Snow Manとファンにとって忘れられない「大切な1曲」
2012年に結成されたSnow Manは、安定したダンスパフォーマンスと難易度の高いアクロバットを武器に、多くの先輩たちのバックを飾ってきました。しかし、兼ね備えた実力や経験に反し、デビューはなかなか決まらなかった彼ら。
地道に活動を続ける間にも、後から入所してきた後輩達が次々とデビューするなど、歯がゆい気持ちを抱えながら、それらを見届ける日々が続いていました。
そんな中、2018年の2~3月に開催された「ジャニーズJr.祭り 2018」。
その単独公演で初披露されたのが『Snow Dream』でした。
この曲には、彼らのデビューにかける思いや、その裏に隠された苦節、そしてここまで応援してくれたファンに対する感謝の気持ちが込められています。
当時、結成からすでに6年が経過していたSnow Man。
彼らの思いがいっぱいに詰まった『Snow Dream』は、同じ歳月を共にしてきたファンの胸を打ち、会場は感動の渦に包まれました。
Snow Manにしか歌えない理由とは
この曲にはある仕掛けが隠されています。まずは、冒頭のこの部分を見てみましょう。
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魅せつけたいよ 熱い想い
岩も溶かすほど
伊達じゃないんだ
決意の深さは 底なしだよ
渡る世間は無情なほどにあべこべな華
咲くまで何度眠ればいいのか分からない
≪Snow Dream 歌詞より抜粋≫
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「”岩も溶”かすほど(岩本)」
「”伊達”じゃないんだ(宮舘)」
「決意の”深さは”(深澤)」
「”渡”る世間は(渡辺)」
「”あべ”こべな華(阿部)」
「”咲くま”で(佐久間)」
といったように、歌詞の中にメンバーの名前が隠されているのです。
また、歌割りもそれぞれの名前が組み込まれているパートを本人が歌うように分けられ、特別なこだわりを見せています。
歌詞の内容には、彼らが覚悟を決めてこれまで努力を続けてきたこと。
そして、なかなか世間に認められず、デビューという開花を夢見ながら何度も眠りにつくという、切ない心境が描かれています。
このような名前を使った仕掛けは2番でも用いられています。
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平和な空と 深夜の風 大好きだけれど
涼しい顔で 天翔る星は 照らすけれど
華麗なShow Time 理想の未来 立つよ必ず
両手を合わせ Diceを転がす 届くまで
≪Snow Dream 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞と同様に書き出してみると以下のようになります。
「”平”和な空と(亮平)」
「”深”夜の風(辰哉)」
「”大好”きだけれど(大介)」
「”涼”しい顔で(涼太)」
「天”翔”る星は(翔太)」
「”照”らすけれど(照)」
このように、多くの歌詞にメンバーの名前が取り入れられているため、オリジナル性が非常に高く、6人のSnow Manが歌うことに大きな意味がある楽曲なのです。
普段見せることのない弱さの吐露
『Snow Dream』の最大の魅力は、等身大のSnow Manがそのまま投影されていることです。これまでのアイドルソングとは異なり、この曲の中では今まで彼らが見せてこなかった「弱さ」も率直に表現しています。
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溢れ出す 弱音の雫が
はらはらと心に落ちて
降り積もる雪のよう
≪Snow Dream 歌詞より抜粋≫
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アイドルはどんなに辛くても笑顔を絶やしてはいけない存在なのでしょう。
そんな光り輝く表舞台の影で、1人の青年として抱える弱音はたまり続ける。
突然限界を超えてあふれだした弱さは決して人の目に触れられることなく、まるで雪のように穏やかに、しかし、確実に彼らの心に降り積もります。
彼らはJr.時代、人知れずこの静かな孤独と戦い続けていたのではないでしょうか。
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涙で滲む約束がまだ 果たせない僕だから
もう少し傍にいて もう何度も告げたセリフだね
≪Snow Dream 歌詞より抜粋≫
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サビの部分は聴くだけで胸が締め付けられるように切なく、美しい言葉が並びます。
まさに、この当時のSnow Manの状況や心境と重なった歌詞は、ファンにとって涙なしには聴けないでしょう。
このパートは、Snow Manを信じてついてきてくれているファンに対するメッセージ。
なかなかデビューが果たせない申し訳なさと、自分たちを信じてもう少しだけついてきてほしいという希望が一緒になっています。
まるでくしゃっと泣き笑いしているような、どこかほろ苦くも甘酸っぱくも感じられるフレーズです。
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純白の果てしなき道
まだ誰も歩いてない未知
祇園精舎の鐘の声に
諸行無常の響きあろうと
一歩一歩目指すよ
憧れの終着点を
銀色の足音
ほら振り返れば足跡
≪Snow Dream 歌詞より抜粋≫
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目の前の雪景色はまだまっさらで、誰も見たことのない未知の世界が広がっています。
これは、Snow Manの目の前に広がる無限の可能性を表しているのではないでしょうか。
続くフレーズは、平家物語の有名な一節「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」を基にしています。
この文言は「永久に不変なものはない」ということを意味しており、「栄華を極めた者もいつかは色あせる」といった意味で使われるのが一般的です。
これは、アイドルにも通じるのではないでしょうか。
どんなに人気を得ようとも、それが永遠に続くことはなく、ある意味とても儚い存在です。
そんな不確かなものであろうとも、彼らにとって十分に目指す価値のある特別な存在なのです。
Snow Manのデビューへ向けた強い信念
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君と描きたい景色がまだ 未完成な間は
もう少し傍にいて Wow あと少し
≪Snow Dream 歌詞より抜粋≫
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Snow Manが描きたい未来の中に、ファンが含まれていることが伝わってきます。
デビューまでの「まだ未完成な間」は特に、ファンの応援がSnowManにとって大きな原動力になったのではないでしょうか。
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涙で滲む約束がまだ 果たせない僕だから
もう少し傍にいて もう本当は聞き飽きてるよね
≪Snow Dream 歌詞より抜粋≫
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前半は1番のサビと同じ歌詞ですが、後半は
「もう本当は聞き飽きているよね」
に変わっています。
この変化が『Snow Dream』の中で、より切なさと切実さを引き立たせています。
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Be the One 君のOnly One
Twenty four seven 命を燃やして
春を待ち侘びながら 君のことを考えてた
I want to become famous その願いはいつか叶えます
絶対あきらめないよ
選り取り見取り掴む Snow Dream
≪Snow Dream 歌詞より抜粋≫
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最後のラップには、確実にデビューを果たすという強い信念が見えます。
「Twenty four seven」は「24時間×7日」つまり、年中無休の24時間ということを表しており、休む暇なく努力し続けようという姿勢が垣間見れます。
この曲を聴いて、彼らをデビューという夢まで必ず送り届けようと心に決めたファンの方も多いのではないでしょうか。
Snow Manの夢は、もはや彼らだけのものではなく、ファンの夢にもなっていたのです。
春を待ちわびる彼らの頭の中には、いつもファンの存在がありました。
そして、『Snow Dream』を通して応援してくれる人の期待に応えるように「絶対にあきらめないよ」と、デビューを勝ち取ることを強く宣言したのでしょう。
この楽曲は、デビュー前のSnow Manがファンにデビューを誓った「約束の歌」。
華々しくデビューを飾った彼らの活躍は目覚しく、その勢いはとどまることを知りません。
ファンとの約束を見事に果たしたSnow Manは、多くの人々から愛され続ける立派なアイドルへと成長し続けるでしょう。