「自分の存在価値」が見い出せない
2009年にリリースした『20-CRY-』は、加藤ミリヤが20歳を迎えたときに感じたリアルな気持ちが描かれた楽曲です。発売から11年が経った2020年に、加藤ミリヤトリビュートアルバム『Inspire』がリリースされ、その中でBiSHのメンバーであるアイナ・ジ・エンドが『20-CRY-』を歌っています。
聴く人の魂を揺さぶる歌声が、切ない感情を描く歌詞とマッチしていると話題を集めました。
加藤ミリヤが描く、20歳の女性が感じているリアルな想いを歌詞から読み解きます。
冒頭は、人混みの中をひとりで歩いているシーン。
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人混みの中ひとりきり「寂しい」と呟く
誰も気付かない 誰も気にしない 誰もいない
私はひとり いつもひとり ずっとひとりで
歩いて行くのかな とても苦しいのに
どうして私はここにいるの baby
どうして私は生きているの...ツライ
≪20-CRY- 歌詞より抜粋≫
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寂しいときに人混みの中にいると、楽しく歩いている恋人達や友人同士の姿がいつも以上に自分の視界に入ってきますよね。
そんな中にひとりで歩いていると、一層寂しさがこみ上げてくる。
「皆は辛いときに、頼れる恋人や友人がいるのに私にはいない」という自分の存在価値を見失ってしまった女性のメッセージが込められています。
好きな人に頼れない「寂しさ」
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期待はずれの人生 理想とはほど遠い
私の行く道 その行方未知 ひとり歩けない
大人になったの 怖くなるの 泣きたくもなるよ
すべてわかってるの だからこんなにも虚しいのだけど
会いたい人にはきっと会えない ひとつになれない
この思いもあなたに届かない ああ
≪20-CRY- 歌詞より抜粋≫
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「あなた」というワードは、女性が思いを寄せている男性を指しているのではないでしょうか。
しかし、思い描いていた理想的な恋愛ではなく、人にはあまり言えないような関係。
「きっと会えない ひとつになれない」という歌詞で、2人の曖昧な関係性が見えてきますね。
自分が思っていた人生とは裏腹に、幸せとは言えない現実。
一番大好きな「あなた」に「寂しい」と伝えたいのにできない。
20歳の大人になったからしっかりせねばと思う一方、好きな人に「頼りたい」「甘えたい」という女性の心の葛藤が描かれています。
伝えたいけど伝えられない日々の繰り返し
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この悲しい My life
何求め 何期待したらいいの
私はここだよ
ひとり CRY
なぜ悲しみがあるの
なぜ喜びを求めるの
なぜ不安になるの
ねえなぜ生きてるの
人は一人きりでは生きてはいけないんだ
だから私をお願いだからひとりにしないで
ねぇどうか私を必要としてよ 私を愛してよ
この涙が乾くころにはきっと朝がまたくるから
私は生きてるよ
生きてるよ...
≪20-CRY- 歌詞より抜粋≫
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この歌詞の女性は、人に頼るのが得意ではないかもしれません。
きっと「あなた」に気持ちを吐き出すことはなく、自分の中で無限ループ。
「この涙が乾くころには きっと朝がまたくるから」という歌詞の内容から、心の葛藤にさいなまれている状況を日々繰り返している様子が伺えますよね。
辛い恋愛をすると、自分の存在価値を見失ったり、自分を責めてしまう人も多いはず。
そんな女性の心の葛藤を加藤ミリヤが『20-CRY』で代弁してくれています。
「辛くても大丈夫。見捨てないよ。私はあなたの味方だよ。」といったメッセージも込められているのでしょう。
切ない歌詞とアイナ・ジ・エンドのハスキーボイスの絶妙なコラボは必聴です。