アニメFGO主題歌
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今年15周年を迎え、大阪で行われた記念公演を成功させたユニゾン。そんな彼らが送り出した本作は、大人気ゲームをアニメ化した『Fate/Grand Order ‒絶対魔獣戦線バビロニア-』の為に制作された。
錯綜する運命と襲い掛かる不条理を描いた作品のテーマを映した歌詞が、予測不能で攻撃的なサウンドに見事にハマった一曲となっている。その歌詞を見ていく。
選んだのなら
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ずれるピントに迷った 合わせる辻褄を探せ
ほら枯れ葉が舞う やがて蝶になる そしてチューニング合って あとはなんだっけ
急なフェードで焦った 秒速で不条理が始まる
とりあえず選んだせいだから 方をつけなきゃいけないな
≪Phantom Joke 歌詞より抜粋≫
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“理不尽”、“不条理”といった不幸は何の予告もなく訪れる。これまでの正当な行いや通してきた道理も、それは容赦なく打ち砕いてくるのだ。
突然の事に戸惑いを見せても、襲い掛かる“不条理”の力は変わらない。
だからこそ、起きてしまった事実を考えるのではなく、これからどう解決するかを考えなければならないのだ。
自らの足で歩んできた人生の中での事なら尚の事である。
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退屈の理由は 思考停止の evidence
守るものも守れないならでしゃばるなよ
≪Phantom Joke 歌詞より抜粋≫
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ここで唄われる“退屈”という言葉は、悪い意味で停滞しつづける現状を表しており、未来を生かす信念も今を変えたい願望も何も無い事の証拠である。
いくら“退屈”を感じても、信念も哲学もなければ、そこから先に進むことはできない。
そして現状を変えたい人間にとって、その“退屈”を理不尽に振りかざす人間の言葉は邪魔にしかならないのだ。
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共感も栄光も賞賛も欲しがるのは野暮ってこと
正体不明の引力が常識を無に帰す引き金を引いてしまうから
≪Phantom Joke 歌詞より抜粋≫
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人が生きる為には、誰かに頼り、助けを貰う必要がある。しかし、それは誰かと考えを共にし、足並みを揃えて進むべきだというわけではない。
人一人の其々の考えが確立しているのであれば、第三者に認められる必要性はないのだ。
無理に欲しがった共感や賞賛からは、それなりに人の繋がりと安心感は得られるだろう。だが、必要性のない人間関係はひどく脆い。
そして過剰な安心感は、簡単に油断へと変わる。この双方は、自己の考えを脅かすものになる可能性があるといえよう。
不必要で“野暮”な行いは、不幸の落とし穴に嵌まるキッカケを作り出してしまうのだ。
善と悪に囚われるな
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激流は続く 暗い底はまだ見えない
ふざけるな おい誰だ 無下に弄ぶな 時間が闇に競り負ける
熱くなってもご注意 悪はたまに正義を隠してる
裏腹は暴かなきゃ 結末の理路は不整前
≪Phantom Joke 歌詞より抜粋≫
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思い通りにならない時間が続けば、それだけ感情的になってしまい、本当に見なければならないものが見えづらくなってしまう。
その結果、“正義”だと思い信頼していたものこそ、“敵”と呼ぶべきものであることに気づくことができず、悪だと思い敵対視しているものの本当の心を見極められなくなってしまうのである。
何事も表面的な世界に囚われない心は、いつ“理不尽”の落とし穴に落ちるかわからない世界で、未来を保つ為に必要なものである。
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無慈悲に泣く声も 無力に止まる足も
未来の足かせになるから 目を覚ませよ
≪Phantom Joke 歌詞より抜粋≫
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どれだけ悔やんでも後悔は先に立たない。手痛い失敗や打ちのめされて足を止める悲劇は、心に闇を落として悲しみの雨を生み出す。
そしてその雨は、次々に後悔という物質へと形を変えていく。
後悔は重くなった心に絶望を宿し、未来を考える思考を止めてしまう。
しかし、人間は後悔を反省へと変え、未来へのエネルギーにする力を持っている。その事に気づけば、いくら後悔しても、やがては前へ進むことができるのだ。
だが、それすら見失い後悔をただ繰り返すだけなら、その後悔は未来へ進もうとする心を止める、ただの足かせにしかならない。
そして強くはめられた足かせはトラウマと呼ばれ、外すことが容易では無くなる。そうならない為に、過去に囚われてはいけない。
その想いが、この節に込められているのだ。
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「このままがいい」だとか「生きたい」も願うだけじゃダメってこと
大切なフレーズをこぼすな 物語がゴミになる
≪Phantom Joke 歌詞より抜粋≫
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善悪の精査や、未来を望む思考を持っていても、自分が望む未来の為に行動しなければ、何もしないのと一緒である。
自分にとって何が正しくて何が必要か、その思考を適切に表す其々の言葉を、ここでは“大切なフレーズ”と呼んでいる。
“不条理”を乗り越える為に、自分に必要な理想と状況、思考の言葉といった“大切なフレーズ”を掴んで行動しなければ、あっという間に“不条理”に飲み込まれてしまうだろう。
運命を諦めない
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冗談じゃねえよ Phantom's begun! 嘘にまみれきって蜃気楼
心まで霞んで蜃気楼 善々悪々も審議不能になる
全部嫌になった それさえも幸せな結末だ
だめだ そんな悲しいこと言うな まだ世界は生きてる
君が泣いてたって生きてる だからこの空の先を見たい
≪Phantom Joke 歌詞より抜粋≫
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突然現れた“不条理”な不幸は、目の前に現れた蜃気楼のようなものであり、現実を狂わせて心を惑わせる幻想である。何が正しくて何が間違っているのか、その審議の指標を理不尽な幻想が霞ませて見えなくさせてしまう。
だが、幻想が無情な困難をぶつけて未来に進む事を諦めそうになっても、それこそ運命だと簡単に受け入れてはならない。
運命とはあくまで、人間が自ら生きる世界の中で起きた事象を、ある程度の合理性を結び付けてカテゴライズした名前だ。
つまり、あくまで現時点の状況にある情報を、人間が意識的に結び付けたものであり、絶対的に不変のものではない。
運命は世界とリンクして流動的に変化していくものだ。自らの呼吸を止めない限り、自らの世界も止まらずに生き続ける。
その止まらない流れに付随して、運命と呼ばれるものも絶えず変わっていくのである。
つまり、世界を続けていく限り、悲しい運命を覆し自分の望む正しさに向かえるチャンスがあるのだ。
それは悲しみが生み出されることになった理由に気づくチャンスでもあり、その理由は悲しみの裏の希望を守る為に、全てを諦めない理由になり得るものである。
“まだ世界は生きてる”“だからこの空の先を見たい”
この言葉こそ、こぼしてはならない“大切なフレーズ”なのだ。
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邪魔すぎる運命のターゲット睨みながら
言えそうで良かった「まだ愛していたい」
悲しくちゃ終われない「まだずっと愛していたい」
I'll never catch bad fake.
≪Phantom Joke 歌詞より抜粋≫
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悲しい運命は、抗えれば必ず望む未来の形を創り上げることができる。悲劇に飲み込まれないで、何一つ諦めなければ、世界は変えられる。
その心を持っていれば、否定すべき運命を前に、“まだ愛していたい”という未来への希望の言葉が言えるだろう。
悪い冗談のような“不条理”が幻想として纏わりついても、自分の中にある真実の声で全てを吹き飛ばせるはずだ。
悲しい運命はまだ覆すことができる。そういった想いが、この歌に込められているのであろう。
TEXT 京極亮友
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