百田尚樹の人気歴史小説を映画化!
画像引用元 (Amazon)
2016年公開の映画『海賊と呼ばれた男』は、日本に石油を輸入するために奮闘した男と仲間たちを描くヒューマンドラマです。
原作は百田尚樹により実話を元に書かれた同名小説で、第10回本屋大賞を受賞したベストセラーです。
小説のモデルとなったのは、石油事業に尽力した出光興産の創業者である出光佐三です。
彼の半生と功績、石油を巡る激しい対立が繰り広げられた「日章丸事件」の様子を、新たな主人公で描き出した作品となっています。
その人気小説を、同じく百田尚樹原作の映画『永遠の0』を手がけた山崎貴監督と製作チームが再集結し、映画作品として完成させました。
石油が生活に欠かせない今だからこそ観るべき本作のあらすじや見どころを紹介します。
石油を輸入するために世界に挑んだ日本の男の生き様
まだ石炭が主要燃料として用いられていた時代。
国岡鐡造は石油に将来性を見出し、日田重太郎の力を借りて石油業を始めます。
しかし、新参者ゆえに国内の販売業者には相手にされず、欧米の石油メジャー企業からは嫌がらせを受ける羽目に。
高い壁をもろともせず、国岡は独自のアイディアと持ち前の行動力で前進し、着実に石油業の道を固めていきます。
その一方で、石油メジャーを敵に回してしまったために石油の輸入ルートを絶たれてしまいます。
そんな状況でもあきらめようとしない彼は唯一保有している巨大タンカー「日承丸」を使い、イランに石油の買い付けに行く計画を立てます。
当時のイランを支配していたイギリスに歯向かう行為でしたが、彼は死さえも覚悟して出航するのでした。
演技派キャストの熱演に注目
本作で主演を務めるのは、映画『永遠の0』に続き、山崎貴監督と二度目のタッグとなるV6の岡田准一。
彼は20代の青年から90代の老人までを特殊メイクを駆使し熱演しています。
さらにわざと声を枯らすなどして、年齢の変化を感じさせる演出を行ったそうです。
また、外見や声だけでなく、常に信じたことに一心不乱に突き進む力と人間味のある性格を細やかに演じ、引き込まれる人物像を作り上げました。
その他のキャストには小林薫、吉岡秀隆、染谷将太、鈴木亮平、綾瀬はるかといった豪華俳優陣を起用。
壮絶な歴史の裏にある温かな人間模様を見せてくれます。
戦後の日本を映し出す壮大なストーリーと映像に引き込まれる
本作の見どころは、実話を元にした重厚なストーリーにあります。
戦後の傷ついた日本を救うため、自身の損得は無視して行動し続けた主人公の熱い思い。
周囲からの大きな圧力にもめげず、自分のスタイルを突き詰める執念。
そして、彼の熱意に動かされた多くの人たちが無謀にも思える挑戦で共に戦う姿に、観ている人も胸が熱くなるでしょう。
彼らのように日本のために一心に行動した人たちが過去に実在したからこそ、今の日本の暮らしができていることを改めて考えさせられます。
資源は有限です。
豊かな生活を未来に繋げるために、価値あるものを大切に使っていきたいものです。
また、倒産の危機に何度も直面しながらも、誰一人社員をリストラしないと決めて行動する主人公は上司の鑑。
こんな上司を持ちたいと思える人物のため、よりストーリーに入り込めます。
また本作では、山崎貴監督作品らしいVFXを駆使した映像も魅力です。
リアルな空襲シーンは当時の過酷な状況を追体験するようで、主人公たちがどれほど危険な時代に生きているかを想像しやすくなっています。
さらに、巨大タンカーが動く壮大な様子を間近で見るという、普通ではできない体験を映画を通してできるところも見どころの1つ。
世界に歯向かいながらも日本のために働いた男たちの一員になったような気分が味わえます。
石油が当たり前に使える今、どのようにしてその日常が始まったかを知ると、当たり前に思えるものへの向き合い方が変わるでしょう。
信念を持って生きる力強い生き様に心を揺さぶられます。
「国岡商店社歌」は耳から離れない主題歌
画像引用元 (Amazon)
本作のテーマ曲は、作中で何度も歌われる『国岡商店社歌』です。
作詞を山崎貴監督、作曲を映画音楽を担当した佐藤直紀が務め、原作小説にはない映画だけの世界観を創る曲となっています。
広く荒々しい海にぴったりな、壮大で力強いメロディに合わせて社員たちが一斉に歌うパワフルな労働歌です。
歌詞には試練が多い中でも仲間と共に前進しようとする男たちの想いがつづられています。
常に日本の未来を見据えながら海を漕ぎ出す彼らの勇ましさを感じさせます。
岡田准一率いるキャスト陣が声高らかに歌うのを聴いていると、心が晴れやかになるでしょう。
歌うことで気持ちが1つになり、元気が湧き上がってくる労働歌は、映画のあとにも思わず口ずさみたくなりますよ。
映画から現代を生きる力をもらえる!
映画『海賊と呼ばれた男』は、ただのサクセスストーリーではありません。
主人公が見せる、周囲を敵に回してでも日本の復興に執念を燃やす姿には、恐ろしささえ感じられます。
とはいえ、大きなことを成し遂げるには、狂気的な信念と潔さがなくてはならないのかもしれません。
彼らの時代よりも新しいことを始めやすくなった現代で、自分の力で何ができるのかを考えさせられるでしょう。
本作を観れば、生きる活力が湧いてきますよ。
TEXT MarSali