背中を押す、力強い歌詞のデビュー曲
──そしてタイトル曲「モンスターフライト」は1回聞いたら忘れられないインパクト大の楽曲です。中原聡太:2番のサビ前に<Check it boom!>と言ってラップが入る前のところは音をひとつずつ打っていくんですけれど、そこをライブで踊っていてもすごく楽しいです。目で見ても楽しいし、音を聞いても楽しいし。歌詞じゃなくて音だけでも楽しめる楽曲だな、と思いましたね。
三隅一輝:ボイメン研究生の時から楽曲を出させていただいていたんですけど、「モンスターフライト」はレコーディングする前の段階からいろいろな方に「この曲好きです」と言っているくらい、ぶっちぎりで好きです。何が好きかというと、歌詞ですね。今の状況にマッチしているというか、いろいろなところで頑張っている方の背中を押せる、すごく力強いエネルギッシュな歌詞になっているんじゃないかな、と思っていて。
自分自身も、それこそ一番のAメロの<どんな未来も俺らを 制御できない>、最後の落ちサビ前の<曇天も雲ン上は快晴>のところからすごい刺さる部分があって。ファンの皆さんや頑張っている人の背中を押すのはもちろん、この曲によって自分の背中を押してもらった感じもしていて。「メジャーデビュー以降も頑張っていこう」と改めて思いました。
佐藤匠:僕たちはもともとインディーズのときからこのメンバーでやり、それからメジャーに入りました。だから少しずつ僕たちも誰がどこを担当するかというのが、少しずつ固まってきたな、と思っていて。
今回もラップが途中で何回か入り、それはラップを担当してくれている緑と赤の子(松岡・中原)がやってくれているんですけれど。少しずつ僕たちの形式が定まってきたところが、この楽曲にしっかりと生かされているな、という感じがします。
そして僕らはもともと熱い曲たくさん歌っていたんですけれど、「モンスターフライト」は、より何十倍も熱い歌詞になっていると思います。
──ラップについては、どんなことを意識しましたか?
松岡拳紀介:声質的には、ラップといっても叫ぶというか、熱い感じで今回やらせてもらったので、すごくやりやすかったですし、レコーディングも気持ちが入りやすかったです。
今回セリフもあるんですけど、<こんなんじゃ物足んねぇよ>というところもライブを重ねていくにつれて、自分でも「うまくなっているな」と感じたりしています。もともとこの曲をいただいた時はクールな音源だったんですけど、「熱い感じの方がいいね」とボーカルディレクションの先生と話し合ってこうなりました。
──意外! 最初はクールだったんですね。
松岡拳紀介:僕もレコーディングの最初はすごくかっこつけていたんですけど、「それはちょっと違うよね」みたいな感じになったりして。
米谷恭輔:メジャーデビューシングルとして、このうえないものをいただきました。この世界中が大変な状況だからこそ、聴いてほしい曲でもありますし、僕たちの今まで、研究生時代からの積み重ねもここにつまったような歌詞の内容になっています。
ラップの熱さもそうですけど、ところどころに入っている言葉の粗さというか、攻撃力が隠しきれていないので、それを感じ取っていただけたら、より楽しんでもらえるんじゃないかな、と思います。リリースは2021年1月13日で時期は寒いですけど、また熱くできたらいいな、と思いますね。
──2曲目の「ヒカリフル」は一緒に頑張る、という曲ですね。
三隅一輝:「モンスターフライト」は背中を押してもらったり、押す、という意味合いが強くて。でも「ヒカリフル」は頑張っている人に寄り添っている感じがします。それこそ歌い出しが<We Are Crying Together>と一緒に泣いて笑うという、まさに「寄り添う」ということがこの2行に詰まっていると思うんです。
そして一番のAメロは今までの僕たちの軌跡を歌っていて。「いろいろつらい思いもしたけれど、僕たちも頑張るから、一緒に頑張ろうよ」という温かい、優しい応援歌な気がします。「モンスターフライト」がささる方もいれば、「ヒカリフル」ふるみたいに優しい曲調がささる方もいるんじゃないかな、と思っていて。両方聴いてみて、好きな方をぜひたくさん聴いてもらいたいですね。
──歌詞の中に<なりたいモンなら分かる>とありますが、皆さん今なりたいものは分かっていますか?
