変わってしまった街で愛する女性を変わらず想う
人気俳優であり歌手としても高い評価を受ける菅田将暉が、『虹』に続く新曲としてリリースした『星を仰ぐ』。日本テレビ系ドラマ『君と世界が終わる日に』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。
作詞作曲は新世代クリエイターのMega Shinnosukeが担当し、変わり果てた世界で大切な人を想い続ける男性の気持ちをキャッチーなメロディに乗せて描いています。
同ドラマで竹内涼真演じる主人公の間宮響が、必死に生きようとする心情とリンクする内容になっていて、ドラマの魅力を一層引き立てていますよ。
楽曲打ち合わせから参加したという菅田将暉は、「間宮響がしんどくなった時、倒れそうになった時に寄り添って支えてくれるような楽曲になれば」という想いを込めて歌ったと語りました。
切なく歌い上げられる歌詞の意味と解釈を徹底解説していきます。
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見兼ねた僕の街
よくある言葉じゃ浮かれない
沈んだ心 なだめる
君に甘え過ぎてダメだな
≪星を仰ぐ 歌詞より抜粋≫
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冒頭から、主人公が見ていられないほど変わり果てた街にショックを受けている様子が描かれています。
沈む心を一人でなだめながら、これまでいかに「君に甘え過ぎて」いたかに気づいたようです。
彼にとって「君」がとても大切で、心の支えになっている存在であることが窺えます。
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澄んでる君の瞳に
写った僕を咎めたい
何かを欲しくなるほど
間違い、彷徨い、崩れてしまうな
≪星を仰ぐ 歌詞より抜粋≫
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彼女と見つめ合っていると、その瞳に自身の姿が写ります。
愛する人の濁りのない美しい瞳に写っているからこそ、余計に自分の不甲斐なさや欠点とつい比べてしまうのでしょう。
何とか生き抜こうと必死になるあまり、「間違い、彷徨い、崩れてしまう」自分に苦しんでいるようです。
そんな自分を正して助けてくれる彼女を欲してしまうのも、当然のことかもしれませんね。
つらい状況の中でもただ君といたい
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疲れた地球を背に 今宵は月が笑う
考えず、夢中を生きた
無垢じゃ、辛いよ
≪星を仰ぐ 歌詞より抜粋≫
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地球自体が疲れているかのように、人々はこれまでとは違う生活に生きづらさを感じています。
月がその様子を見下ろして笑っていると感じるのは、彼らがその生活を惨めに思っているからでしょう。
いっそ汚れてしまった方が楽に生きられる気さえしていますが、つらい状況の中でも彼はただ夢中で生きています。
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星が降る夜をただ仰ぐ
いつかの傷と寄り添ってきたけど
限りあるものに焦がれた
夜のままで居れたら
君と居れたら
≪星を仰ぐ 歌詞より抜粋≫
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夜空に煌めく星は、先行きの見えない状況の中に見つける希望と重なるでしょう。
「いつかの傷と寄り添ってきたけど」とあるように、彼はこれまでたくさん傷ついてきたと考えられます。
そして「限りあるもの」が対比するように描かれていることから、過去よりも過ぎ去っていく今この時を大切に思っていると読み取れますね。
街の風景や生活がどれほど変わってしまっても、星は変わらず空にあり、その美しさも変わりません。
星も希望も簡単に手が届くものではありませんが、ただ見つめているだけで心が温まるようなその存在をずっと感じていたいと誰もが願っているはずです。
また彼にとっての彼女も、元には戻らない街の中で輝く希望の光のように彼を支えていることが伝わってきます。
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ふいに握られた手
夜風の中でも暖かい
日めくり、抗い、迷ってた
「何が大切なのか分かるかい?」
尋ねた 偉大な夜に
乱れた 息を整えて 考えた
理想ってなんだ 君と居たいよ
≪星を仰ぐ 歌詞より抜粋≫
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毎日不安の中で必死に生きる彼は、本当に大切なこととは何なのかを考えています。
冷たい夜風に打たれながらも愛する人が握ってくれた手だけは温かく、いつも彼を穏やかな気持ちにさせてくれたことでしょう。
そうして「君と居たい」というシンプルな答えに行き着きます。
心が折れそうになる時、彼女がいつも手を差し伸べてくれていたから頑張ってこれたことに気づいたのです。
どんなに過酷な状況下でもただ愛する人と共に生きたいという彼の願いは、多くの人が持つ理想なのではないでしょうか。
「星を仰ぐ」の意味とは
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愛せない過去も今を創る
いつかの傷も僕を救ったかも
限りあるものに焦がれた
夜の先へ ゆけたら
≪星を仰ぐ 歌詞より抜粋≫
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「いつかの傷」を背負いながら生きてきた彼は、決して過去を捨てたわけではありません。
思い出したくないような「愛せない過去」さえ今の自分を形作る一部であり、時には自分を支えてきたことを理解しています。
だからこそ、今という「限りあるもの」をより尊く感じるのでしょう。
星の見える「夜のままでいれたら」と考えていた彼は、もっと前向きにその先へ進んで行こうとしています。
過去の痛みも未来への希望も、すべてを生きる糧にしようとする彼の強さを感じさせますね。
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「愛してる」すらもまだ言えず
僕はさ、君に何をあげられるだろうか
いつも何かが星に変わる
君もそうかな
≪星を仰ぐ 歌詞より抜粋≫
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人は愛する人がいつまでもそばにいるようなつもりになって、つい大切な気持ちを伝えることを先延ばしにしてしまいがちです。
彼もその一人で、彼女に「愛してる」と言えていないことを後悔し、そんな自分が「君に何をあげられるだろうか」と考えています。
「いつも何かが星に変わる」という表現は、おそらく手の届かない存在になることを示しているのでしょう。
今までずっとそばにいてくれた彼女も、いつか自分の手の届かないところで行ってしまうかもしれないという不安がよく表れています。
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星が降る夜をただ仰ぐ
いつかの傷も今宵の君も
限りあるものが星になってゆくまで居れたら
君と居れたら
≪星を仰ぐ 歌詞より抜粋≫
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彼はまた星を仰ぎます。
決して手が届かない距離に思いを留めると、切なくなるような場面です。
しかし、彼は今はそばにいるという点に注目します。
いつかは離ればなれになるとしても今一緒に過ごせるなら、その時間を大切に過ごしていこうと考えているのです。
美しくも切なくもある星を仰ぎながら、愛する女性を想い続ける彼の深い愛がひしひしと伝わってきます。
「星を仰ぐ」には愛する人を大切に想う気持ちがあふれていた
菅田将暉が歌う『星を仰ぐ』は、不器用なりに築かれた不変の愛を描く美しい楽曲です。自身を取り巻く環境が変わったり大切な人を失ったりする状況は、誰にでも起こり得るでしょう。
そんな時、ただ打ちのめされてしまうのではなく強く生き続けるためには、大切な人を一心に想う気持ちや希望を捨てないことが大切であると読み取れるでしょう。
『星を仰ぐ』を聴いて俳優としてだけでなく、アーティストとして音楽でも多くの人の心を掴む、菅田将暉の歌声を堪能してくださいね。