「日本の歌百選」の1曲
1975年にリリースされた『時代』は中島みゆきのセカンドシングルです。
いまから約45年も前の楽曲なのに、どこかで耳にしたことがあるという方も多いでしょう。
それもそのはず、実は2007年に「日本の歌百選」にも選出され、現在では教科書にも掲載されるほどの名曲なのです!
リリース当初から多くのアーティストがカバーし、大切に歌い継がれてきました。
そしてその楽曲の威力は衰えることなく今も健在。
なんと2020年に公開された映画『記憶屋 あなたを忘れない』の主題歌として起用されたのです。
しかも、採用されたのは中島みゆき本人の音源で1993年に収録したものが使われています。
楽曲の素晴らしさを再認識すべく、まずは冒頭の歌詞をご紹介します。
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今は こんなに悲しくて
涙もかれ果てて
もう二度と笑顔には
なれそうも ないけど
≪時代 歌詞より抜粋≫
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伸びやかな声で歌われているのは、なんと悲しい歌詞なのでしょうか。
しかし、この「今は」という部分がこの楽曲の鍵になるのです。
優しすぎる歌詞に、思わずホロリ
涙が枯れて、一欠片の笑顔もなくなるほどボロボロの状態の「今」にある人に向けて、中島みゆきは優しく語りかけます。
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そんな時代もあったねと
いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
≪時代 歌詞より抜粋≫
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とても心温まる歌詞ですよね。
「頑張れ」や「大丈夫」など分かりやすい応援ワードは一切使われていませんが、自然と前を向きたくなるような優しさに溢れています。
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だから 今日は
くよくよ しないで
今日の風に
吹かれましょう
≪時代 歌詞より抜粋≫
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この部分も無理に背中を押すような歌詞ではなく「無理しなくていいんだよ」と包み込むような優しいメッセージですよね。
本当に辛い時に聞いたら、ホロリと涙が溢れてしまいそうです。
サビの歌詞が伝えたいこととは?
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まわる まわるよ
時代はまわる
喜び悲しみくり返し
今日は別れた 恋人たちも
生まれ変わって
めぐりあうよ
≪時代 歌詞より抜粋≫
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誰でも一度は聞いたことがあるであろう有名なフレーズですね。
「時代はまわる」なんて当たり前のことを歌っているようですが、よく考えるととても深いんです。
2行目歌われている通り、喜びと悲しみは時代がまわるからこそ移り変わるもの。
つまり、良いことばかりが続かないように、悪いこともそう長くは続かないというメッセージなのではないでしょうか?
「今は」辛くても、いつかはまた笑える日が来る。
なぜなら、時代は回るから。
傷ついた心や体にそっと寄り添ってくれるようなメッセージですね。
辛い状況にある方やそうでない方も、ぜひこの曲を聴いてみてください。
少しだけ気持ちが前向きになるかもしれませんよ。
TEXT ゆとりーな