中原聡太:個人的にはグループとして僕らの中で一番大きい会場でやらせてもらったのは、約3千人入る名古屋国際会議場、センチュリーホールなんです。それよりも1つ上の日本ガイシホールというところで、自分たちは踊れたらすごくいいな、という1つの夢があるので、僕はそれをすごく重ねている部分はありました。
あとその続きの<守りたいもの>については、この現状、自分たちがステージに立って歌っていること、応援してくれるファンの人がいるというこの環境を守りたいな、と。ここは僕のパートなので、そういうのも思いながら歌っている、というところはありましたね。
松岡拳紀介:応援してくれる方の背中を押したりする曲ではあるんですけれど、歌っている自分が一番応援してもらって、元気をもらうな、と聴くたびに思いますし、この曲は好きですね。
佐藤匠:この曲はちょうど自粛期間というか、みんながお家にいる時にこの楽曲の歌詞と仮歌をいただいたんですよ。しかもそれからレコーディングするまで、だいぶ時間が空いて。僕たちはもともと名古屋を中心に活動しているんですけれど、自粛期間ではそういうかかわりを一切遮断されて。
だから「なりたいモン」というのはもちろんこれからなりたいものもあるかもしれないけれど、これから取り戻していきたいものも「なりたいモン」なんじゃないかな、と思いました。
──自粛期間の話が出ましたが、やはり皆さん不安だった?
米谷恭輔:集まってライブするどころか、集まってミーティングのような話し合いもできなくて。ZOOMでリモート配信でしたし、ラジオとかも別々の場所で録ったりとか。皆さんもそうだと思うのですが、すべてが僕たちにとって初めての経験で、とまどいや不安もあった中で仮歌の状態で作品をいただいて。「みんな同じ状況で、僕たちだけじゃないんだな」というのも気づくことができました。
その中でも後半の歌詞の<イカれたコンパスで進んでやる>とか、不器用なりに前に進みたいもどかしさというところは、まさに僕らのことで。さわやかなメロディですけれど、熱い根本的なメッセージ性は変わらず、この曲も等身大のBMKの姿がつまっていると思います。オンライン特典会ではファンの方が「『モンスターフライト』は熱い曲。エモい曲、好き」と言ってくださっていました。
──そして3曲目の「午後10時のon the road」はラブソングになっていますが。
中原聡太:僕らの中でも、恋愛曲を歌うのが本当に数えられるくらいしかないので。これをいただいた時は、「新しい引き出しをもらえた」という感覚が強かったですね。
佐藤匠:僕たちBMKというグループは、めちゃくちゃ胸キュンが苦手なんですよ。胸キュンをやるというイベントも、「これは大喜利なのかな?」という方向性に持っていってしまうようなグループなんです。
この歌詞の中の方も、恋愛が上手じゃないんですよ。だから僕たちも歌いやすくて。逆にここで大人な難しい失恋ソングとかがきちゃったら、わけがわからないから。楽曲のメロディの感じもちょっと懐かしいというか。夜10時という情景がぴったりくるメロディラインになっていて、そこがものすごくうれしかったですね。
──この歌詞の主人公は、好きな人を追いかけていますが、皆さんは、追いかけるタイプ? それとも追いかけられたいタイプ?
松岡拳紀介:追いかけたいですね! 結構、片思いしている自分が好きなんですかね?
中原聡太:「恋をしている自分に恋をしている」ということ?
松岡拳紀介:もちろん追いかけられるのもうれしいんですけど、追いかけている時の楽しさはすごいんだろうな、と妄想します。
中原聡太:僕もどちらかというと追いかける方なんですけど、他のものが見えなくなって一直線になってしまうんです。(佐藤匠を見て)何で笑うんだ(笑)。
佐藤匠:急にお腹が痛くて。
中原聡太:別に匠に一直線になっとるわけやないから、いいやろ?
佐藤匠:いや、なんだか自分の親族の恋愛話聞いている感じというか……。
三隅一輝:両親のなれそめ聴いている感じ?
中原聡太:何か恥ずかしさはあるね(笑)。
──あと少し、我慢していただけますか(笑)。三隅さんは?
三隅一輝:僕は両方です。というのも中高男子校で、追いかけたこともなければ、追いかけられたこともないので。まず「恋愛ってなんぞや?」というところから始まって、できれば両方経験したいですね。
それこそレコーディングもめちゃめちゃ大変で、恋愛ソングなんですけれど、先生から「こういうふうにイメージして」と言われても引き出しがなくて。だから必死に恋愛リアリティーショーをたくさん見ました。
佐藤匠:教材が俗っぽい!
三隅一輝:疑似恋愛を頭の中で必死に作って、レコーディングしたんです。
──では佐藤さんは?
佐藤匠:たくみんはアイドルなので、やっぱりそういうことはよくわからないですねえ(笑)。でも心理テストをやったときは、「バリバリに追う方」と出て、「そうなんだ」と思ったことはあります。
三隅一輝:自分の意思を聴いているの!
佐藤匠:えー! どうだろう?
米谷恭輔:アイドル好きなら応援したい気持ちがあるから、やっぱり追いたいんじゃない?
佐藤匠:そうかも! オタク気質なので、なんでも調べますね。じゃあ、追いかけるタイプで(笑)。
米谷恭輔:僕は振り回されたいですね。
中原聡太:違う(笑)。追うか、追われるか、だよ。
米谷恭輔:どちらかというと追う方なんですけれど、でも追いかけられる時が楽しいと思うので。追いかけられたいですね。基本的にモテたい!
