破天荒すぎるAV界のレジェンドの半生を映像化!
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2019年にNetflixで配信が開始されたオリジナルドラマ『全裸監督』は、「AVの帝王」「放送禁止のパイオニア」という数々の異名を持つAV監督の村西とおるの実話を基にしたヒューマンドラマです。
本橋信宏著の『全裸監督 村西とおる伝』を原作に、総監督を武正晴、監督を河合勇人と内田英治が務めました。
本作では村西とおるがどのように日本AV界を切り開いたのかという、サクセスストーリーが描かれています。
現代のテレビドラマや映画では表現することが難しいこのテーマは、動画配信サービスのNetflixだからこそ実現できました。
作り込まれた世界観と緻密な脚本により、男女問わず人気を博し、配信されている世界190ヶ国で高評価を得ています。
すでに2021年に『全裸監督2』が配信されることも決定しており、さらなる注目が期待されている作品です。
際どい内容でありながら引き込まれる本作の魅力を、あらずじや見どころから紹介します。
冴えないセールスマンがAV業界に活路を見いだす
1980年代、英会話教材のセールスをしていた村西とおる。
なかなか結果が出せなかったものの、相手を褒めまくるという独自の方法でセールスマンとして成長していきます。
そんな時、会社の売り上げが持ち逃げされたことで会社が倒産。
さらには自宅で妻の浮気現場に遭遇し、妻は子供を連れて家を出て行ってしまう事態に。
仕事も家族も一度に失った彼は、トシというチンピラと出会います。
トシはラブホテルでの盗撮映像をビデオにして販売しており、現場に連れていかれた村西はこれをビジネスチャンスと考えます。
アダルトビデオショップに並ぶビニールで包装された「ビニ本」に目を付け、持ち前の才能とセールスマンとしての技で数々のビニ本を販売。
業界で一目置かれるようになると、次はアダルトビデオの作成を始めます。
当然、国が定めた規制が彼の行く手を阻みますが、常にピンチをチャンスに変えてAV業界を猛進。
その頃、厳格な母親に育てられ、その反動で性への強い関心を持つ1人の女子大生、佐原恵美が彼の前に現れます。
2人の出会いにより、新たな風が吹き込まれたAV業界の躍進を映し出すドラマです。
放送ギリギリでも豪華キャストが全力で好演!
本作では、実力派俳優陣がキャストとして名を連ねています。
主演を務めるのは、どんな役も巧みに演じ分ける俳優の山田孝之。
破天荒なAV監督という攻めた役柄を体当たりで演じ、話し方や佇まいまで村西とおる本人の雰囲気をまとって、表現者としての存在感を見せつけています。
さらに、満島真之介、玉山鉄二、リリー・フランキーら日本映画界を支える俳優たちが、それぞれのキャラクターを印象的に演じ、注目を集めました。
そして、AV女優として成長を遂げていく黒木香役の森田望智も、放送禁止ギリギリの大胆なシーンを全力で好演しています。
ストーリーを盛り上げる俳優陣の演技は必見です。
波乱万丈なストーリーと当時の空気を感じられる世界観が秀逸
本作の面白さは、村西とおるの波乱万丈な半生を描くストーリーにあります。
セールスマンとしての才能が開花したにも関わらず、思わぬ出来事がきっかけでアダルト業界に進んでいくという、事実とは思えない展開に引き込まれるでしょう。
そして、当時の誰も思い浮かばなかった数々の多彩なアイディアで業界を昇りつめ、日本のアダルト業界を牽引する人物になっていくサクセスストーリーは圧巻です。
もちろん成功ばかりではなく、多額の借金や逮捕などの失敗経験も披露しています。
アダルト業界を描きながらも男女問わず人気作となったのは、彼の奇抜な人生をテンポ良く見せるストーリー構成の力が大きいでしょう。
また、村西とおる自身の目線だけで業界を描くのではなく、彼をレジェンドにまで押し上げた立役者であるAV女優の黒木香の視点も加えられています。
当時、インパクトの強さで注目された彼らも普通の人であり、様々な思いやバックグラウンドを抱えていたことが分かり、きっと好感が持てますよ。
さらに、バブル真っ只中だった1980年代当時を忠実に再現した演出も、高く評価されています。
美術監督の清水剛が率いる美術チームに、ハリウッドで多く美術を担当する中西梨花が参加。
細かな装飾の1つ1つにこだわり、当時の雰囲気を巧みに演出しています。
総監督直々にロサンゼルスまで赴き、デヴィッド・リンチ監督のカラリストと共に微妙な色合いまで丁寧に調整。
そのような細部に至る表現により、各シーンでバブル期の華やかさと熱気がしっかり伝わってきます。
同世代の人は当時のことを懐かしみながら、若い世代の人は新鮮な気持ちで楽しめるでしょう。
「My Wish」は世界観をつくる中毒性のあるテーマ曲
本作では洋楽を中心に多くの挿入歌が起用されており、選曲と流れるタイミングがバツグンと評価されています。
なかでも注目したい曲は、オープニング曲。
映画音楽の作曲家である岩崎太整が作詞と作曲を手がける『My Wish』という曲は、本作のために制作された楽曲なのです。
1分足らずのシンプルなメロディながら、リズミカルな曲調が耳に残り、繰り返し聴きたくなる中毒性があります。
全編英語の歌詞では、自身を表現するためにAV業界を駆け抜けた本作の登場人物たちの想いを表現。
女性ボーカルの歌声が切なく伸びやかに歌い上げ、曲を美しく仕上げています。
残念ながらこの曲はフルで配信されていないのですが、次回作でもこの曲が聞けることを期待したいですね。
「全裸監督」は深いメッセージがあるヒューマンドラマ!
Netflixのオリジナルドラマとして爆発的な人気を誇る『全裸監督』は、インパクトやキャラクターの面白さだけで注目されているわけではありません。
予想もつかない展開の裏には、成功までの険しい道のりや成功者の姿勢が描かれています。
それはどの業界にも当てはまり、時代を経ても変わらない教訓です。
村西とおるという人物の半生を通して、人として成長するために大切なものに気付かされるでしょう。
イメージに惑わされず『全裸監督』の真のメッセージを確かめてみてください。
TEXT MarSali