まだ消せない心のあなた
アニソンからポップミュージック、ダンスミュージックまでこなすナナヲアカリが、自ら作り歌う『note:』は、過去に経験した失恋を綴った等身大のバラードになっています。
あの頃大切だったあなたへの思い出や後悔、そしてもう会えないあなたへ届けたい想いを、ただひたすら誰の目にも触れないノートに吐き出すよう書かれた歌詞が歌われています。
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どうしたらよかったのかな
今 此処にいること あってるかな
あなたを傷つけて選んだことが
100点の答えだなんて思ってないけど
こうすればよかったとかさ
今頃いっしょに過ごしてたかもとかさ
ごちゃついた気持ちがたまに溢れ出して
会いたいな が まだ下書きにいるんです
≪note: 歌詞より抜粋≫
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「どうしたらよかったのかな」という後悔から始まる歌詞は、過去の恋愛をまだ完全に吹っ切れていない事を意味しています。
思いのすれ違いで別れてしまった恋人ですが、簡単に忘れられない気持ちや思い出が度々溢れて、その存在から完全に自分を切り離せなくなっているのでしょう。
もしもあの時、というifが巡り巡って、何処かで付き合い続けられた未来を想像しつづけてしまっています。
割り切れない想いを書いた言葉を、あなたへ連絡するためのツールの下書きに残してしまっているのが、そんな自分の心を象徴したものとなっています。
届かないあなたへ
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そちらの生活は相変わらずですか、
また気にしてないような顔をして
寂しがっていますか、
こちらはそれなりに楽しかったり辛かったり
大切にしたい人を見つけたり、とかです
≪note: 歌詞より抜粋≫
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まだ忘れられないあなたが、私の知らない場所でちゃんと生活出来ているか、その思いを直接あなたへ届けることはできないのに、つい考えてしまう。
それだけじゃなく、いまの私のことも報告してしまいたくなってしまう。
そういった気持ちが表れているこの歌詞からも、簡単に忘れられないあなたと繋がっていたい思いが伝わってきます。
「大切な人を見つけたり」という部分からは、あの頃と変わらず恋をしているだけじゃなく、あなたとは違う人を私は見つけたという、嫉妬を煽りたい心も僅かに混じっていると思われます。
その混ざりあってどうしようもなくなった感情は、決してあなたへ届くことのない形で、ここに書き綴ることでしか出来なかったのでしょう。
未だ不完全なままで
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いつか わたしのことを思い出して
あんな日もあったねと笑い話にしてね
不完全なふたりでいた日々は
きっと、ずっと…
いつか あなたのことを思い出して
あんな日もあったねと笑い話にしたいよ
不完全なふたりでいた日々は
これからもわたしの声になってく
≪note: 歌詞より抜粋≫
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どれだけ心にあなたが残っていても、もうこの恋は既に過去のものであり、消え去ってしまったものです。
それでも、あの時の全てが無意味なものではなかったはず。
そしてあなたにとっても、決して無駄な時間ではなかったと思っていて欲しい。
何気なく笑って思い出せる記憶にしていて欲しいという願いがここには込められています。
そして、自分もそうありたいという願いも持ち続けています。
お互いを綺麗に思い合い続けられる、完全なふたりにはなれなかった。
でも不完全な思い出が今の自分を形成しているのは間違いなく、その経験がいずれ、願いの先にいる自分に辿り着ける糧になっていくのでしょう。
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どうしたらよかったのかな
今 此処にいること あってるかな
≪note: 歌詞より抜粋≫
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あなたの事をあれこれ考えて、その想いをまとめるように書き綴り続けたこの歌詞の最後は、はじめにも述べた後悔の言葉で締められています。
100点の完全な答えは出せない人の心を最後まで歌った、理性と本能が入り混じった歌詞ですが、これもまた不完全を克服する為に必要なものなのだと思われます。
TEXT 京極亮友