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各国の政治家もハマる!アメリカの政界が舞台のサクセスストーリー
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映画『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は、動画配信サービスのNetflixのオリジナルドラマとして2013年から公開されている作品です。
イギリスのマイケル・ドブズの小説『ハウス・オブ・カード』と、1990年から1995年までイギリスのBBCで放送されたイアン・リチャードソン主演のテレビドラマ『野望の階段』が原作となっています。
それらの要素を組み合わせ、デヴィッド・フィンチャー監督によってアメリカの政界を舞台にした新しい物語として制作されました。
重厚な映画を観ているような臨場感と大胆な構成が話題を呼び、ネット配信で初公開されたドラマシリーズでは、史上初のプライムタイム・エミー賞を受賞しました。
その人気ぶりは各国の政治家たちもファンを公言しているほどで、人間ドラマ作品が好きな人におすすめしたい名作です。
海外ドラマらしい全6シーズンの長編作品で、色濃い人間模様と政界の裏側を見せる本作の魅力を、あらすじや見どころから紹介します。
ホワイトハウスへの復讐と野望で政界を駆け上がる!
民主党所属の下院議員であるフランシス・アンダーウッド(フランク)。
彼は大統領候補の1人であるウォーカーを応援しており、実現したあかつきには国務長官のポストを約束されていました。
そして見事、大統領選に勝利。
しかし彼を待っていたのは、約束を反故にされるという裏切りでした。
これまでの忠誠心を捨て復讐を誓った彼は、NPO法人の代表を務める妻のクレアと共に、大統領の失脚と自身のホワイトハウス入りを目指すことにします。
野望を実現させるため、ニュース記者のゾーイを利用して偽の記事をでっち上げ、国務長官を失脚させるところから物語は動き始めます。
復讐と野望を胸にどんな卑劣な方法もいとわない彼が、あらゆる手段を駆使して政界でのし上がって行くサクセスストーリーです。
豪華キャストがリアルに演じる多彩な演技が圧巻
本作は豪華なキャストが集結していて、その高い演技力に引き込まれます。
その筆頭が、主人公のフランク役を演じる名優ケヴィン・スペイシーです。
冷徹な野心家という役どころをハードに、時にコミカルに演じ、男女問わずストーリーへの没入感を味わわせています。
最終シーズン6の収録開始直前に、過去のスキャンダルが発覚し降板となりましたが、本作での圧倒的な存在感は多くの人の心に焼き付いているでしょう。
妻のクレア役を演じたロビン・ライトも、高評価を得ています。
働く女性の美しさと逞しさを体現した演技だけでなく、年齢を感じさせない美貌とスタイルにも絶賛の嵐。
シーズン6では死去した夫の跡を継いで新たな主人公となり、持ち前の上昇志向で突き進み、最後まで本作の面白さを存分に演出しています。
主役の2人を中心に、多くの登場人物たちの思いが交差する複雑な人間ドラマは、これほどの多彩なキャストが揃ってこそ、深みを増していると言えるでしょう。
細かな演技ものちのストーリーに関わっている場合があるので、じっくり観るのがおすすめです。
決して手の届かないダークヒーローぶりに引き込まれる
本作の面白さは、何といっても冷徹非道なフランクという人物の存在にあります。
自分の野望を果たすことに熱意を燃やし、卓越した手腕を発揮しつつも、周囲の人間は妻でさえ駒に使う非道ぶり。
そして利用価値がなくなればすぐに切り捨てる、まさに血も涙もない悪役です。
しかしストーリーを追っていくと、口先だけでなく仕事ができる有能な男であることも見えてきます。
法案の改案をすばやく形にしたり、トラブルを臨機応変に乗り切るなど、周囲を驚かせます。
どんな小さな仕事も、すべてが野望を成し遂げるための重要なピースであるかのように、確実かつユーモアたっぷりにこなしていく様子は、誰もが憧れる理想の上司像と言えるでしょう。
同様に、妻のクレアも彼に利用されるだけではありません。
彼女自身も彼に負けず劣らずの野心家で、自分の立場を高めるために夫や周囲の人間を平然と利用します。
とはいえ、利用関係にあるこの夫婦の間には、確かな信頼に裏打ちされた愛情があることも伝わってきます。
それぞれが自立していながらも、お互いがお互いの存在に支えられて、欲望をむき出しにして高みへ上っていく姿は、次第にかっこよく見えてくるはず。
観る人にとって、決して真似できない理想の生き方を貫く彼らは、最高のダークヒーローです。
本作では、ストーリーをより盛り上げるため、登場人物が視聴者に語りかけてくる「第四の壁の破壊」という手法を用いています。
交渉相手に笑顔を向けながらも、ふと視聴者の方を向いて相手を馬鹿にする言葉を皮肉たっぷりに言い、またよそ行きの表情で話が進んでいきます。
現実社会でも、政界に顕著に見られる本音と建前は、多くの市民が感じ取っているでしょう。
普段は隠された裏表をあえてはっきりと示すことにより、行動の裏にある意図を伝えると同時に、主人公との仲間意識が生まれてストーリーをさらに深い視点で楽しむことができます。
また、この手法によってギスギスした人間ドラマの攻防の合間に笑いを織り交ぜ、緩急をつけて飽きない構成にしていることも、続きを観たくなる要因です。
ちなみに、タイトルの『ハウス・オブ・カード』という言葉には、トランプカードで作られた家という意味があります。
作中に一貫して見られる、多種多様なカードを切りながら政界の頂点へ進んで行くさまと、いつ壊れるか分からないスリルと緊張感を言い得たタイトルですね。
「メインタイトル・テーマ」がなくては始まらない!
本作の作曲を担当したのは、テレビの分野で活躍しているクラシック音楽の作曲家、ジェフ・ビール。
彼が作り出した数多の楽曲が、シリーズ全体に統一感と臨場感を持たせ、効果的に気分を盛り上げてくれます。
なかでも人気が高い音楽が『メインタイトル・テーマ』です。
オープニングに必ず流れる楽曲で、この音楽を聞かなければ始まらないというファンも多くいるようです。
フリューゲルホルンの伸びやかな音色をメインにした、雄大さを感じさせるクラシック曲でとなっています。
時おり、重低音のサウンドがリズムを刻み、どこか不気味な印象を与えているのが特徴的。
政界と復讐心に漂う不穏さや、主人公の持つ野望の広がりをイメージすることができます。
音楽を聞くだけで作品がぱっと頭に浮かぶ秀逸のテーマ曲です。
「ハウス・オブ・カード」は欲望への純粋さが眩しい!
Netflixオリジナルドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は、映画顔負けの骨太なストーリーにヒリヒリさせられる大人向けの政治ドラマです。
富や名声を得ることは、誰もが一度は夢見る欲望と言えるでしょう。
しかし、欲望に忠実に行動することは現実ではとても難しく、無難に過ごすことを選択する人が一般的です。
そんな現実社会を生きる中で、本作の主人公とその妻の欲望に対する純粋な思いと、なりふり構わず突き進む行動力は、憧れるような眩しさを感じさせます。
復讐と策略の攻防が繰り広げられる『ハウス・オブ・カード 野望の階段』を観て、現実では体験できない非日常感を味わってください。
TEXT MarSali