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BUMP OF CHICKEN『天体観測』は痛みを乗り越えて成長する普遍的な物語

BUMP OF CHICKENの『天体観測』はバンドにとって、初の大ヒット曲。この曲によって一気に知名度と人気を広げました。主人公と「君」の切ない物語とそこにある「痛み」。誰の人生にも思い当たる普遍的な物語を描いています。

BUMP OF CHICKENの名を広めた代表曲



『天体観測』はBUMP OF CHICKENのメジャー2枚目のシングルで、2001年3月14日にリリースされました。

BUMP OF CHICKENにとって初のオリコンチャートTOP3入りを果たした曲で、現在までに50万枚以上を売り上げています。

彼らにとって最大のヒット曲であり、現在も多くのファンに愛されている人気曲です。

2002年にはこの曲をテーマとしたドラマ『天体観測』も制作されるなど多方面に影響を与えました。

それでは『天体観測』の歌詞を見ていきましょう。

痛みを伴う天体観測の記憶


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午前二時 フミキリに 望遠鏡を担いでった
ベルトに結んだラジオ 雨は降らないらしい
二分後に 君が来た 大袈裟な荷物しょって来た
始めようか 天体観測 ほうき星を探して
深い闇に飲まれないように 精一杯だった
君の震える手を 握ろうとした あの日は
見えないモノを見ようとして 望遠鏡を覗き込んだ
静寂を切り裂いて いくつも声が生まれたよ
明日が僕らを呼んだって 返事も ろくにしなかった
「イマ」という ほうき星 君と二人 追いかけていた
≪天体観測 歌詞より抜粋≫
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『天体観測』というタイトルの通り、夜中に望遠鏡を持って天体観測に行く様子が描写されています。

登場人物は主人公と「君」。はっきりとは描かれていませんがおそらく「君」は女の子でしょう。

「精一杯だった」、「握ろうとしたあの日は」などの1番の歌詞から、主人公が昔のことを思い返している場面と思われます。
楽しみにしていた天体観測。

「君」が背負ってきた大袈裟な荷物からもそのワクワクが伝わってきます。

しかし、この天体観測は楽しい思い出ではないようです。

歌詞からは深い闇に飲まれそうになったこと、君の手が震えていたことが読み取れます。何があったのかはここではわかりません。

ただ、この天体観測の記憶は主人公にとって何か痛みを伴うものであったようです。

そしてキーワードとなるのは”「イマ」というほうき星”です。

「君」と一緒に追いかけていたこのほうき星は何を指しているのでしょうか?

「ほうき星」は何を指しているのか?


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気が付けば いつだって ひたすら 何か探している
幸せの定義とか 哀しみの置き場とか
生まれたら死ぬまで ずっと探している
さぁ 始めようか 天体観測 ほうき星を探して
今まで見つけたモノは 全部 覚えている
君の震える手を 握れなかった痛みも
知らないモノを知ろうとして 望遠鏡を覗き込んだ
暗闇を照らす様な 微かな光探したよ
そうして知った痛みを 未だに 僕は覚えている
「イマ」という ほうき星 今も一人 追いかけている
≪天体観測 歌詞より抜粋≫
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2番の歌詞は現在のことを歌っているようです。
無邪気に天体観測をしようとしていた子供のころとは違います。

「幸せの定義」や「悲しみの置き場」など、探しているものからも主人公の成長がうかがえます。
しかしそれでもなお主人公は「ほうき星」探し続けているのです。

この「ほうき星」というのは希望に満ちた明るい未来といったような意味なのでしょうか。

1番の歌詞で、子供のころの主人公は「見えないものを見ようとして」望遠鏡を見ていました。
子供の頃は、将来や未来というのは何となくぼんやりとしか捉えられないものです。

しかし成長した主人公がいる「イマ」は子供の頃に見ようとしていた未来そのものだというのに、まだ明るい希望は見えていません。

そして「今も一人追いかけている」という歌詞から「君」がすでに主人公の近くにいないことが示されています。

答えのない問いの答えを見つけようとする歌


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ただひとつ 今も思い出すよ
予報外れの雨に打たれて 泣きだしそうな
君の震える手を 握れなかった あの日を
見えてるモノを 見落として 望遠鏡を また担いで
静寂と暗闇の帰り道を 駆け抜けた
そうして知った痛みが 未だに僕を支えている
「イマ」という ほうき星 今も一人 追いかけている
もう一度 君に会おうとして 望遠鏡を また担いで
前と同じ 午前二時 フミキリまで駆けてくよ
始めようか 天体観測 二分後に君が来なくとも
「イマ」という ほうき星 君と二人 追いかけている
≪天体観測 歌詞より抜粋≫
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1番の歌詞で主人公が抱えることになった「痛み」の意味がここでわかります。

あの天体観測の夜、雨は降らないはずだったのに予報外れの雨に打たれてしまったのです。

雨に打たれ震える「君」。しかし主人公は「君」の手を握ることすらできませんでした。
その後悔が今も主人公を苦しめているのでしょう。

その後悔を振り払うため、そして子供の頃に探していた希望を手に入れるために主人公は再び天体観測に挑みます。

あの日と同じ時間、同じ場所で。「君」が来なかったとしても、痛みを乗り越えた主人公はようやく「君」と向き合うことができます。

成長した主人公は一人ではなく二人で、ほうき星という名の未来を追い続けるのです。

BUMP OF CHICKENの藤原基央は『天体観測』について「答えのない問いの答えを見つけようとする歌」と語ったことがあります。

人生において、その瞬間瞬間で何が正解なのかはわかりません。
失敗して後悔することもあるでしょう。

しかし失敗を乗り越えて成長することはできます。

この曲が多くの人に感動を与え、今も人気なのは誰にとっても思い当たるだろう子供の頃の「痛み」を歌っているからではないでしょうか。

主人公の物語として聴いていた曲が気がつくと自分の物語になっています。

聴き手の心に刺さる普遍的な物語を描ける藤原基央の才能に圧倒される1曲です。


TEXT まぐろ

BUMP OF CHICKENは、トイズファクトリーに所属する4人組のロックバンド。独特な世界観とボーカル藤原の圧倒的歌唱力、更にはドラマの他、アニメやゲームとのタイアップ曲も多く、幅広い年齢層から支持を集めている。 幼稚園時代からの幼馴染であり、1994年、当時中学校の同級生であった4人が、文···

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