みんなに愛が届くといいな
2020年1月から放映されたドラマ「恋はつづくよどこまでも」で、恋に仕事に一生懸命で誰もが応援したくなる新人ナースを演じた上白石萌音。歌手としても多くの作品を発表している上白石萌音は、2020年5月に『夜明けをくちずさめたら』を配信リリース。
優しくて健気で、一生懸命な彼女のイメージにぴったりの愛に満ちたバラードソングです。
「いきものがかり」の水野良樹が楽曲を制作し、4月~5月のNHKみんなのうたのタイアップとなりました。
この曲を聴くと「みんなに愛が届くといいな」という願いが込められている気がします。
そんなしっとりとしつつも温かい『夜明けをくちずさめたら』の歌詞の意味を考察します。
涙がこぼれないように月を見る
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きみは月を見てる
涙に負けないように
誰かの手に愛がやどること
願っているんだ そうだろ
≪夜明けをくちずさめたら 歌詞より抜粋≫
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月に願い事をしたことのある人は、たくさんいますよね。特に満月の夜に輝く月は神秘的で、なんでも願いを叶えてくれそうな気がします。
「きみ」も月を見ています。涙がこぼれないように月を見上げているのでしょうか。
もしかしたら、月を通して誰かとつながりたいと思っているのかもしれません。
同じ瞬間に同じ月を見ている人が、どこかにきっといるはずだから。
なんだか孤独を感じる歌詞ですよね。
それでも自分の悲しみにとらわれるのではなく、誰かの手に愛がやどることを願っている。
この「誰か」は特定の一人の人間ではなく、自分も含めた、たくさんの人を指しているのではないでしょうか。
月の光が全ての人に降り注ぐように、愛も全ての人に降り注いでほしい。
そんな「きみ」の優しい気持ちが伝わってきます。
月光のように愛もみんなに降り注げ
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どうかもう
震えるその手を
自分で責めたりしないで お願い
みんな みんな 愛されたいと
言えずに生きている
≪夜明けをくちずさめたら 歌詞より抜粋≫
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きっと手が震えているのは、まだその手に愛が届いていないからではないでしょうか。
でも、それはその人のせいではないのです。
”だから責めたりしないで欲しい、自分で自分を責めるのは何より辛いから。”そんな声が聞こえてきそうな歌詞です。
みんなも口に出せないだけで愛されたいと思っている。
だからなおさら「きみ」は、愛が「みんな」に降り注いで「みんな」の手に届くことを願っています。
みんなの幸せを想う「きみ」の願いが、繰り返し綴られていて切ないですよね。
月を見ながら夜明けをむかえる
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みんな月をみてる
誰かを想いながら
いつの日かとなりに座って
夜明けをくちずさめたら
≪夜明けをくちずさめたら 歌詞より抜粋≫
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となりに座って一緒に月を見ながら夜明けを迎えたいという意味なのでしょう。
この状況は、相手を信頼していないとできないですよね。
夜中に月を見ながら大声での会話はできません。
黙ってとなりに座っていても居心地がいいのは心が通じ合っているから。
「きみ」の言葉で言えば「愛がその手に届いているから」。
なんだかドラマのように情景が浮かんできて、ロマンティックです。
月を見ながら何かを願うとき、それは誰かの幸せなのでしょう。
月にはそんな誰かを想う愛情が、たくさん届いているのかもしれません。
そんな愛でいっぱいの月。
次の満月の日には、月を見ながら是非この曲を聴いてみてくださいね。
TEXT 三田綾子