──正直でいいと思います(笑)。ちなみに午後10時にはどんな意味があるんでしょうか?
佐藤匠:これは1曲を通して歌詞にすごく物語性があって。自分の好きな子と一緒に歩いている中で、その子に対して気持ちを伝えられない男の子が歌詞の最後にどうなっていくか、というところなんですけれど、最後は<握り返した目に降る流星>というところがあって。
そこでやっと女の子の返事が歌詞に出されて。あまり明言化してしまうとあれですが、<目に降る流星>と涙が重なっているところがすごく大事な歌なんだな、というふうに感じます。だからこそ<午後10時>という言葉がすごく大切なんだな、と思います。
いつかは追い風に乗ってみたい
──今回のシングルで、それぞれお気に入りの歌詞を教えていただけますか?三隅一輝:「モンスターフライト」の<曇天も雲ン上は快晴>が大好きですね。それこそうちの事務所の方針が、「夢を諦めなければ、必ずかなう」なんですけれど、まさしくそれだと思っていて。頑張り続けた先に、自分のなりたいものが待っているんじゃないかな、という歌詞だと受けとめています。だからこれからも一所懸命夢見て、頑張り続けたいです。
中原聡太:「ヒカリフル」の<どうかキミの抱く夢が 今日で終わらせないように>という歌詞です。僕はステージに立つ自分の姿を見て、「明日も頑張ろう」とか、何か1つみんなの中で小さな夢や目標を追いかけていく後押しができたらいいな、と思っているんです。自分が応援することによって、みんなの夢がどんどん広がっていったらいいなと考えているので、この歌詞が響きましたね。
松岡拳紀介:「午後10時のon the road」の<おちゃらけたいつもの俺じゃない だから素直に受け取ってくれ>というところです。ヘタレな男の子が変わる瞬間というか、ここでけじめをつけたというか。そういったことが、この歌詞に出ていると感じられて好きですね。
佐藤匠:僕はもともとBOYS AND MENのファンだったということもあって、このシングルでBOYS AND MENの作詞もたくさんしてくださっているYUMIKO先生という方がたくさん書いてくださっているのがうれしいです。あとは僕たちもBOYS AND MENもなんですけれど、「モンスターフライト」のように“強気な歌詞”というのがポイントです。強気な歌詞を書くということは、弱気な人を知ってなくては書けないから、自信がない人にも刺さるような歌詞がたくさんあるところが特徴なんじゃないかな、と思います。
その中でも僕は「ヒカリフル」の中で自分が歌っている<明日へと転がれ>という歌詞が好き。<明日へと転がせ>じゃないんですよ。<転がれ>というところが、自分だけじゃどうにもできない明日があって、そんな中で、願い・祈りみたいな意味合いが込められているところが、ちょっと救われるな、と。「頑張れ、頑張れ」だけじゃないというところが、すごく救われる気がして、好きですね。
米谷恭輔:自己紹介曲「BIG RAGE」の自己紹介パートはみんなそれぞれこだわりがあって、先生方と自分たちが考えたところをミックスしてギュギュッと詰め込んでいるんです。
そして<お待たせ俺らが BMK>というところは、今まで応援してくださった皆さんに、お待たせ!という気持ちなんですけど。それが前半の曲始まってすぐと、全員のセリフが終わった後にまた改めて<お待たせ>というところがあるんです。だから今まで応援してくださった皆さんに加えて、まだ僕らのことを知らなくてこれから知る人にも、「待たなくても迎えにいくよ」という気持ちを込めました。
あと<ビリビリビリビリ>というところも、僕たちは学ランに稲妻マークが入っていたりしていたので、ビリビリと皆さんに僕らを届けられたらいいな、と思っています。
──これからBMKが目指す目標を教えてください。
米谷恭輔:僕たちのグループは「逆風・逆境に向かうたびに上昇していく凧みたいなでっかいモンスターグループになろうぜ」というのがコンセプトなんです。今は大変な状況が世界中に続いているので、僕たちがそこで一歩踏み出して、「こいつら頑張っているなら、僕たち、私たちもちょっと頑張ってみようかな」といった元気を届けられるようなグループになりたいです。
この名古屋から発信したエンタメを、まずは全国に広めて。そしてBMKというグループはまだまだ知られていないですし、「ボイメン研究生でしょ?」という方々もたくさんいらっしゃると思うんです。だからまずはそんな方々にこの4曲入ったシングルを聴いてもらって、そうしたら絶対に好きな曲が1曲あるんじゃないかと。
僕たちは追い風を経験したことがなかなかないので、いつかは追い風にのってみたいな、というのもありますし。個人的な目標としても、今は直接会いに行けないんですけど、状況が落ち着いたら全国ツアーなど回って、またさらに大きなステージを踏みたいです。まずはこの4曲をたくさんの方に聴いてもらって、いろいろな方を巻き込んで1月13日を迎えることができたら、と思っています。
TEXT キャベトンコ
PHOTO 片山拓