アニメ「月が導く異世界道中」のオープニングテーマ
syudouの『ギャンブル』は、アニメ『月が導く異世界道中』の主題歌として書き下ろされた楽曲。このアニメは、小説投稿サイトで発表された小説を原作とし、漫画化もされている話題の人気作品話題です。『月が導く異世界道中』は、平凡な高校生だった主人公が勇者として異世界へ転生されるものの、異世界の女神に「顔が不細工」だという理由で勇者の称号を剥奪され、最果ての荒野へ飛ばされてしまうというあらすじです。荒野を出発点とし、様々な出会いを経て、異世界で生きていく主人公の物語となっています。
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勘違いの言葉を
ただただ叫んでここに来ました
≪ギャンブル 歌詞より抜粋≫
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『ギャンブル』の冒頭の歌詞ですが、「勘違い」を「勇者になれると思っていたこと」だと捉えると、「ここに来ました」というのは、異世界に来たことを指していると考えられます。
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「やっぱいいや」の続きを
アナタと見たいと思いました
≪ギャンブル 歌詞より抜粋≫
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不細工だという理由で女神が主人公を見放す様子を「やっぱいいや」という表現に重ねると、「続きをアナタと見たい」というのは、異世界で出会った仲間たちと共に異世界で生きていこうという主人公の決意に重ねられそうです。
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傷付いた想いさえ燃料なんだ
才能や喉を枯らさずにくたばる
冗談じゃないだろ
そうアタシは半人前 ブサイク ただ凡人
転生さえ願った業人
≪ギャンブル 歌詞より抜粋≫
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「半人前」「ブサイク」「ただ凡人」という言葉は、アニメの主人公を指しているのではないでしょうか。
歌詞からは、女神に見放され、傷ついた想いさえ燃料にして才能を開花する主人公の姿を思い浮かべることができそうです。
キャラクター達の心情に沿った歌詞は、アニメ主題歌としてぴったりでしょう。
歌詞に込められた音楽家syudouの本音
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もう2番だし大丈夫
少しだけ本音で話そうか
≪ギャンブル 歌詞より抜粋≫
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2番の最初の歌詞です。1番はアニメの主題歌として放送されますが、2番は放送されないということを踏まえた歌詞なのかもしれません。
この楽曲には、アニメの主題歌としての側面と、syudou自身の音楽家としての本音を語る側面が混在しているのだと考えられます。
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そうですか
じゃあもういいから全員黙れ
真夜中以外でも快晴
俺は夜なんて駆けない 未来に賭ける
≪ギャンブル 歌詞より抜粋≫
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「真夜中以外でも晴れ」という歌詞は、ずっと真夜中でいいのに。というアーティストを連想させ「夜なんて駆けない」という歌詞は、YOASOBIの『夜に駆ける』という楽曲を連想させます。
両者ともボーカロイドをルーツにもち、現代の音楽シーンで活躍するアーティストです。
「未来に賭ける」という歌詞は、両者をライバル視した上で、自分は自分として音楽で表現していくのだというsyudouの強い意志が込められているのかもしれません。
「駆ける」に対抗して「賭ける」という表現がされており、曲名の『ギャンブル』ともかけられている秀逸な表現だと言えるでしょう。
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予防線なんて張らない 未来は晴れる
この人生こそが何よりもギャンブル
掛け替えない一生なんだ
賭けないと勿体ないだろ
≪ギャンブル 歌詞より抜粋≫
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「予防線なんて張らない」「この人生こそが何よりもギャンブル」という歌詞が印象的ですね。
2021年3月に行われた霜降り明星の粗品との対談では、syudouが2020年に会社員を辞めたという情報を語っていました。
音楽活動だけでお金を稼ぐ人生を歩み出したsyudouの覚悟が表れた歌詞だと推測できそうです。
ボーカロイドへの想いと今後の展望
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未来に貰ったこの道を
心から信じていいんですか?
≪ギャンブル 歌詞より抜粋≫
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「未来に貰ったこの道」という歌詞がありますが、「未来」はボーカロイドの初音ミクを指しているとも考えられます。
初音ミクの名前の由来は、未来から来た「初めての音」から「初音」、「未来」から「ミク」です。
歌詞には、初音ミクによって与えられたボカロPとしての道を信じて進んでいきたいというsyudouの想いが込められているのでしょう。
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未来 未来に手を振り連打
≪ギャンブル 歌詞より抜粋≫
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この歌詞では、「未来」つまり「初音ミク」に手を振っています。
最近はAdoがうたう『うっせえわ』を始めとした数多くのコラボを実現させたり、前作の『爆笑』や今回の『ギャンブル』が本人歌唱であることを考えると、syudouはボーカロイドへの愛はそのままに、人の歌声でも成立する曲作りを目指しているのかもしれません。