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時代の先駆者・矢沢永吉は「その日」をどのように迎えるのか

この度、ニューアルバム発売と同時期に70歳を迎えた矢沢永吉。彼はいつか迎えるであろう「その日」を、今どのような思いでで見つめるのか。アルバムタイトルでもある楽曲の歌詞から、読み解いていく。
昭和から平成、そして令和。3つの時代を先頭を切って駆け抜け、今なお日本のロックシーンを代表する存在であり続ける矢沢永吉。

長きに渡って音楽活動を続けており、根強いファンが多いことで知られる。

その名を知らない者はいないだろう。

そんな矢沢が今回発表した楽曲のタイトルに、思わずドキッとした方も多いのではないか。

『いつか、その日が来る日まで・・・』

…彼が今この楽曲を歌う意味は、何だろうか。

歌詞の中から探っていきたい。

ロックスターさえも意識する「旅の終わり」


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どんな旅も 終わる時が
かならず来る
思いがけず 遠くにまで
来たようだね
≪いつか、その日が来る日まで... 歌詞より抜粋≫
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旅の終わり。

ストレートに人生の終わりを連想させるフレーズだ。

楽曲と同名のタイトルを持つ今回のニューアルバム。

1曲目のタイトルは『今を生きて』、そしてラストを飾るのが、こちらの『いつか、その日が来る日まで・・・』である。

おそらく、矢沢永吉の今までの人生や音楽活動を、一度立ち止まり編纂するようなイメージで制作されたアルバムではないだろうか。

辛い環境に置かれた幼少期。成長し、上京してから半世紀近くにわたり現在まで続く音楽活動。

我々が知る情報以上に、常人には想像できないような経験をしてきたことだろう。

そして彼は今、誰もがいつか受け入れなくてはならない「死」を意識する年齢を迎えた。


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歌はわが夢 愛は祈りだ
カオスだらけの 世の中

闇に向かって 走り続ける
いつかその日が 来る日まで おれは
≪いつか、その日が来る日まで... 歌詞より抜粋≫
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彼は現在に至るまでロックスター・E.YAZAWAという理想を守り、それを体現し我々を楽しませてくれた。

我々から見たら、彼の存在そのものがエンターテインメントなのである。

そんな彼の原動力として示された「歌」と「愛」というキーワード。

この2つが守られる限り、彼はきっと最後の日まで我々が憧れるE.YAZAWAとしてその生き方を貫くのだろう。

人は1秒先の未来さえ予測することが出来ない。しかし、その見えない先に向かって更に走り続けるのだという。

いやもう、“かっこいいぜ、さすが永ちゃん!”としか言いようがない。

今の彼が歌うからこそ、我々を更に心酔させる歌詞なのである。

矢沢に連れ添う「お前」の正体は


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握る手と手 離すなよ
お前だけが 頼りだぜ
はるばると行こう
≪いつか、その日が来る日まで... 歌詞より抜粋≫
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そうして走り続ける矢沢の手を握る者。

「お前」とは、何を、誰を意味するのか。

前項で取り上げた歌詞を踏まえると、「歌」「愛」「夢」などのキーワードが浮かぶ。

しかし、そんなストレートな言葉だけをここに込めたとは考えにくい。

そこに込められたのはきっと、彼の大切なものすべてではないだろうか。

家族、友人、仕事に携わる人々、彼の人生に影響を与え、関わってきた人々。

そして幼少期から現在に至るまでの経験や思い出。

それらがあったからこそ、現在の矢沢永吉の姿がある。歌がある。

彼が歌い続けるすべての理由が、「お前」に表されているのだ。


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おまえと共に 歩いて行きたい
いつかその日が 来る日まで 俺は
いつかその日が 来る日まで 歌う
≪いつか、その日が来る日まで... 歌詞より抜粋≫
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そして何より、彼の音楽を待ち続けるファンの存在も「お前」の中に入れてもらえたと思いたい。

彼の人生を、最後の「その日」まで見届けたい。

人は、人生の終わりからつい目を逸しがちだ。

しかし、彼はきっと視線をそらすことなく、最後までそこへ向かって走り続ける。

アルバムの最後に聞かせてくれた「いつかその日が来る日まで、歌う」という強い言葉。

矢沢永吉という男の今までの人生とこれからの生き方、そのすべてを表したフレーズだと言えるだろう。

TEXT 島田たま子

アーティスト名:矢沢永吉 生年月日:1949年9月14日 プロフィール:1972年ロックンロールバンド「キャロル」のリーダーとしてデビュー。 1977年には、日本人ソロロックアーティストとして初の日本武道館公演、1978年には後楽園球場公演を行い、著書「成りあがり」で、一大「矢沢ブーム」を···

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