バズる予感たっぷりの「魔法の絨毯」
情熱的な歌声と心温まる歌詞の魅力を武器に、じわじわとファンを集め続けているシンガーソングライター川崎鷹也。
そんな彼が生み出した数多くの楽曲の中でも、一際注目を集めているのが2018年のソロデビューアルバム『I believe in you』に収録されている『魔法の絨毯』です。
公式YouTubeチャンネルに投稿されたライブ動画のコメント欄には「いい曲」「絶対流行ると思う」といったコメントが多数寄せられています。
また、動画のアップロードは2年前でありながら、ここ最近に投稿されたコメントが多くを占めているのも注目ポイント。
そんな『魔法の絨毯』が持つ魅力の一つは、温かなメッセージをキャッチーでコミカルな表現に落とし込んだ歌詞の独自性でしょう。
川崎鷹也によって紡がれた言葉には、いったいどのような想いが込められているのでしょうか。
何気ない毎日こそが「宝物」
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くだらないことで笑って
何気ない会話で泣いて
ひとつひとつの出来事に 栞を挟んで
忘れないように 無くさないように
≪魔法の絨毯 歌詞より抜粋≫
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歌詞の幕開けを飾るのは、日常の素晴らしさを思い出させてくれるようなこちらの一節です。
歌詞の主人公には、お互いに想い合う大切な相手がいるのでしょうか。
「くだらないこと」や「何気ない会話」の数々で彩られていく毎日が語られます。
まるで聴き手の生活に違和感なくリンクしていくような、素朴な表現の美しさが存分に味わえる一節ですね。
決してドラマや映画のように派手なハプニングやサプライズはないけれど、楽しい出来事に溢れた幸せな毎日。
主人公は、その出来事ひとつひとつに「栞」をはさみたいと考えています。
何よりも大切で、素敵な輝きを放っているそれはまさに宝物なのでしょう。
「忘れないように」記憶に留めて置きたいと願う想いは、純粋な気持ちに溢れています。
「アラジン」のように迎えに行く
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アラジンのように魔法の絨毯に乗って
迎えに行くよ、魔法は使えないけど
お金もないし力もないし
地位も名誉もないけど
君のこと離したくないんだ
≪魔法の絨毯 歌詞より抜粋≫
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続く一節では、歌詞のタイトルである「魔法の絨毯」というキーワードの正体が明かされます。
ディズニー作品として幅広い年代に愛されるアニメーション映画からもじったキーワードなのは、説明しなくてもお分かりかと思います。
「アラジン」という名前を大胆にも登場させることで「君」との物語をドラマチックに表現していますね。
まるで「アラジン」のように「魔法の絨毯」に乗って「迎えに行く」と語りかける主人公。
「お金」「地位」「名誉」といったものは持っていないけれど「君」を想う気持ちだけは、誰よりもたくさん持っていることを自信たっぷりに伝えています。
そんな優しくも力強い言葉の根底にあるのは「君」のことを「離したくない」という気持ちです。
キャッチーなキーワードと真っ直ぐな純愛のエネルギーを感じさせるセリフには、思わず心を奪われてしまいますね。
「離したくない」からこそ気になるもの
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君が仮にどんな恋を重ねてさ
どんな人と笑い合ったか
1人で考えて 勝手に凹んで
眠れない夜を過ごしてさ
≪魔法の絨毯 歌詞より抜粋≫
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力強い言葉で「君」への愛を語りかける主人公であっても、時には悩んでしまうこともあるようです。
「どんな恋を重ねて」「どんな人と笑い合ったか」といった歌詞で描かれている通り、相手の過去について考えてしまう人も多いのではないでしょうか。
今自分と一緒にいるのは紛れもなく「君」であるはずなのに、本来は関係ない過去がちらついてしまうのも決して不思議ではないでしょう。
「君を離したくない」と語りかけていたことから分かるように、そういったモヤモヤはいわば独占欲の現れ。
「君」の全てを抱きしめていたいと願う強い気持ちが、裏返しとなって余計な詮索に繋がってしまいます。
主人公本人も「勝手に凹んで眠れない」自分の弱々しさを痛いほどに自覚し、歌詞の中で赤裸々にその想いを打ち明けていますね。
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仮に雨が降って
びしょ濡れになっても
ぼくが迎えに行くから
≪魔法の絨毯 歌詞より抜粋≫
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しかし、そんな「強すぎる」想いも「君」を守りたいという純粋な心から生まれていることには違いありません。
続く一節は「雨」の日を舞台にしながら、常に「君」を心配する優しさに溢れた歌詞となっています。
恋が生む、ポジティブなエネルギーとネガティブなエネルギー。
どちらも決して切り離すことはできず、表裏一体であるといえるでしょう。
大切な相手と共にたくさんの日々を過ごすうちに、そのコントロール方法を身につけていくことが大事かもしれませんね。
「君」との毎日を彩りたい
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ジーニーのように魔法のランプから出て
笑わせるよ、魔法は使えないけど
お金もないし、力もないし
地位も名誉もなにもない
だけど君を守りたいんだ
≪魔法の絨毯 歌詞より抜粋≫
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恋に対する主人公の想いを丁寧に描いてきた歌詞は、繰り返されるサビのフレーズと共に締めくくられます。
こちらの一節で登場する「ジーニー」のように、物質的な幸せで「君」を満たすことはまだできないけれど「笑わせる」ことならできると自信を持って語る主人公。
その言葉は「君」を想う気持ちがどれだけ深いものか、どれだけ強いものかを証明しています。
恋愛に対する価値観にはさまざまなものがありますが、やはりそれを支える最も大きな柱となるのは「相手を大切に想う心」ではないでしょうか。
たくさんの「お金」や「力」と同じくらい、あるいはそれ以上に、鮮やかに彩られた毎日の出来事が大事と考える人は多いでしょう。
それは、2人がお互いに愛を持って接して初めて生まれるかけがえのない宝物です。
『魔法の絨毯』は、そんな「大切な人と過ごす日常」という何物にも替えがたい輝きを聴き手に思い起こさせる一曲となっています。
そして、心配し過ぎてしまうほどに強く想う相手の存在感を今一度確かめさせてくれる歌詞であるといえるでしょう。
誰しもの胸を温める素敵な毎日が、川崎鷹也の紡いだ言葉の中に、そして何よりあなたの身の回りに、転がっているのかもしれませんね。
TEXT ヨギ イチロウ