる」。C&Kの音楽の中心にあるのは“分かち合う精神”だ。喜びも悲しみも歌に託して明日を生きるエネルギーにするというとありきたりに聞こえるが、「良い時も悪い時も」とCLIEVYが話すように、とことん音楽の力を信じることでそれぞれが抱える呪縛から解き放つ。
「関係者」であるファンとつくりあげた完全参加型のコンベンションライブでは、そのことがはっきりと示されていた。
メジャーデビューシングル「梅雨明け宣言」で“命”ポーズを決め、「帰れ」でダンサーとバンドメンバーを送り出した後、「一人ひとり、ひとつだけの人生を、自分の人生と向き合う曲を」と言ってはじまったのは8月7日リリースの新曲「嗚呼、麗しき人生」。郷愁を誘うメロディと大きな腕に抱かれるようなスケールの大きなバラードを歌い上げてステージを去った。
アンコールを含めて30曲、3時間という2度目のコンベンションは「紅白行くぞ!」の宣言も飛び出し、C&Kの音楽と愛をたっぷりと浴びた笑いあり、涙ありのライブとなった。紅白に彩られたNHKホールにふたたびC&Kのソウルが鳴り響く日は遠くない。
Text 石河コウヘイ
Photo 田中聖太郎
セットリスト
1.C&K Ⅹ2.to di Bone
3.milky way
4.ジャパンパン~日本全国地元化計画~
5.MATSURI
6.パーティ☆キング
7.C&K Ⅻ
8.みかんハート
9.空気
10.C&K Ⅳ
11.DANCE ☆ MAN (WONKY WOKKY × BOGGIE WOGGIE)
12.※がある
13.EVERYBODY
14.幸せのディスタンス
15.MICHI with 九州男
16.キミノ言葉デ
17.Y
18.精鋭
19.C&K Ⅴ
20.歩きだせ
21.終わりなき輪舞曲
22.ドラマ
23.Sun Son Sound feat.九州男
EN1.C&K Ⅸ
EN2.入浴
EN3.踊 LOCCA ~around the world 新たなる冒険~
EN4.愛を浴びて、僕がいる
EN5.梅雨明け宣言
EN6.帰れ
EN7.嗚呼、麗しき人生