「科捜研の女」に相応しい大人の音楽
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1999年に放送が開始した沢口靖子主演の人気ドラマ『科捜研の女』。
今井美樹が歌う『Hikari』は、2019年一年を通して放送されている最新シーズンの秋クールを飾る主題歌です。
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まどろみの朝に ふと目にしたアルバム
懐かしい顔に 笑みこぼれる
友達だとしても 恋人だとしても
手を差し伸べ 心通う
≪Hikari 歌詞より抜粋≫
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昔から変わらない今井美樹の優しい歌声と穏やかなメロディで幕を開ける『Hikari』。
「まどろみの朝」という事は、おそらく早起きしなくてもいい休日の朝でしょう。ベッドの中で「ふと目にしたアルバム」は、スマホのフォトアルバムではなく1枚1枚ページをめくる本物のアルバムだと思われます。
そのアルバムの中で微笑む懐かしい人々。それが恋人でも友達でも、今なら心を通い合わせる事ができるだろう。そんな歌詞全体から漂う大人の余裕と寛容は、美しく歳を重ねた今井美樹だからこそ表現出来る世界ではないでしょうか。
放送開始から20年間愛され続けている『科捜研の女』も、今井美樹と同じようにゆったりと歳を重ねて来たドラマです。毎回お馴染みとなった沢口靖子と内藤剛志が語らいながら歩くエンディングに流れる『Hikari』。
ZARD、徳永英明などの錚々たるメンバーの名前が並ぶ『科捜研の女』の主題歌の中でも『Hikari』は、陽だまりのようなこのドラマに相応しい大人のポップミュージックとして長くファンの心に残る主題歌になったでしょう。
「Hikari」を聴いて思い出す名曲とは
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長い時間を かけて紡ぐ
綻びさえ愛せる私だけの Life Story
≪Hikari 歌詞より抜粋≫
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この曲を聴いていて、ふと思い出した曲があります。それは、1991年にオリコンランキングで1位を獲得した今井美樹の名曲『PIECE OF MY WISH』。
若い頃の苦しみを自分を信じて乗り越えて行こうと歌った1991年、今井美樹は28歳でした。それからちょうど28年後にリリースされた『Hikari』を聴いていると『PIECE OF MY WISH』の続編のような気がしてなりません。
長い時をかけて紡いだ日々には失敗や挫折などの綻びがあるけれど、今はその綻びさえも愛おしい。それらも含めて「私だけの Life Story」なのだと、この28年間を振り返っているように聴こえてくるのは私だけでしょうか。
「光の差す世界」はどこにある?
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光の差す世界は今 あなたの側にあるの?
Look in your eyes again 心から今を愛せますか?
未来が見えますか?
今を愛せますか?
≪Hikari 歌詞より抜粋≫
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もし『Hikari』が『PIECE OF MY WISH』の続編だとすれば、この曲で歌われる「光の差す世界」は、28年前に歌われた手のひらに「希望のかけら」を集め、絶望を「大きな喜び」へと変えた世界なのかもしれません。
長い年月の中で悩んで立ち止まる度に「希望のかけら」を集めて人生を歩んで来た人々。
今井美樹はこの曲で「光の差す世界は今 あなたの側にあるの?」と問いかけながら、あなたの歩んで来た道は間違ってはいない。「光の差す世界」は必ずあなたの側にある。と伝えようとしているのではないでしょうか。
幾つになっても人生には迷いや後悔がつきものです。この曲は、迷える大人たちを光ある未来へと導くメッセージソングなのかもしれません。
令和になった今も、変わらぬ美貌で素敵な音楽を届けてくれる今井美樹。ニュー・アルバムの情報も待ち遠しいですね。
TEXT 岡倉綾子