深海魚「ラブカ」との関係
『ラブカ?』を語る上で欠かせない深海魚「ラブカ」。
楽曲のテーマになっている「ラブカ」は、深海に生息するサメの一種です。
長いウナギのような姿で、最近では映画「シン・ゴジラ」の第1形態に似ているとも言われていますね。
また赤いエラがいくつも並んでいる様子がフリルに見えることから、英名ではフリルド・シャークと言います。
MV動画に登場する女の子がフリルのついたワンピースを着ているのも、そこからきているのかもしれません。
実はこの女の子の体には深海魚「ラブカ」の特徴がいくつも盛り込まれています。
約300本あると言われている棘のような歯や、口角が上がって見える様子が忠実に再現されており、まるで「ラブカ」を擬人化したかのようです。
深海魚「ラブカ」との繋がりを考察したところで、続いて歌詞の内容をみていきましょう!
----------------
暗い 暗い 深海 ヴェールに包まれるは ラ ラ ラ ラ ラ ラブか?
奪い 奪い 叶わぬ願いは打ち上げられ さ さ さ さっさと去るか?
届け 届け それでも光は潰え水面 その遥か ラブカ
クライ クライ 未開の想いは足らぬ 足らぬ 至らぬはラブか?
≪ラブカ? 歌詞より抜粋≫
----------------
「ラブカ」は比較的深い海の底にいるため個体の捕獲や観察が難しく、その生態は謎に包まれています。
まさに「深海 ヴェールに」包まれている存在。
また名前に「ラブ」がついていることからも、「ラブカ」と愛という意味の「ラブ」をかけているのではないかと考えられます。
主人公は真実の愛を求める者。
そのヴェールをはがし真実の愛を確かめようと思考を凝らしますが、その願いは届かずいつも水面を漂うだけのようです。
「ラブカ」は、太陽の光が届かない水深500mから1,000mの海底で生活しています。
地上にいては、当然手が届きません。
しかし主人公は、真実の愛に辿りつけない理由は自分の愛が足りないからではないか、と考え始めます。
----------------
ラブカ ラララ ラブカ
ラブ なのか?
≪ラブカ? 歌詞より抜粋≫
----------------
「ラブなのか?」という歌詞から、主人公が新たに恋を見つけたようにも思えますね。
主人公は、この恋をきっかけに真実の愛を巡る思考の旅に出かけます。
思考に囚われる主人公
----------------
甘きラビュー ラビュー ラビューか?
それはバグ バグ バグか?
嘘と嘘で濁ったアイ アイニージュか?
腐る愛 愛 愛か?
咀嚼 吐き出し泣くか?
届かぬ距離で待っていたってしょうがない
≪ラブカ? 歌詞より抜粋≫
----------------
サビの歌詞は「ラビューラビューラビュー」や「バグバグバグ」などリズム感のいい言葉遊びを用いた歌詞が印象的です。
また英語をカタカナで表記する作詞方法は、「ボッカデラベリタ」でも使われていました。
まさに柊節が炸裂しているサビですね。
「ラビュー」は「Love you」とも訳すことができ、いわゆる甘い恋なのかと問うているのではないかと推測できます。
この想いは果たして甘い愛なのか。
それともただの間違いなのか。
はたまた自分の欲求を満たしたいがために嘘を重ねて愛に見立てているだけなのか。
「咀嚼 吐き出し泣くか?」という歌詞ですが、深海魚である「ラブカ」は食用ではなく食べられることもほとんどありません。
実際に食べた人は存在しますが、その数は少なく未だ多くの人が「ラブカ」の味を知らない状況です。
口にしたことがない食べ物を食べるにはちょっと勇気がいりますよね。
ここでは主人公が恋に臆病になっていることを「ラブカ」になぞらえて、表しているのではないでしょうか。
しかし図鑑などで情報を集めようとしていても、実際に食べてみないことにはわかりません。
1人考えを巡らせていてもしょうがないと、主人公はついに行動を起こします。
白亜病の意味とは
----------------
白亜病 ラ ラ ラ ラ ラ ラブカ
≪ラブカ? 歌詞より抜粋≫
----------------
「白亜病」という病名は現段階では存在しません。
柊キライが作り出した造語なのでは、と考察できます。
深海魚「ラブカ」の最古の化石は、白亜後期である8000万年前から5000万年前の地層群から発見されています。
また「ラブカ」が昔のサメと同じような特徴をしており、進化していないことから「生きた化石」とも呼ばることも。
それらを踏まえていることも考えられますが、今回は主人公が恋心の狭間で揺れ動く様子を歌っていることから、「白亜病」は恋の病のを意味しているのではないかと思われます。
愛を求めるがゆえに主人公が、恋に盲目的になっている様子を病気として表現しているのかもしれません。
また、MV動画に登場する女の子の目がハートになっているのも、この恋は盲目だということを表しているのではないでしょうか。
主人公の恋の結末
----------------
甘きラビュー ラビュー ラビューか?
それはバグ バグ バグか?
腐るラビュー ラビュー ラビューは
既に地に落ち絶えた
届く距離で出会って嫌になるならやめな
≪ラブカ? 歌詞より抜粋≫
----------------
1人で考えていても始まらない、と主人公は恋を実らせるために行動に出ます。
しかし「甘きラビュー」という歌詞がここでは「腐るラビュー」に変化していることから、恋が実っていくどころか腐ってしまったようです。
結局、今回も真実の愛に辿りつけなかったということなのでしょうか。
地上に打ち上げられ、息絶えてしまった「ラブカ」はまるで主人公の恋心を表しているよう。
地上では生きていけない「ラブカ」にかかっているのも粋な表現ですね。
恋から冷め、現実に引き戻される主人公。
「届く距離で出会って嫌になるならやめな」という歌詞にドキリとさせられます。
柊キライが綴る真実の愛とは
曲名や歌詞の中で何度も出てくるクエスチョンマークは、主人公の葛藤を表しているのではないかと考察します。
主人公は自問自答しながら恋とはなにか愛とはなにかを考え、底の見えない暗くて深い海の中に答えを探していたのでしょう。
恋だと断定していざ行動に出るも、理想と現実の違いにすっかり冷めてしまったのかもしれません。
愛とは追えば逃げて行き、掴もうとすれば落ちていく実体のないものなのだと教えていくれているようです。
それでも真実の愛はあると信じて、主人公は今日も地上から深海に可能性を見出しているのかもしれませんね。
『ラブカ?』で語られる盲目的な恋物語。
ぜひその深い世界に潜り込んで、あなたの手で物語を見つけてください。